「食事」と「会話」に欠かせない!のどの筋肉
食べ物を飲み込むことをえん下といいますが、のどの筋力が落ちるとこのえん下機能も低下します。
すると、本来食道に入る食物とともに、ウイルスなどが一緒に入り、「誤えん性肺炎」肺炎を起こすことがあります。誤えん性肺炎は、高齢になればなるほど割合が上がり、90歳では肺炎のほとんどが「誤えん性肺炎」となっています。
また、のどの筋肉の衰えは、声が上手く出なくなる「発声障害」の一因にもなります。発声が上手くできなくなると、コミュニケーションに不安があるせいで、生活の質が落ちたり、社会への参加機会が減ったりします。このことが認知症のリスクを高める可能性があります。
「のどの筋肉」を鍛えよう!
食事をおいしく食べる、楽しく会話する、日常の中の喜びに直結する「のどの筋肉」。
そんな、のどの筋肉を鍛える筋トレを3つ紹介します。
デコトレ
のどの筋肉の中でも、特にえん下をするときに働く「舌骨筋群」を鍛えます。
おへそをのぞき込むイメージで、あごを引きます。このとき、おでこに手のひらを当て、押し返すように力を加えます。この状態を5秒ほどキープ。休憩をはさみながら、5回から10回繰り返しましょう。
※痛みがある場合は無理に行わないでください。また、行う前には「首を左右に回す」「肩を上下にゆする」など、首や肩の筋肉をほぐすストレッチをしておきましょう。
ベロトレ
えん下はもちろん、会話にも欠かせない「舌」の筋肉を鍛えます。
(1)口を開け、舌を前方に出す、ひっこめる、を5回ほど繰り返します。
(2)舌を口の中で、左右のほほに押し付けます。外から指でほほを押さえておくと、舌の動きがわかりやすくなります。左右それぞれ、5回ずつを目安に行いましょう。
(3)口の中で、舌を前歯の歯茎に沿わせるように回転させます。左右5回転ずつ行います。
ストロートレ
発声障害だけでなく、誤えんを防ぐ「声帯」を鍛える筋トレです。
(1)ストローを口にくわえた状態で、「う」か「お」の声を出します。息を吐くのではなく、きちんと声を出しましょう。5秒ほどを、3回程度繰り返してください。
(2)最初に出した声よりも「高い」音程の声で、同じく5秒間を3回繰り返します。
(3)慣れてきたら「歌う」のもおススメです。
※水の入ったコップにストローの先を入れ行うと、感覚がつかみやすくなります。
声のカスレに要注意!
のどの筋肉の衰えのサインは「声のカスレ」。カスレは主に声帯の筋肉が衰えて起こりますが、声帯の衰えは、その周囲、のどや舌の筋肉も衰えてきていることを示しています。声がカスレたら要注意。「歳のせい」だと放っておかずに、のどの筋トレに取り組んでみてください。