にっぽん縦断 こころ旅
私の心の風景は、群馬県館林市の多々良沼です。
20年前、63歳で亡くなった父は、
お酒を飲み気分が良くなると、自分が子供の頃、多々良沼で泳いだ話をよく聞かせてくれました。
昭和9年生まれの父が、子供の頃の話ですので、もう80年も前の昔々のお話です。
その当時は、海水パンツなどはなく、裸で沼に飛び込んだそうです。
すると、父の大切な所をめがけて、らい魚がたくさんよってきて、いっしょに泳いだと言うのです。
嘘か真か、酔っぱらった父は、得意げにそして、楽しそうに話すのです。
私は、子供心に、また、多々良沼でらい魚と泳いだ話しがはじまったと思いつつも
楽しそうに多々良沼の話をする父の姿が大好きでした。
今は、白鳥の飛来する、沼として、有名となり、毎年冬には、たくさんの方々が白鳥を見にやってきます。
母は80歳をすぎ、認知症になりました。
10分前の記憶もままならない中、毎日、多々良沼への散歩をかかすことがありません。
父が泳いだ、そして父が大好きだった多々良沼へ
父へ会いに行くのだと思います、
沼に浮かぶ弁天様、春の藤の花、湖畔に沈む夕日 冬の白鳥、私にとっても父母同様 心に焼きつく心の風景なのです。
群馬県 伊勢崎市 59歳
仲 本 和 子
群馬県伊勢崎市
仲本和子さん(59歳)からのお手紙