【特集】頭痛の種類まとめ それぞれの違いと原因、症状、治し方、関連する病気

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【特集】頭痛の種類まとめ それぞれの違いと原因、症状、治し方、関連する病気

頭痛には片頭痛、緊張型頭痛、群発頭痛といったさまざまな種類があります。それぞれの原因、症状や自分でチェックする方法を解説します。頭痛の予防・改善につながる体操も合わせて紹介。また、強い頭痛は重大な病気が原因の場合も。頭痛が起こる危険な病気も紹介します。

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最も多い緊張型頭痛

日本に約2000万人いると推計されている「緊張型頭痛」は、側頭筋や後頚筋群、僧帽筋などの頭から首、背中にかけての筋肉のコリや張りによって、痛みを感じる神経が刺激されることで痛みが起こると考えられています。

緊張型頭痛

緊張型頭痛は生活習慣が原因

緊張型頭痛の原因の多くは、生活習慣が関係しています。デスクワークや車の運転などでうつむいた姿勢をとっているときが要注意です。長時間同じ姿勢でいることから、夕方や仕事の終わりごろに頭痛が起こりがちです。また、持続時間には個人差があり、30分程度で収まることもあれば、1週間程度続くこともあります。

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緊張型頭痛は生活習慣で起こる

長時間の同一姿勢、悪い姿勢、不適切な枕、運動不足など、生活習慣を見直して、頭から首、背中にかけての筋肉に負担をかけないケアを心がけましょう。

生活習慣を改めても頭痛がやわらがない場合は、精神的ストレスが関係している可能性があります。精神的ストレスが加わると、脳など中枢神経の痛みの感じ方が過敏になることで緊張型頭痛が長引くと考えられています。

緊張型頭痛の治療法

緊張型頭痛の改善は、生活習慣の見直しが基本です。
それでも症状が十分に改善しない場合は、内科やかかりつけ医を受診しましょう。
強い精神的ストレスが原因として疑われる場合は、頭痛外来や神経内科、心療内科など、専門医がいる医療機関を受診してください。

緊張型頭痛が改善しない場合

痛みが強いときは、非ステロイド性消炎鎮痛薬などののみ薬で対処しますが、1週間に3日以上使わないように注意します。



頭がズキズキと強く痛む片頭痛

片頭痛は、脈を打つようにズキンズキンと痛み、動くと悪化するのが特徴です。頭の左右どちらかの片側が痛む人が約6割、両側が痛む人が約4割とされています。強い吐き気を覚え、おう吐をしてしまうなど、日常生活に影響が出ます。

日本で片頭痛がある人は、約840万人と推計され、女性に多くみられます。片頭痛の持続時間は4~72時間とさまざまで、個人やその人の状況によって異なります。

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片頭痛の原因と主な引き金

片頭痛が起きる原因のひとつが「脳の視床下部」

片頭痛の原因は脳の視床下部が関係していると考えられています。
視床下部は、ホルモンや体温の調整、心臓の機能維持などの重要な働きをしています。この視床下部で脳の電位・脳内物質などの何らかの変化が起こると、顔の皮膚の感覚を伝える三叉(さんさ)神経に炎症が起こったり、脳内の血管が拡張して三叉神経を刺激したりして、痛みが起きます。

片頭痛の主な誘因には、次のようなものがあります。

  • 月経・排卵
  • 出産後・更年期
  • 寝不足・寝過ぎ
  • 空腹
  • ストレス・ストレスからの解放
  • まぶしい光・強いにおい
  • 人混み・騒音
  • 天候の変化
  • 温度の変化・高い湿度
  • アルコール

片頭痛の症状をやわらげたいときは、まず痛む部位を冷たいタオルなどで冷やしましょう。
そして、静かな暗い場所で安静にし、少しでも睡眠をとると症状が落ち着きます。

片頭痛の治療

片頭痛の治療
片頭痛の治療

片頭痛の治療の中心は薬物療法です。
治療薬のトリプタンには、三叉神経の周囲の炎症を抑える作用と、脳の血管を収縮させる作用があります。そのため、脳梗塞や狭心症・心筋梗塞などがある人は、病気が悪化する危険があるので、使用することができません。また、重い高血圧や重い肝臓病などのある人も使用を控えます。

トリプタンの使用法やトリプタンが使えない場合の治療についてはこちら
片頭痛の予防薬について詳しく知りたい方はこちら



目の奥が激しく痛む群発頭痛

群発頭痛は、20~40歳代や男性に多いのが特徴です。なお、激しい頭痛はくも膜下出血や脳隨炎、脳腫瘍などの重大な病気が疑われる場合があるため、注意が必要です。群発頭痛の特徴や予防法、治療・対処法をご紹介します。

群発頭痛とは?症状と原因

群発頭痛とは

群発頭痛とは頭の片側だけに目の奥の辺りの激痛が起こるほか、目の充血、涙や鼻水が止まらないなどの症状を伴う頭痛です。20~40歳代に多く、とりわけ男性に多いことも特徴の一つです。症状は1~2か月間ほど毎日のように起こり、この期間を群発期と呼びます。

群発頭痛は視床下部が関係して起こる
副交感神経が興奮すると鼻水・目の充血などの症状が出る

群発頭痛は、脳の視床下部という場所が関係して起こると考えられています。何らかの原因によって視床下部が刺激を受けると、頭部に分布する三叉神経という神経が痛みを感じます。そのために、三叉神経がつながっている目の奥の辺りに激痛が起こります。
また、三叉神経とつながっている副交感神経が興奮するために、目が充血する、涙や鼻水が止まらないなどの症状も起こります。三叉神経は、頭の左右に分かれて分布しているため、症状は顔の片側だけに起こります。

群発頭痛の症状

群発頭痛の特徴

群発頭痛が起こると痛みだけが理由ではなく、興奮した状態になって動き回ったり、気分が落ち着かなくなったりします。群発頭痛の症状は1~2時間ほど続き、夜から明け方に起こることが多いとされています。
特に、眠ってから2時間ほどで起こることが多くみられます。また、毎日ほぼ同じ時間帯に起こるのが特徴です。群発頭痛は、1回の群発期で治まる場合もありますが、典型的なケースでは10年以上にわたり、半年~2年おきに群発期を繰り返します。

群発頭痛が疑われる場合は、神経内科や脳神経外科を受診してください。群発頭痛に典型的でない症状があるときは、くも膜下出血や髄膜炎、脳腫瘍など重大な脳の病気が原因で激しい頭痛が起こっている可能性もあるので、注意が必要です。

「群発頭痛の症状と原因」について詳しく知りたい方はこちら
「群発頭痛の予防法、治療・対処法 飲酒・アルコールは要注意!」を詳しく知りたい方はこちら



薬の使い過ぎによる頭痛

薬の頻繁な利用が頭痛につながることがあります。薬の使い過ぎによる頭痛のセルフチェックや予防、対処法など正しい薬の使い方について紹介します。

薬の使い過ぎによる頭痛セルフチェック

薬の使いすぎによる頭痛のチェック
原因となる薬

  1. もともと片頭痛や緊張型頭痛などの頭痛がある
  2. 1か月に15日以上の頭痛がある
  3. 痛み止めの薬や片頭痛の治療薬であるトリプタンを1か月に10日以上のむ状態が3か月を超えて続いている

これらのチェックに当てはまる場合は、薬の使い過ぎによる頭痛と診断されます。
原因となる薬は頭痛薬だけでなく、月経痛や腰痛など、他の痛みをやわらげる痛み止めでも起こります。また、そうした薬を使用する日数が多いほど起こりやすくなります。

この頭痛が疑われる場合は自分で悪循環を断ち切ることが難しいので、頭痛外来や神経内科など、専門医を受診してください。

「薬の使い過ぎによる頭痛」について詳しく知りたい方はこちら



熱い時期は熱中症による頭痛の可能性も

体の中に熱がため込まれてしまうために起こる熱中症

熱中症の重症度

その重症度は大きく三段階に分かれます。まずめまい、立ちくらみ、足の筋肉がつる、お腹の筋肉のけいれんなどが起こります。症状が進むと、頭痛、おう吐、ぐったりした感じになります。さらに重症化すると、意識障害、全身のけいれん、全身が熱くなる高体温などが起こり、ときに死につながることもあるので注意が必要です。

熱中症の対処

頭痛、おう吐、ぐったりした感じがする場合は水分、塩分補給に加え、衣服をゆるめてください。そして脇の下や両側の首筋、足の付け根にある太い血管を冷やし、その後必ず病院を受診しましょう。

暑い時期に頭痛の症状がある場合は、熱中症の可能性も考えましょう。

熱中症について詳しく知りたい方はこちら



病気が原因で起こる頭痛

激しい頭痛が突然起こる、くも膜下出血

くも膜下出血は脳卒中の1つのタイプで、ほかに脳梗塞脳出血などがあります。
くも膜下出血になると、バットで殴られたような激しい頭痛に突然襲われ、吐き気や嘔吐を伴う場合もあります。患者さんの3分の1が亡くなり、3分の1に重い後遺症が残り、社会復帰できるのは3分の1といわれています。
くも膜下出血を発症する数日前に、突然頭痛が起こる場合があります。これは、警告頭痛といわれる前兆で、患者さんの2-3割が経験します。脳動脈瘤からごく少量の出血が起こったと考えられ、頭痛はそれほど強くはありません。

くも膜下出血について詳しく知りたい方はこちら

脳腫瘍

脳腫瘍は、頭蓋骨の中にできるすべての腫瘍を指し、タイプによって症状や治療法が異なります。主な症状には、「起床時の頭痛」「吐き気がないのに突然起こるおう吐」「片側だけに起こるしびれや運動まひ」などがあり、ほかにも発生する部位によって特有の症状が現れます。

脳腫瘍について詳しく知りたい方はこちら



頭痛を予防&改善!頭痛体操

頭が重苦しい緊張型頭痛の軽減や予防、頭の側面がズキンズキンと痛む片頭痛の予防が期待できる、頭痛体操をご紹介します。

※注意※
片頭痛が起きているときには、決して頭痛体操を行わないように注意してください。
また、首や肩に痛みがある場合も、頭痛体操は行わないでください。
首や肩の病気がある人は、事前に担当医に相談してください。
体操を行うときは、呼吸を止めずにゆっくりとした動作で行い、頭痛やそのほか体の痛みが出た場合はただちに中止してください。

腕振り体操

ひじを軽く曲げる
両腕を左右に振る

  1. ひじを軽く曲げて、両腕を胸の前まで水平に上げる。
  2. 頭は正面を向いたまま、腕を左右に振る。この動きを繰り返す。

両腕の力で振るのではなく、体幹を回転させて振るようにしてください。イスに座って行う場合は、座面が回転するイスを使うようにしてください。
1~2分間行うのを1セットとして、一日5~6セットを目安に行います。

肩回し体操

ひじを軽く曲げて、握り拳にした両手をあげる
両肩をグルっと回す

  1. ひじを軽く曲げて、握り拳にした両手を鎖骨の前あたりまで上げる。
  2. そこから、両肩を前にグルッと回す。
  3. 続いて、後ろにグルッと回す。この動きを繰り返す。

ポイントは肩を大きく回すことです。前に回すときはリュックサックを背負うように、後ろに回すときは上着を脱ぐように回してください。
前後を交互に10回行うのを1セットとして、一日5~6セットを目安に行います。

上半身を伸ばす体操

椅子に座り両手を組んで上に伸ばす
背もたれにもたれながら反る

  1. 背もたれのあるイスに座り、両手を組んだ状態で両腕を頭上に伸ばす。
  2. 背もたれにもたれながら、上半身を後ろにゆっくり反らす。
    右側に傾ける
    左側に傾ける
  3. ゆっくり右側に傾ける。
  4. ゆっくり左側に傾ける。この動きを繰り返す。

背中や脇が伸びるのを感じるように行うのがポイントです。
後ろ・左右を交互に10回行うのを1セットとして、一日5~6セットを目安に行います。

寝たままできる体操

寝たままできる頭痛の予防体操
大きく円を描くように腕を回す

  1. 横向きに寝て腕をあげて伸ばす。
  2. 上げた腕を大きく円を描くように回す。この動きを繰り返す。
  3. 反対側の腕も同じように回す。

肩を大きく回すように行うことがポイントです。
1~2分間行うのを1セットとして、一日2~3セットを目安に行います。

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