【患者体験談】抗がん剤の副作用との戦い「乳がん」

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乳がんになったとき -私のチョイス-

HER2陽性の乳がんが見つかる

Aさんは58歳の時、左胸におよそ2cmの乳がんが見つかりました。がんの細胞を詳しく調べると、「HER2陽性」というタイプであることが分かりました。「HER2」とは、乳がんの細胞の表面にあるタンパク質の一種。これが、がん細胞を増殖させてしまうのです。

薬物治療を開始

乳がんの治療に使う薬は、がん細胞のタイプ「サブタイプ」によって違います。
HER2陽性タイプのがんと判明したAさんは、手術を行う前に、抗がん剤抗HER2薬を併用する治療を受けました。手術の前に少しでもがんを小さくしておくためです。

まずFECという3種類の抗がん剤を組み合わせた点滴を3週間に1回、計4回受けました。その後、ドセタキセルという抗がん剤と、トラスツズマブという抗HER2薬の点滴を3週間に1回、計4回通院しながら受けることになりました。

次々と抗がん剤の副作用が

初めて抗がん剤を投与したその日から、Aさんは副作用に苦しみました。強い吐き気に襲われ、吐き気止めの薬や水さえ飲めず、脱水症状になってしまったのです。
「もどしたくても何も出ないんですね。食べていないので。胃液の苦いのが出たりして、吐き気はかなり強かったです。」

さらに、2回目の抗がん剤を投与した頃には、大量の脱毛に悩まされました。抜けた髪は生えている髪と絡まってしまい、うまく取れませんでした。
「それを自分でジョキジョキ切って。あのときは本当に泣きましたね。」
吐き気や脱毛だけではありません。味覚障害、爪の変形、むくみなど、様々な副作用がAさんを苦しめました。

副作用を乗り越えるためのチョイスとは?

そこでAさんは、つらい抗がん剤治療を乗り越えるために、治療の記録をつけることをチョイスしました。抗がん剤を投与した日から、毎日体調を記録していったのです。すると次第に、副作用が出る時期を把握できるようになってきました。
「抗がん剤を受けた後半の10日間は元気なんだって思ったら、治療の日は前もって分かるので、それから10日くらいは動けないけれどもその後だったら大丈夫ということで、友達とランチに行くのを楽しみにしていました。そのためにこの10日は耐えようって思いました。」

さらにAさんには、一つの目標がありました。それは海外で行う娘の結婚式に出席することでした。
「とにかく病気を治して娘の結婚式に行きたいっていうのが、頑張る最大のモチベーションですね。」
苦しい治療のかいあって、大きかったがんが半年後には画像では見えないほど小さくなっていました。そこでAさんは乳房の一部を切除する乳房温存手術を受けました。手術は無事成功。半年後には楽しみにしていた娘の結婚式にも出席できました。
Aさんは、再発予防のために現在も3週間に1度、通院しながら治療を続けています。

手術後に使っているのは、抗がん剤ではなく、副作用の少ない抗HER2薬、トラスツズマブです。
「気持ち悪さもないですし、発疹が出たりむくみが出たりとかも本当にないです。もし体の中にまだHER2っていう悪いものがいるなら、徹底的にやっつけたいと思っています。」

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この記事は以下の番組から作成しています

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