【患者体験談】大腸がんの手術で人工肛門に

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大腸がん胃・腸・食道

大腸がんになったとき -私のチョイス-

トイレにいる男性イメージ

トイレで違和感 肛門に「出っ張り」が

歯科医のAさん(男性・67歳)。51歳のときにトイレで異変に気付きました。トイレットペーパーでお尻を拭いたときに肛門に「出っ張り」を感じたのです。実は若い頃、痔(じ)で悩んでいたAさん。以前通っていた痔の病院を受診しました。すると肛門の内側に小さなでき物が見つかり一部を切り取って検査することになりました。

「検査結果を聞きに行ったら『がん細胞です』と言われた。自分の中では一瞬どうしようかとなって」

極めて珍しい「肛門管がん」

肛門管がん

肛門にがんができたと聞いたAさんは、がんの専門病院に行きました。すると大腸がんの中でも2パーセント程度といわれる極めて珍しい「肛門管がん」だと分かりました。医師からは、手術すればがんは取り切れると言われました。しかしAさんの場合、肛門のへりにがんができていて肛門も一緒に切除する必要がありました。こうした場合、肛門の代わりに「人工肛門」をつけることになります。

肛門のへりにがんがあるイラスト
人工肛門のイラスト

人工肛門とは

肛門の近くにがんがある場合、肛門の筋肉も一緒に切除する必要があります。その結果、便の排出をコントロールする肛門の働きが失われることがあります。そうした時に検討するのが「人工肛門」です。おなかから腸の先端を出して専用の袋の中に便がたまるようにする仕組みです。

人工肛門の暮らし

Aさんは当初、人工肛門に抵抗があったといいます。

「セカンド、サードオピニオンを受けましたが、やはり肛門にできたがんを確実に取った方がいいと言われ、それだったらそうしようと納得はしました」

人工肛門は、便をためる「装具」をおなかに貼りつけます。Aさんは、初めの頃は装具の使い方がよく分からず、便を漏らすこともあったといいます。
また人工肛門からは便だけでなくガスも出ます。そのため歯科医ならではの気になることも。歯の治療中は患者との距離が近いため、音が聞こえたり、においが漏れたりしないか心配な時があるのです。そんな時は治療を一度止めてトイレに行くことにしています。

いま、Aさんは、食事やお酒は好きなだけ楽しめているし、運動にも制限はないといいます。2年前には家族で富士山に登ることもできました。

「全部が普通ということではないが、生活しにくいとか悲観することは全くないと思う。できないことはないと思う」

この記事は以下の番組から作成しています

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