【子どもの食塩摂取量】赤ちゃんから減塩して高血圧を抑える

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赤ちゃんの減塩 血圧に長く影響

赤ちゃんの減塩
赤ちゃんの減塩

赤ちゃんのときの食塩摂取量と血圧の関係を調べた海外の研究があります。
新生児を2つのグループに分け、グループAは普通のミルクや離乳食で育てました。赤ちゃん用のミルクはわずかに塩分を含みますが、グループBはその塩分を3分の1に減らしたミルクや離乳食で育てました。

6か月後、赤ちゃんの血圧を測定すると、減塩をしたグループBはグループAより血圧が低くなっていました。さらに15年後を調べたところ、やはり減塩をしたグループBのほうが血圧が低くなっていました。子どものときに減塩すれば、成長しても食塩をとり過ぎず血圧も抑えられる、という可能性が考えられるのです。

子どもの食塩摂取量 目標と現実

子どもの食塩摂取量 目標

子どもの食塩摂取量の目標(1日)は「日本人の食事摂取基準」(厚生労働省)で定められています。1~2歳では男子3.0g未満、女子3.5g未満。年齢にしたがって増え、12歳以上では男子8.0g未満、女子7.0g未満で成人と同じになります。なお、男女で異なるのは体格に差があるためです。

3歳児の食塩摂取量

では、子どもたちは実際にどれくらいの食塩を摂取しているのでしょう。3歳児を調べた研究では、グラフのように分布していました。1日3g程度の子どもが最も多いものの、平均すると4.4g。20%は6~10g、4%は10g以上と、大人並みにとり過ぎています。他の研究で、小学生は平均7.1g、中学生は平均7.6という報告もあります。同じく個人差が大きく、小学生でも10g以上の食塩を摂取している例があります。

子どもの減塩は大人の責任

子どもの味覚や食習慣を決めるのは大人です。当然ですが、両親の食塩摂取量が多いほど、子どもの食塩摂取量も多くなります。また、両親がスナック菓子などの間食をよくする場合、子どもの食塩摂取量が多くなる傾向もみられます。子どもの減塩には、まず周囲の大人が減塩に心がけ環境を整えることが大切なのです。

学校給食で減塩を実現(広島県呉市)

呉市の学校給食 1食の食塩量

子どもの減塩では、学校給食を改善する取り組みが注目されています。その先進地と言えるのが広島県の呉市です。呉市では、2012年から大部分の小学校と一部の中学校で、「適塩」給食と名づけた取り組みをスタートさせました。
それまで給食1食に含まれる食塩は3gを超えていましたが、徐々に減塩が進み2018年では2.2g台です。

鶏ときのこのシチュー
キャベツなどの蒸し煮

呉市の「適塩」給食、ある日の献立を再現しました。主菜は「鶏ときのこのシチュー」(左)。野菜もいろいろ入っています。シチューのルーを手作りすることで食塩をできるかぎり減らしました。鶏ガラのスープも食塩を加えていないタイプです。「減塩でもおいしく」がモットー。きのこなどの素材のうまみでおいしく食べられるそうです。
副菜は「キャベツなどの蒸し煮」(右)。みそとレモン果汁のドレッシングをかけてあります。呉市特産のレモンを生かし、みそは控えめです。

給食で減塩

1食全体で食塩は1.9g。数年かけて減塩してきたことから、子どもたちは薄味に少しずつ慣れ、いつも残さず食べていると聞いています。

おいしい減塩鍋レシピはこちら

詳しい内容は、きょうの健康テキスト 2018年12月 号に掲載されています。

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