【特集】がん検診徹底解説 国が推奨する胃がん、肺がん、大腸がん、乳がん、子宮頸がんの検診

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【特集】がん検診徹底解説 国が推奨する胃がん、肺がん、大腸がん、乳がん、子宮頸がんの検診

がんは定期的な検診が早期発見につながり、適切な治療を行うことで治る可能性も高まります。国が推奨する5つのがん(胃がん・肺がん・大腸がん・乳がん・子宮頸がん)検診についてまとめました。これらのがんは、検診を行うことで集団の死亡率を下げる効果があることが確認されています。

国が推奨する5つのがん検診

がん検診

がんにはさまざまな種類がありますが、厚生労働省は、胃がん・肺がん・大腸がん・乳がん・子宮頸(けい)がん、この5つのがんに対し、定期的にがん検診を受けることを推奨しています。
これらのがんは、かかる患者さんの割合(り患率)や死亡率が高い一方、がん検診を行うことで集団の死亡率を下げる効果があることが、確認されています。

国が推奨する5つのがん検診の対象年齢や検査方法について詳しく知りたい方はこちら

がん検診の受診場所と費用

国が定めたがん検診は、住民票のある自治体で受けられます。職場によっては、定期健康診断と併せてがん検診も受診できる場合もあります。
がん検診の対象者向けに案内を郵送している自治体もありますが、そうでない場合は、自治体のホームページや広報誌を見て情報を集める必要があります。

がん検診の費用は、自治体や受診者の年齢・収入によって異なりますが、無料から数百円、数千円程度で受けられます。経済的な負担が小さく検査を受けられることは、がん検診の大きなメリットです。

国が推奨する5つのがん検診のほかに、自治体独自のがん検診、いわゆるオプション検診を行っている場合もあります。
がんを早期に発見して治療するメリットが、検査に伴って起こる可能性のある出血などの合併症や被爆のデメリットを上回るかどうか、自分の年齢や体力、がんの性質などを考慮したうえで、慎重に判断することが大切です。

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胃がん検診

胃がん検診

胃がんは、早く見つかれば切除して治せる可能性が高いがんです。厚生労働省の定めるがん検診の指針が2016年に一部改正され、改正前の「40歳以上を対象に1年に1回の受診を推奨」から、改正後は50歳以上を対象に2年に1回の受診推奨に変更されました。この背景には、現在の40代より若い世代では、胃がんの原因とされるヘリコバクター・ピロリ(ピロリ菌)の感染者が減り、胃がんの発症者が減っていることがあります。
また、検査項目も胃部エックス線検査(バリウム検査)か胃内視鏡検査のどちらかを選ぶことができるようになりました。ただし、自治体によってはまだ胃内視鏡検査を選択できないところもあるので、お住いの市区町村の保健センターなどで確認する必要があります。

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肺がん・大腸がん検診

肺がん・大腸がん検診

肺がんは、ほかの主ながんと比べて進行がはやく、転移しやすいため、定期的に「肺がん検診」を受けて、早期に発見することが大切です。肺がん検診は40歳以上を対象に1年に1回の受診が推奨されています。検査項目は問診と胸部エックス線検査で、50歳以上で喫煙指数が600以上の肺がんハイリスク対象者には、喀痰(かくたん)細胞診も併せて実施されます。
※喫煙指数:1日の喫煙本数 × 喫煙年数 から算出される

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大腸がんは、日本で最もかかる人が多いがんですが、早期に発見して適切な治療を行えば治る可能性の高いがんと言われています。大腸がん検診は40歳以上を対象に1年に1回の受診が推奨されています。検査項目は問診と便潜血検査です。便潜血検査では2日分の便を採取しますが、どちらか一方だけが陽性で一方が陰性という結果であっても、精密検査が必要です。

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乳がん・子宮頸がん検診

乳がん・子宮頸がん検診

乳がんは、早く見つけて適切な治療をすれば治る可能性が高いがんです。乳がん検診は40歳以上の女性を対象に2年に1回の受診が推奨されています。検査項目は問診と乳房エックス線検査(マンモグラフィー)です。

子宮頸がん検診は20歳以上の女性を対象に2年に1回の受診が推奨されています。検査項目には問診と視診、内診、子宮頸部の粘膜をこすって細胞をとり、顕微鏡で調べる細胞診があります。検診によって早期発見することが可能です。

なお、子宮体がんに対する検診の効果はまだよくわかっていないため、国が推奨するがん検診には含まれていません。子宮体がんは比較的早期から不正性器出血がみられるため、とくに閉経後に不正性器出血がある場合には、早めに産婦人科を受診しましょう。

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がん検診は受けて終わりではありません。その後、要精密検査の結果を受け取ったら、必ず精密検査を受けに行くようにしましょう。



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