5歳をすぎてもおねしょする「夜尿症」の原因・治療・対処法

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子どもの病気・トラブルセルフケア・対処尿・排便がおかしい泌尿器

夜尿症とは

一般におねしょとは、幼児が夜間睡眠中に排尿してしまうことをいいます。5歳未満の子どもでは、発育過程の自然な現象なので問題になりません。しかし、5~6歳を過ぎても1か月間に数回以上おねしょをする場合には、夜尿症という病気として捉えられます。夜尿症にはほかの病気が隠れている場合もありますし、本人や親が困っているのであれば、医療機関を受診することが勧められます。治療を行えば、2年間で約80%の患者さんが治ることがわかっています。

夜尿症の原因

夜尿症の原因

夜尿症の原因は大きく2つあると考えられています。
1つは夜間睡眠中に尿の量が減らないことです。通常寝ている間は抗利尿ホルモンの働きによって尿量は少なくなりますが、このホルモンが夜間に十分に分泌されないために尿の量が減らず膀胱からあふれてしまうと考えられます。
もう1つの原因は、普通であれば寝ている間大きくなるはずの膀胱が大きくならないということが挙げられます。
これらがなぜ起こるかというと、睡眠リズムが悪いことと遺伝に起因します。睡眠リズムが崩れることによって自律神経が乱れ、睡眠中に起きるはずのことが行われなくなります。また、遺伝の側面からは、両親に夜尿がある場合は子どもの約75%に夜尿症が見られ、片方の親だけが夜尿症の場合でも50%の子どもに夜尿症が見られるという研究があります。

夜尿症の治療

夜尿症は自然に治る?

夜尿症の受診タイミング

夜尿症は自然に治ることもありますが、特に毎日おねしょをしている場合は治りにくいことがわかっています。本人や保護者の人が困っている、あるいは7~8歳になっても毎晩おねしょをする人は受診をお勧めします。
治療を行わない場合、自然治癒率は1年で10%~15%、3年で20%程度といわれています。一方で治療を行った場合は、1年で50%、2年で80%近くのこどもが治っています。

夜尿症 改善の経過

夜尿症には病気が潜んでいる可能性も

こんな場合は注意!関連する病気

夜尿症には別の病気が潜んでいる可能性もあります。例えば発育が遅れている場合、全身の臓器や腎臓の機能に問題があると夜尿になります。注意欠如・多動症、学習障害などの発達障害がある場合、脳から排尿をコントロールする信号が届かないことで夜尿になることがあります。あるいは尿路感染症、膀胱炎にかかったことがある場合、腎臓の病気で夜尿を引き起こしている可能性があります。その他にも、背骨、おしりの皮膚に異常がある場合は、特に注意が必要です。脊髄の中に腫瘍があると、背骨やおしりの皮膚にくぼみができることがあります。その腫瘍が排尿の信号を阻害して、夜尿につながっている可能性があるのです。

夜尿症は生活改善が重要

夜尿症には、国際的に標準化された治療方法があります。まず、治療の基本となるのが生活改善です。「早寝早起き」「夕食は寝る2~3時間前に済ませる」「水分は朝昼たっぷりとり、夕方から就寝までは控える」「塩分・糖分・果物をとりすぎない」といった点に注意して生活改善を行えば、1~2割の患者さんが治ると考えられています。生活改善を徹底しても効果が見られない場合には、生活改善を続けながら、医師と相談して、薬か夜尿アラームのどちらかを選択します。

薬と夜尿アラーム

夜尿症の治療(生活改善・薬・夜尿アラーム)

薬は、夜間に尿が多く作られるのを抑える抗利尿ホルモン薬を使います。夜尿アラームとは、漏れた尿を感知して音と振動を発する機器です。アラームによって排尿を無意識に止めることにより、大量の尿漏れが防げるとともに、膀胱[ぼうこう]が徐々に大きくなることも期待できます。多くの場合、約4~6週間で効果が見られ、再発も少なく、薬と同じくらいの効果が認められます。

夜尿症の宿泊行事対策

宿泊行事前の治療と対策

夜尿症の宿泊行事対策

学校などの宿泊行事には、時期に合わせた方法で対処しましょう。半年~3か月前までに治療を開始すると、かなり高い確率で夜尿を防ぐことができるので、まず日程を確認して治療を検討します。また、「夕食以降の水分は控える」「就寝前に2回排尿し膀胱を空にしてから寝る」などの生活改善を実行して、宿泊のときにも実行しましょう。

宿泊行事が差し迫っている場合には

宿泊行事が差し迫っている場合の夜尿症対策

宿泊行事が差し迫っている場合には、「薬を持参する」「先生に相談して起こしてもらう」、万が一失敗した場合のために「ぬれても目立たない黒や濃紺の衣類や、おねしょ対策用の吸水性のある下着や尿もれパッドなどを用意する」といった対策があります。パンツの裏側に尿もれパッドを入れるポケットを手作りすると、入浴などの際にも周りに気づかれにくくなります。男児は前方、女児は後方にポケットを縫い付けるとよいでしょう。

この記事は以下の番組から作成しています

  • きょうの健康 放送
    大丈夫?子どものおねしょ