【患者体験談】がんと言われたとき 相談支援施設を活用、医師に何をどのように確認すべきか

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がんと診断されたときのイメージ

突然のがん告知

会社員のAさん(女性・50代)は5年前、右の胸に硬いものがあることに気がつき、がんの検査専門のクリニックを受診しました。

検査の結果はステージ1の「乳がん」。がんが乳管にそって広がっていたので、右の乳房をすべて取らなければいけないと説明されました。

「不安になりました。これから生活はどうなるのだろうと」

がんについて調べているイメージ

告知後の苦しみ

がんと告知されたAさん。
高齢の両親を心配させまいと、病院で言われたことをほとんど話しませんでした。
そして、自分1人でがんの情報や病院について調べ始めることにし、インターネットや本で乳がん患者の体験談を読み続けました。
しかし、大量の情報を一人で抱え込み、かえって自分にどのような治療が合うのか、わからなくなったと言います。

「この混乱した気持ちをどうやって片付けたらいいのだろう。不安になってしまいました」

告知から2週間後、治療する病院は決めたAさんですが、夜に電気を消して眠るのを怖く感じるほど不安な日々が続いていました。

不安を感じている女性"

相談支援施設を活用してがんに立ち向かう

Aさんは、がん専門の相談支援施設を訪れます。
がんの知識が豊富な看護師や心理士などのスタッフに、自分の不安・悩みを告白しました。

「病院とは違うお友達の家に来たような感じ。泣きながら話して、力が抜けていったという感じでした」

Aさんは、専門スタッフと話すことで、がんと向き合う決意ができたと言います。その結果、納得して手術を受けることができたのです。

手術後もAさんは、再発予防の抗がん剤治療について、主治医に質問を積極的にすることができるようになったと言います。

「相談支援施設で自分の考えを整理できた。悩んで乗り越え、がんとの向き合い方を教わったと思います」

がんと告知されたときの心の変化

がんと告知されたときの心の変化

「がん」と告知されると、「がん=死」というイメージもあり、当然、誰もが、大きなショックを受け、落ち込んでしまいます。しかし、ある研究から、告知されたあと、2週間ほど時間が経つと、日常生活に支障がない状態に戻る方が多いことがわかってきました。もちろん、中には日常生活の支障が続き、ときに適応障害・うつ病になる方もいます。落ち込んだ状態が長引く場合には、早めに専門医やがん専門の相談支援施設に相談しましょう。

大切にしたい医師との会話

医師の話を聞く時の心構え

自分のがんについて、医師などに話を聞くときに、是非、覚えておきたいポイントがあります。具体的には、1人で聞かない・メモする・録音するなどです。もし、頭が真っ白になり、医師などの話が理解できなくなっても、家族・友人が一緒にいてくれれば、代わりに聞いてくれたり、質問してくれたりします。また、説明の際に、初めて聞く専門用語や、さまざまな検査数値の話もあるかもしれません。メモや録音があれば、内容を再確認することができますし、家族・友人と一緒に確認しあうことで、自分のがんの状態や治療内容などをより理解することができるかもしれません。

確認したい3つのポイント

がんと言われたとき確認したいポイント

がんと言われたとき、少なくとも次のことは確認しましょう。
まずは「何のがん?」。例えば、肺にがんが見つかった場合、「肺がん」の場合もあれば、「大腸がん」が肺に転移した結果、肺にできる場合もあります。そもそもどの臓器に発生したがんなのかで、治療もときに変わるのです。次に「進行度は?」。自分のがんの大きさ、位置・深さ、転移しているかどうかなどを含め、どのくらい進行しているのか、詳しく確認しましょう。さらに「治療の選択肢は?」。治療は、がんの状態や持病の有無、体の状態によっても変わります。自分の場合、どういう治療があるのか、他の治療はあるのか、それぞれの治療のメリット・デメリットを含めて確認しましょう。

注意したいウェブサイトの例

架空ウェブサイトの例

インターネットには、さまざまな情報があふれています。不確かな情報に惑わされないためにも、何に注意したらよいのか、日本医科大学勝俣範之教授にお話しを伺い、架空のウェブサイトの例を作成しました。
注意したいポイントとしては、標準治療ではない「保険適用外の自由診療」を前面に押し出している、「がんが消えた」などの言葉が載せられている、個別の事例での治療の効果などを載せている、などがあります。このようなウェブサイトには十分注意しましょう。

この記事は以下の番組から作成しています

  • チョイス 放送
    がんと言われたとき