【Q&A】胃がん手術経験がある父 食道がん手術して体力的に大丈夫?

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81歳の父が食道がんと診断され、転移が怪しい箇所が1か所とのこと。内視鏡では難しいと言われ、手術か化学療法か選択をしなければなりません。年齢の割に体格もよく認知もはっきりしているためか、主治医の説明は手術中心だったので、父は手術に気持ちが傾いています。
10年前に胃がんで2/3ほど切除しているため小腸を食道の代わりにし、2回に分けて手術を行うとのこと。淡々と話されたので「そういうものか」と思ったのですが、今回の番組を見て改めて手術の大変さや体への負担を知り、本当に手術がよいのか考えてしまいました。
「がんは最初が肝心」という先生の言葉は納得いくし、どの治療を選択するにしても「覚悟を決めて」と言われており、頭では理解しているものの悩みや不安が尽きず決めきれません。もし、主治医に聞いた方がよいこと、確認したほうがよいことがあったら教えてください。(48歳 女性)

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専門家による回答

手術か化学放射線療法かの治療選択は大きな問題です。81歳と高齢のためどちらを選択するにしても、体には非常に大きな負担となります。
手術では胃を使った再建ができない場合、大腸もしくは小腸を使った再建を行うことが一般的です。手術での負担を軽くするために2回に分けた手術を主治医の先生が提案されたのは妥当な判断だと考えられます。
食道がんの手術死亡は約3%と報告されていますが、高齢かつ胃がん手術の既往のある方のリスクはさらに上がります。一方、化学放射線療法も体に負担のない治療ではありません。高齢者では十分な量の抗がん剤の投与ができない場合もあります。化学放射線療法を完遂した後にがんが残っていた場合、負担がより大きくなるため追加で手術を行うことができなくなることが想定されます。高齢者の場合には放射線単独療法も選択肢となります。
高齢・胃手術後ということを加味した上での各治療法の成績(5年生存率、合併症や死亡率など)をおかかりの施設で確認した上で治療法を決めることをおすすめします。また場合によっては他施設にセカンドオピニオンを求めるのも一つの手段と考えられます。

(2017年7月10日(月)、11日(火)放送関連)

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