ヘルパンギーナやRSウイルス 夏に感染症が同時流行!その対策は?

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ヘルパンギーナプール熱(咽頭結膜熱)インフルエンザ熱があるのどがおかしいせきがでる発疹が出たのど呼吸器口・あご

夏に感染症が同時流行

2023年の夏は、夏かぜの「ヘルパンギーナ」や、秋から冬にかけて流行する「RSウイルス」、そして「インフルエンザ」など、多くの感染症が流行しています。このようにさまざまな感染症が夏に同時に流行するというのは異例の事態と言えます。理由のひとつに考えられるのが、これまで、新型コロナへの注意をしていたことで、他の感染症もあわせて予防になっていたのではないかということです。そうした中、感染症対策が緩くなってきたことでさまざまな感染症が広がりやすい状況になってきたのではないかと考えられます。

過去10年間で最多 ヘルパンギーナ

ヘルパンギーナ

ヘルパンギーナの症状と原因、注意点

夏なのに大流行!RSウイルスとは?

RSウイルスとは

秋から冬にかけて流行することが多いRSウイルスが今夏、猛威を振るっています。どこにでもいる一般的なウイルスで、熱やせきなど、かぜのような症状が出る病気です。大人になるまで何度もかかって免疫を獲得するので、大人が感染しても鼻かぜ程度ですみます。しかし、免疫を持たない小さい子どもが初めて感染すると肺炎や気管支炎を起こして、重症化することがあります。特に生後3か月くらいまでの乳児の場合は、呼吸困難などで命の危険もあるので、じゅうぶんな注意が必要です。免疫が弱くなってきている高齢者も、肺炎を起こしたり悪化することが稀ではないことが最近知られてきています。

治療は基本的に対症療法です。呼吸が苦しそうであれば、酸素投与や呼吸を助ける治療をします。鼻が詰まっていれば、分泌物を取ったり、たんを吸引したり、水分が取れていなかったら点滴も必要です。重症化すると呼吸の様子や顔色など細かい観察が必要になるので入院することになります。特に乳児や、心臓などに基礎疾患のある子どもの場合には、危険性が高くなるので、小児科のある医療機関を早く受診してください。

溶連菌感染症とは?

溶連菌感染症とは

正式な病名はA群溶血性レンサ球菌咽頭炎。大人から子どもまでかかる病気です。2023年5月から一気に増えました。症状はさまざまですが、典型的なものは発熱とともにのどの奥が真っ赤に腫れ、イチゴの様なブツブツが現れる「苺舌(いちごじた)」がみられます。全身に「紅斑」と呼ばれる真っ赤な発疹が出る場合もあります。また、心臓や腎臓に合併症を起こすことがあるので、きちんと治療を受けることが必要です。

溶連菌は、抗生剤(抗菌薬)が効果を表します。治療を開始して24時間以上たつと、他の人にうつさなくなるくらい菌の量は減少しますが、合併症、あるいは再発を防止するために、1週間~10日間、症状がなくなっても薬を服用し続けることが大切です。

長引くせき 百日ぜきとは?

長引くせき 百日ぜき

百日ぜきは2022年の3倍のペースで流行しています。コロナ禍でワクチン(4種混合)の接種率が落ちてしまったのが原因と考えられています。
はじまりはかぜの症状ですが、次第にせきの回数が増え、息も苦しくなることがあります。息を吸い込むときに「ヒューッ」という高い笛のような音が聞こえるのも特徴的です。熱などから回復してからも、その名の通り、苦しい発作性の咳が2〜3か月続きます。肺炎や脳炎、脳出血などの合併症を起こすこともあります。
大人の場合は軽いことが多いのですが、そのために治療がおろそかになって人にうつしやすく、子どもさんやお孫さんにうつし、子どもたちが重くなることがあるので、軽いせきでも長引く場合はきちんと診断治療を受けることが大切です。特に生後6か月未満の乳児がかかると、重篤な症状が現れ、命の危険がある病気です。
抗生剤で早期に治療を始めれば、急性期の症状は良くなりますが、せきは菌がいなくなっても続くため、苦しむことになります。

高齢者は重症化に注意!ヒトメタニューモウイルス

ヒトメタニューモウイルスは、比較的最近見つかったウイルスで、幼児で流行することが多いのですが、大人にも感染します。せきや熱、鼻水などが症状で、乳幼児や高齢者では重症化することもあるので注意が必要です。
特別な治療法はなく、特効薬もありません。このため、症状を和らげるせき止めや解熱剤など対症療法が行われます。高熱が続くと体力を消耗し、脱水症状を引き起こすことがありますので、水分を補給し、安静にすることが大切です。

その他 今流行している感染症

メリハリのある予防対策を普段から

今は不要不急の外出は控えましょうとかマスクをずっとつけましょうというような段階ではありません。大切なのは、対策すべきときにするということ。例えば、コロナの感染者が増えてきているような状況なら「人混みで密閉されているような状況ならマスクをつける」「帰省などで高齢の両親に久々に会うときは気をつける」など、状況に応じたメリハリのある対策が大切かと思います。きちんと手を洗う、といった何気ない行動が、実は多くの感染症にとって有効なので、コロナ禍の3年間で身についた習慣を、ぜひ継続させてください。

この記事は以下の番組から作成しています

  • きょうの健康 放送
    ニュース「感染症同時流行 対策は?」