【特集】死亡率1位のがん「肺がん」 原因・症状・検査・治療法まとめ

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【特集】死亡率1位のがん「肺がん」 原因・症状・検査・治療法まとめ

肺がんは、がんによる死亡原因の多くを占めるがんです。たばこを吸う人は、肺がんで死亡するリスクが吸わない人に比べて約5倍になります。肺がんは症状が出てからでは根治が難しくなるため、定期的な検査が大切です。肺がんの原因や種類、検診や治療についてまとめました。

肺がんの原因と症状

肺がんは、肺の気管や気管支、肺胞の一部の細胞が何らかの原因によってがん化することで起こります。

喫煙者でなくても発症する!?肺がんの原因

肺がん最大の危険因子

肺がんの最大の危険因子はなんと言っても「喫煙」です。たばこを吸う人に多く発症するがんで、喫煙者は非喫煙者の5倍かかりやすいといわれています。
たばこには「受動喫煙」による害もあります。受動喫煙とは、自分の意思とは関係なく煙を吸い込んでしまうことで、受動喫煙による肺がんのリスクは1.28倍とされています。

そのほかにも、「有害化学物質」「大気汚染」などによる環境因子が関係したり、最近では「女性ホルモン」の影響も示唆されたりしています。

肺がんの予防は、禁煙を行うことが最も大切です。そのほか「有害化学物質」のアスベストや、「大気汚染」のPM2.5を吸い込まないように努めることが重要です。

肺がんの症状

肺がんは早期に自覚症状はほとんどなく、進行すると空せき、血の混じったたん、ゼーゼーヒューヒューとあえぐような呼吸、胸の痛みなどが現れます。このような症状が出てからだと根治が難しくなります。非喫煙者でも40歳を過ぎたら、早期発見のために定期的に検査を受けることが大切です。

肺がんの原因と予防について詳しくはこちら



肺がんの4つの種類とは

肺がんは、小細胞がん、腺がん、扁平上皮がん、大細胞がんの4つに分類されます。小細胞がん以外の3つのがんは非小細胞がんと呼ばれます。小細胞がんと非小細胞がんでは、進行度や治療方針も異なります。
4つのうち、最も多いのが腺がんで、肺がんの約60%を占めます。

肺がんの4つの種類

肺がんの種類と発症する場所

肺がんの原因や種類、ステージ(進行度)について詳しくはこちら



検診で早期発見

40歳以上が対象 肺がん検診

肺がんは、ほかの主ながんと比べて進行がはやく、転移しやすいため、定期的に「肺がん検診」を受けて、早期に発見することが大切です。早期発見ができれば、根治を目指すこともできるようになっています。

全国の自治体の肺がん検診は、40歳以上の人を対象に、年に1回、地域の保健所や措定された医療機関で受けることができます。

全国の自治体が行っている肺がん検診

肺がんは、肺のさまざまな場所に起こります。その多くは、「胸部エックス線検査」で見つけることができます。たばこを多く吸っている人の場合、「たんの検査(喀痰(かくたん)細胞診)」も行われます。

見つけにくいタイプに役立つ「CT検査」

小さいがんや淡くしか写らないがんの場合、胸部エックス線検査で見つけられないことが多くあります。そのようながんに対しては、「胸部CT検査」が早期発見のために有効です。

肺がん エックス線の画像

左上のエックス線画像は、実際には直径1.5cmほどのがんがありますが、何も写っていません。ところが、CT画像ではがんがはっきりと写っています。CT検査では、こうした「淡いタイプ」のがんやうっすらと「すりガラス状に写るタイプ」のがんも見つけることができます。

最近は、人間ドックやほかの病気の診断のために受けたCT検査で、早期の肺がんが見つかるケースが増えています。特に、たばこを吸う人は、40歳を過ぎたら、数年に1回程度は胸部CT検査を受けることがすすめられます。

確定診断のための検査

胸部エックス線検査や胸部CT検査などで肺がんが疑われた場合は、本当にがんかどうか調べる確定診断のために、肺のかげの部分の組織を直接とって調べます。確定診断には「気管支鏡検査」「CTガイド下生検」「胸腔鏡(きょうくうきょう)検査」など、いくつかの方法があります。

肺がん検診や確定診断のための検査について詳しく知りたい方はこちら



肺がんの治療法

肺がんの治療法は、手術、薬物療法、放射線療法の3つがあり、肺がんのタイプと進行度で選択される治療が異なります。

がんの進行度と治療方針

非小細胞がんの病期と治療方針

非小細胞がん(腺がん、扁平上皮がん、大細胞がん)の場合、Ⅰ期の前半では、手術のみでの治療が推奨されています。Ⅰ期の後半からⅢ期の一部までは、手術後の再発予防として薬物治療を行うことがあります。Ⅲ期では、「放射線」「化学療法(抗がん剤)」による治療が同時に行われ、Ⅲ期の一部からⅣ期では、薬物治療【化学療法(抗がん剤)、分子標的薬、血管新生阻害薬、免疫チェックポイント阻害薬】が受けられます。
一方、小細胞がんは進行が非常にはやく、手術が行えるケースは少ないです。放射線治療と化学療法(抗がん剤)が治療の中心となります。

ステージで異なる肺がんの治療法について詳しく知りたい方はこちら

肺がん手術

非小細胞がんで進行度がⅠ期やⅡ期の場合、根治させるために、がんを取り除く手術が第一の選択肢として検討されます。手術には、肺を切除する範囲によって大きく分けて肺葉切除術、肺全摘術、縮小手術の3つがあります。

肺葉切除術

最も多く行われている手術で、がんができた肺葉のみ切除します。

肺葉切除術

肺全摘術

がんが大きかったり肺の中心部にあったりする場合は、片方の肺をすべて切除します。

肺全摘術

縮小手術

がんの直径が2cm以下でリンパ節転移がなく、転移の可能性も低い場合は、がんとがんの周囲だけを小さく切除します。肺の機能を残せるのが長所で、肺がんの早期発見の増加に伴い行われるケースが増えています。

縮小手術

肺がん手術の種類や時間、術後のリハビリについて詳しく知りたい方はこちら

肺がんの薬物療法

肺がんの薬物治療

肺がんの薬には、従来の抗がん剤を使って治療する「化学療法」、特定のがん細胞に作用する「分子標的薬」、がん細胞ではなく、その周囲の血管に作用する「血管新生阻害薬」、免疫を利用した「免疫チェックポイント阻害薬」があります。

肺がん治療薬の種類について詳しく知りたい方はこちら



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