【専門家が回答】認知症に関するご質問

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セルフケア・対処アルツハイマー病認知症物忘れをするうつ状態が続く意欲の低下脳・神経こころ

【Q&A】軽い便失禁 本人が認めないが改善法は?

母がアルツハイマー型認知症と診断されて約10年になります。数年前から軽い便失禁があります。ソファーの座るところにバスタオルを敷いて、汚れたら取り替えるようにしています。本人は便失禁を認めません。改善する方法はありますか?なお、母は足腰が丈夫で要介護認定は受けていません。
(60代 女性)

専門家による回答

お母様の便失禁は、認知症が原因の可能性が高いと思われます。認知症では、尿意や便意を感知する脳の機能が低下するためです。ただ、誰しも便失禁は認めたくないでしょう。「自分がそんな失敗をするはずがない」という自尊心もあると思います。ですから、便失禁があったことを指摘するのは逆効果です。排せつはデリケートな問題なので、さり気なく対応することが大切です。バスタオルを敷いておくのは、よい方法だと思います。ほかにも、最近は履きやすい紙おむつも市販されていますので、それを利用するのも1つの方法です。また、漏れる前に、あらかじめ「何時にトイレに行く」「1日に何回トイレに行く」など、時間を決めてトイレに誘ってみるのもよいかもしれません。
もし、足腰が丈夫だからという理由で要介護認定の申請をしていないのであれば、たとえ足腰が丈夫でも、認知症があり排せつがうまくできないことを伝えれば、要介護認定が受けられ、さまざまな介護保険サービスを利用できるでしょう。市区町村の窓口や、地域包括支援センターに相談してください。

【Q&A】1人暮らし 早期に自分で認知症に気づくには?

1人暮らしです。1人でも認知症に早く気づき、自分で受診できるようにするには、どうすればよいでしょうか?
(60代 女性)

専門家による回答

認知症の診断が可能な医療機関で、まずは一度、頭部のMRI検査を受けるとよいでしょう。人間の脳は60歳代以降、誰でも少しずつ萎縮が進んでいきます。ただし加齢による脳の変化には個人差があり、高齢になるほど、その差は大きくなります。そのため、たとえ専門医であっても最初にMRI画像を見たときは、かなり強い萎縮の場合は別として、萎縮が加齢によるものなのか、認知症によるものか、判断に迷うことが多々あります。その場合、以前に撮影したMRI画像があると、その画像と比較して進行具合を確認することができるので、2~3年に一度、頭部のMRI検査を受けることをお勧めします。このほか、質問式の認知機能検査もあります。これらの検査を受けていれば、多くの場合、認知症を早期発見できるでしょう。

詳しい内容は、きょうの健康テキスト 2023年12月 号に掲載されています。

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