フレイルの予防に「スマホアプリ」が注目を集めています。スマホアプリを使ったフレイル予防の取り組みを紹介します。
フレイルとは
フレイルは、「虚弱」を意味するFrailty(フレイルティ)という英単語を元にした造語で、病気ではないけれども、体力や活力が低下した状態、つまり、健康状態と要介護状態の中間の状態のことです。
具体的には、体重減少、筋力低下(握力低下)、疲労感、歩行速度の低下、身体活動の低下の5つの基準のうち、3つ以上が該当するとフレイルです。
フレイル予防には「人とのつながり」が重要
自立して生活している5万人の高齢者を対象にした調査があります。「身体活動(運動習慣)」「文化活動(趣味のサークルに通うなど)」「ボランティア・地域活動」の3つの活動について、それぞれの有無とフレイルのなりやすさの関連性を調べたところ、「3つの活動をすべて行っている人」に比べ、「3つの活動をどれも行っていない人」はフレイルのなりやすさ(オッズ比)が約16倍でした。「運動習慣はあるものの、文化活動やボランティア・地域活動はしていない人」では約6倍、「運動習慣はないものの文化活動とボランティア・地域活動を行っている人」では約2倍でした。この調査結果から、運動習慣も重要ですが、文化活動、ボランティア・地域活動といった「人とのつながり」のある活動を複数行うことも重要であることがわかりました。フレイルを予防する上で「人とのつながり」が重要と考えられます。
フレイルを予防するスマホアプリの実証実験
神奈川県藤沢市、慶應義塾大学、アプリ開発会社が協力して、直接会わなくてもつながれる仲間づくりと運動習慣の獲得を目指したスマホアプリを使用した実証実験を行いました。その結果、アプリを活用したグループの目標歩数の達成率は3か月後で約99%でした。さらに、1日の平均歩数が6900歩から8200歩に増加しました。アプリを使わなかったグループの1日の平均歩数には大きな変化はみられませんでした。
スマホは強い味方
スマホで利用できるアプリには、1日の歩数や体重を記録するもの、仲間と会わなくてもコミュニケーションできるものなどがあります。自治体が健康アプリを提供しているところも増えていますので、地域でどのような取り組みがあるのか調べてみるとよいでしょう。また、自治体や携帯電話会社が開催するスマホ教室などに参加したり、スマホに詳しい家族や友人に教えてもらったりするのもよいでしょう。