うつ病の3つの種類と基本治療 精神療法・薬物療法

更新日

うつ病子どものうつ病高齢者のうつ病うつ状態が続く意欲の低下眠れない・眠りが浅いこころ脳・神経

うつ病の種類と症状

代表的なうつ病のタイプ

うつ病では、重症度を「軽症」「中等症」「重症」に分けるほか、さまざまなタイプがあります。代表的なタイプは「メランコリー」「非定型」「精神病性」の3つです。

メランコリーと非正型の比較
ランコリーと非定型の比較

メランコリーは最も典型的なタイプのうつ病です。「周りに迷惑をかけていないか」「すべて自分が悪い」など、自分を責めることが特徴です。また、午前2時、3時に目が覚めて、その後眠れない早朝覚醒や食欲低下、体重減少などの症状があります。

非定型は他人の言動に傷つきやすく、それをいつまでも引きずり落ち込むことが特徴です。さらに、朝起きられず日中も眠い状態が続き、一日中横になったまま動けない過眠の症状がみられます。

メランコリー型と非定型の中間的な患者さんもいて、どちらかと判断するのは難しい場合もあります。

精神病性のうつ病は、現実の認識がうまくできなくなっている状態で、うつ病の中でも重度で多くの場合は入院が必要になります。

精神病性うつ病

「幻覚・妄想」を伴うのが特徴です。大変な罪を犯してしまった、借金取りがそこまで来ているという妄想の症状が現れます。

中等症・重症のうつ病についてはこちら
軽症のうつ病についてはこちら

うつ病の治療

3つのタイプのうつ病に共通する治療は、精神療法と薬物療法です。

軽症のほとんどが精神療法で改善します。精神療法は、「医師が傾聴・共感する」「病気について患者さんに理解してもらう」「生活リズムを整える生活指導を行う」治療です。外来診療で、通常1〜2週間1回行います。
中等症以上のうつ病の場合は、薬物療法が必要になります。

うつ病 治療の柱

薬物療法

精神療法で効果がなかった場合や中等症以上、軽症でもメランコリーのうつ病には主に抗うつ薬を使用します。

抗うつ薬を使う期間

抗うつ薬は1種類を少量から開始します。1〜2週間ほどで効果が出始め、その後2〜3か月の間に改善が期待できます。改善後、服用をやめてしまうと再発する可能性があるため、半年から1年ほどのみ続ける必要があります。

なお、薬をのみ始めてしばらくは効果が現れずに食欲不振や吐き気、眠気、イライラ、口の中が渇く、便秘などの副作用が出ます。そのため、症状が悪化したと思い薬の服用をやめてしまうことが多くあります。自分の判断でやめずに医師と相談して、薬を変えながら治療を継続してください。

抗うつ薬 注意事項

抗うつ薬の使用については必ず医師から事前に説明を受け、治療を開始してからも主治医とよく話し合いながら治療を続ける必要があります。

抗うつ薬の種類についてはこちら

その他の治療法

薬の効果がどうしてもみられない場合は、通電療法(修正電気けいれん療法)を行います。修正電気けいれん療法は頭部に電極をあて、脳に電気を流してけいれんをおこす治療法です。基本的には入院をし、週2〜3回の治療をおよそ1か月間継続して行います。およそ90%の患者が改善されますが、全身麻酔で筋弛緩薬を併用して行うため初期の治療としては行われません。

秋から冬にかけて起こる季節性のうつ病には、朝に人工的な光を2時間ほど浴びる光療法が有効です。

この記事は以下の番組から作成しています

  • きょうの健康 放送
    うつ病を知ろう「さまざまなうつ病」