【特集】便秘になりやすい人・便秘薬・改善&予防法について

更新日

【特集】便秘になりやすい人・便秘薬・改善&予防法について

お通じのお悩み「便秘」。最近、便秘は命に関わることもある病気だということが明らかになってきました。便秘によって寿命が短くなる可能性があることを明らかにした海外の研究もあります。「便秘は体質だから...」とあきらめずに治療することが大切です。



便秘とは

便通は毎日あるのが健康な状態です。正常な場合、大腸にはいった便のもとは、腸の壁がゆっくり波打つように収縮するぜん動運動によって運ばれ、大腸を通過する間に水分が吸収されて排便時の硬さになっていきます。

排便の仕組み
排便の仕組み

便秘とは「便を十分量かつ快適に排出できない状態」と定義されます。何らかの理由で便が長時間大腸の中にとどまり、どんどん水分が吸収されて便が硬くなっていった結果、お通じを出しにくくなるというのが、便秘の一つの状況です。
また、排便回数が少ない場合も同様に便秘であると言えますが、目安としては週3回未満の場合、便秘が疑われます。

便秘の症状について詳しく知りたい方はこちら



便秘の原因

便秘の原因には次のようなものが挙げられます。

  • 老化による筋肉や感覚の衰え
  • 女性ホルモンによって大腸のぜん動運動が抑制される
  • 食事量と水分摂取量が少ない
  • 過度なストレス
  • トイレを長時間我慢する
  • 大腸がん、パーキンソン病、レビー小体型認知症、糖尿病などの病気
  • 医薬品の副作用



便秘になりやすい人とは

こういう人は特に便秘になりやすい

女性

男性よりも女性のほうが便秘になりやすい体質です。なぜなら、女性ホルモンが大腸のぜん動運動をゆっくりにする働きをもつためです。また、一般的に男性よりも女性のほうが、食事量が少ないのも関係しているといえるでしょう。過度なダイエットなどで食事量を減らすと大腸での便形成に悪影響を与えるため注意が必要です。

高齢者

加齢によって筋肉が衰え、排便の力が弱まってしまい便秘につながるケースもあります。また、高齢者は便意を感じづらくなるため、適切なタイミングで排便を行うことができず、結果的に便秘につながることもあります。

日常が忙しい人

忙しい人の生活習慣は便秘を引き起こしやすい傾向にあります。例えば、時間がなくて食事をとらないと、便の量が少なくなり、便が直腸にたまって便意を感じるまでに非常に時間がかかってしまいます。

また、忙しいとトイレに行きたくても我慢してしまうことが多くあるようです。排便を我慢すると一時的に排便しづらくなるだけでなく、便意を感じづらくなることで、その後長期にわたって便秘に悩まされるケースも起こりえます。

便秘薬を知ろう


主な便秘薬の種類

市販の便秘薬には大きく分けると「刺激性下剤」と「機械的下剤」というタイプがあります。「刺激性下剤」は腸を刺激して、腸の運動を活発にして便を外に出します。一方、「機械的下剤」は薬が水分を含んで便をやわらかくしたり、薬自体が膨張してその圧力で便を押し出したりする、といったように便秘薬によって作用の仕方が異なります。

刺激性下剤

センナ

センナなどアントラキノン系の刺激性下剤は、大腸の粘膜を刺激して大腸が波打つように動く「ぜん動運動」を高めて、強制的に便を排出する薬です。便秘がとてもつらいときに限って一時的に使います。ただし、この薬を日常的に長期間使っていると、耐性(薬に対する抵抗)が増し、ぜん動運動の動きが弱くなります。その結果、薬の量を増やさないと便意が現れなかったり、便意そのものがなくなったりすることがあります。
アントラキノン系の刺激性下剤は毎日使ってはいけません。

機械的下剤

酸化マグネシウム

慢性的に便秘が続いているときに適しています。酸化マグネシウムは、便を軟らかくして排便を促す薬で、定期的に使用しても安全と言われています。ただし、マグネシウムを成分としているものは、高齢者や腎臓病の人ではマグネシウムの血中濃度が高くなってしまうことがあり注意が必要です。また、マグネシウムが他の薬の吸収を抑えてしまうなど、のみ合わせの問題が起こる場合もあります。

新しい薬の登場

最近になって、従来から使われてきた便秘薬とは働きが異なる新しい薬が、次々と登場しています。

従来の薬と働きが異なる新薬についてはこちら

市販の便秘薬が、かえって便秘を悪化させる?

市販されている下剤の中には、使い方を間違えると便秘を悪化させてしまうものがあります。

大腸メラノーシス

アントラキノン系の刺激性下剤によって腸の粘膜を障害し、大腸メラノーシスを引き起こすことがあります。大腸メラノーシスとは大腸の粘膜が黒くなる疾患です。
毎日のように日常的に長期間服用することで、大腸メラノーシスを発症します。週1~2回くらいの服用であれば発症することは通常ありません。また薬をやめればしばらくすると元に戻ります。



便秘の改善・予防

便秘の改善には、薬を使用するほかに、食生活を整えたり、腸の動きを活発にするために運動を行うことが大切です。また排便習慣をつけることも重要です。

便秘に関する間違った理解「食物繊維について」

食物繊維を多く含む食材は便秘予防につながります。また、便秘になった人が食物繊維を適量とることは便秘改善につながります。しかし、便秘になった人が更にひどい便秘を引き起こすおそれがある食物繊維もあるので注意が必要です。
便秘が重めの方は(重症の方は)、不溶性食物繊維を多く含む食材をとりすぎないように注意しましょう。

「不溶性」を多く含む食材は…

  • 大麦
  • 玄米
  • さつま芋
  • ごぼう
  • にんじん
  • ほうれんそう
  • 小松菜 など

なぜ不溶性食物繊維をとりすぎると便秘が悪化するのか 詳しく知りたい方はこちら

自分の便をチェックして便秘を予防する

便秘と大きく関係するのが、便の形と硬さです。日頃から自分の便をチェックして便秘を予防しましょう。
理想の便は熟したバナナ位の形と柔らかさと言われています。それは、熟したバナナくらいの形とやわらかさであればスムーズに排便できるからです。

便の形と硬さ

便秘を起こす便は➀や②のコロコロした便です。コロコロした便が出た時は食生活に注意し、自分ができる範囲で運動を行うようにしましょう。

「自分の便のチェック」について詳しく知りたい方はこちら

便秘の改善方法・予防方法を実践しても週3回程度の排便がなく、加えて腹部膨満、残便感などがある場合には一般の内科、あるいは消化器外来、消化器内科などを受診することをおすすめします。 便秘が続くことで、うつや不安などの心理的な影響が生じたり、日常生活に支障を来したりする場合があります。中には大腸がんなどの悪性疾患が関与して便秘になる場合もありますので、心配であれば、たかが便秘と思わず、医療機関に相談しましょう。



便秘に関するご質問

『Q&A 便秘』はこちら