【あの人の健康法】秋野暢子 がんを乗り越えて見つけた色彩

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食道がんのどがおかしいのど胃・腸・食道

食道がんの告知を受けて…

2021年の冬頃からのどに違和感があったという秋野さん。医療機関を受診しても、なかなか原因がわからず、およそ半年かけて、やっとわかった病名が「食道がん」でした。そのときの心境は…

「“原因がわかって良かった”と思ったんです。原因がわかった以上は、“よし!闘っていこう!”っていう気持ちになったんですよね」

秋野暢子さん

がん治療 迫られた選択

最初に見つかった秋野さんの「食道がん」は、全部で5つ。そのうちの1つは、ステージ3で大きさ4センチほどもあり、声帯にかなり近い位置にありました。確実に治療するために、がんを声帯ごと切除する手術を勧められました。しかしそれでは、声を失うことになり、これまでのような仕事はできなくなってしまいます。手術ではなく、放射線と抗がん剤を使う治療もありますが、手術よりは確実性が落ちるという診断でした。秋野さんは決断を迫られました。

最初に見つかった秋野さんの「食道がん」

「そのとき、私の娘とめいが同席していまして、めいは思いっきり泣いてました。めいは治る確率が高い手術をしてほしいと言ってくれました。娘は“それはママの人生だからママが決めて”って。
どちらを選ぶかは、その人の年齢や置かれてる環境や、家族との関係性など、いろいろ関係するので、何が正しいとは言えないんですけど、私の場合は声を残したいという気持ちが強くて、手術ではなく、放射線と抗がん剤による治療を受けることに決めました」

がん治療は“鬼退治”

放射線と抗がん剤によってがんと闘うことを決断した秋野さん。
ブログの中で、がん治療を「鬼退治」と表現しています。その理由は…

「がんとは、1人では闘えないんですよね。やっぱり、お医者様だとか、看護師さん、検査技師さん、家族や友だちなど、いろんな人たちの力がないと闘えない、要するにそういう仲間というか、一緒に闘ってくれる、猿やキジや犬の力を借りて、きびだんごを持って、いろんなものがあって初めて、鬼退治に行けるって思ったので、それで鬼退治という言い方をしたんですけど」

鬼退治

そんな秋野さん、鬼退治をする上で大切にしたものがあるといいます。

「まずやっぱり闘うためには、仲間、そして体力が必要です。体力がないと病気に負けちゃいますから。それと、がんとはどういうものなのかっていう正確な知識、それから、前向きな心ですね。体力、知識、心、仲間、これは大切だと思います」

秋野さんは、入院中も運動や勉強に取り組むことで、がんという敵に打ち勝つための「体力」や「知識」を蓄えました。また、毎朝、鏡の前で笑うことを続け、「前向きな心」を育んでいました。さらに、医療機関のスタッフや、家族、友人、ファンといった多くの「仲間」が秋野さんの鬼退治を支えました。

がんを乗り越えて見えた色彩

2023年4月、ついに食道がんは「寛解」に至ります。

「病気になって、本当にこのなんでもない日常が奇跡だってことがよくわかりました。日常全てが奇跡なんですね。食べたり、飲んだり、歩いたり。ふつうにできることが奇跡なんですよね。奇跡って突然降って湧いたように起こるんじゃなくて、毎日が奇跡だったんだっていうことが、よくわかりました。だから、やっぱりこの日々に感謝し、大切に今日生きる。そして明日も生きる」

がん治療を通して、日常の景色の見え方も変わってきたという秋野さん。
2023年の7月に、これまで描きためてきた絵画やアートフラワーの個展を開催しました。
そのポスターに添えられた言葉は「がんを乗り越えて、新たな色を見つける」でした。

「今まで描きためていた絵を改めて見てみたら、描いたときとは色が違って見えたんですね。一つ一つの色や形が愛おしいというか。これも一つずつ奇跡なんだな。奇跡の出会いがあったんだなということを改めて思ったんです。そんなとき、友人が私の絵を見て、“これ、みんなが元気をもらえる絵だね”って言ってくれたんですね。私には以前とは違って物が見えるなって思っていたんだけど、友達が見ると、“それはみんながそう思うよ”って。“新しい色がそこにあったり、元気がもらえる絵だから、個展とかやったらいいのに”って言われて、ああそうかと思って、それで個展をさせていただいたんです」

「個展であったり、トークショーであったり、テレビでお話したり、そういうことが一つ一つ、何かしらの皆さんのお役に立つんではないかなと思って、今後活動していこうかなって思ってます。それこそ私の鬼退治の最終は、そこだなって思ってます」

個展のポスターにも使用した作品【き・ぼ・う】※個展のポスターにも使用した作品【き・ぼ・う】

秋野暢子さん 未来に向けての言葉

がんを乗り越えた秋野さん。大切にしたい言葉を色紙に書いてくれました。

「私が信条にしております“暢気(のんき)”。暢気に暮らすって、とっても大切だなって思ってるんですね。実は秋野暢子の“暢”っていう字は“暢気”の“暢”って字なんですね。暢気だっていうのって大事だと思いません?あんまり深く考えたって、なるようにしかなりません。だったら明るく暢気に暮らしていこうと思っています」

秋野暢子さん

この記事は以下の番組から作成しています

  • きょうの健康 放送
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