気がついた時には高血圧に
Aさん(60歳・男性)の趣味は登山にスキー。普段から活発に運動はしていましたが、2年前から徐々に血圧が上がり始めました。
「血圧が140、150、160mmHgと徐々に高くなっていたので、医師から薬による治療を勧められたのですが、薬をのみ始めると、一生、のまなければいけないと思い、抵抗がありました」
高血圧とは?
血圧は、上が140mmHg、下が90mmHgを超えると「高血圧」と診断されます。
高血圧になると、脳卒中や腎不全、心筋梗塞などの病気の発症率が高まります。
高血圧の治療は「生活習慣の改善」や、「降圧薬」などです。
新しい治療「高血圧治療補助アプリ」
薬の治療に抵抗があったAさん。医師からは、薬以外の治療方法を提案されました。
それが、2022年から保険適用となったスマホアプリ「高血圧治療補助アプリ」による治療でした。その人に合った生活習慣の改善メニューをアプリが提案し習慣化できるようサポートする治療法です。
実際のアプリの使い方です。
まず2週間で高血圧に対する知識を習得します。さらにアプリが提案してきた食事、運動、睡眠、アルコールなどの生活習慣の改善策の中から無理なくできそうなものを選びます。
「睡眠・運動については、もともとクリアしていたので問題なし。やはり改善しなければいけないと思ったのは、塩分の摂取とアルコールです。ただ晩酌が趣味なのでアルコールは続けることにして、塩分摂取をどうにかしたいと思ったんです」とAさん。
アプリは、Aさんの希望に応え、取り組みやすいメニューを自動的に提案してくれました。アプリが提案したAさんのメニューは、漬けもの・麺類などを食べない徹底した“減塩”でした。Aさんは、アプリのメニューに従い、定食を食べるときも漬物や味噌汁に手をつけないよう頑張りました。
アプリを使ってうれしい変化が
アプリを使いながら減塩に取り組む日々が続きました。すると毎日アプリに記録し続けていた血圧に嬉しい変化が現れました。
「ある時点から血圧が下がり始めたのを見て、効果があるんだと実感できました。これは積極的に取り組まなくてはいけない、と認識したんです」
アプリによる治療は6か月で終了します。その間にAさんは血圧を下げるための生活習慣、特に減塩を続けることに成功。治療を始めて約1年が過ぎたAさんの血圧は、120~130mmHg程度にまで改善しました。
「アプリでこんなに変わるものなのかと驚きました。生活習慣が大切だというのはよく聞くけど、こんなに効くとは思わなかったです。ものすごく良かったです」