ひとりで悩まないで!「がん相談支援センター」を頼ろう

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がん相談支援センターとは

皆さんは、「がん相談支援センター」を知っていますか? がんの診断から治療、その後の療養生活、さらには社会復帰と生活全般に渡って疑問や不安を感じたときに無料で相談できる施設です。患者さんだけでなく、その家族、友人、地域の方々は誰でも、また必要なら匿名で利用できます。
では、がん相談支援センターにはどんな相談が寄せられ、どのように対応しているのでしょうか。最近相談が多いという「仕事と治療の両立の相談」への坂本さんの回答を紹介します。

仕事と治療の両立について

ケース

「40代の私が、先日がんと診断されました。治療と仕事を両立していく自信がありません。 退職して治療に専念しようと思っていますが、どうするのがよいでしょうか?」

坂本さんの回答

平成30年に厚生労働省からの委託事業で国立がん研究センターが実施した患者体験調査では、「がん診断後に退職・廃業した」 患者さんは19.8%、そのうちの22.5%の方が「再就職・復職の希望はあるが無職」 という実態が明らかになっています。私が皆さんに共通してお伝えしているのは「早まって辞めないで!」ということです。がんの診断を受けた直後は頭が真っ白になってしまいます。そういった状況の中で重要な決断は避けたほうがよいでしょう。

もちろん退職されないで治療を続けている方もたくさんいらっしゃいます。そういった方には、病院に通いながら仕事を続けることになりますので、上手に制度を活用して、収入減少に対応して行くことが非常に重要です。診断を受けて間もない皆さんには、休職できる期間やその際の給与の条件などについての就業規則を勤務先に確認することをお勧めしています。時短勤務やフレックス勤務、在宅勤務などができないかも含めて、就業規則に詳しい、人事担当の方などに相談してみてください。

その他にも、働く世代の方に是非知っておいていただきたい制度が3つあります。

①高額療養費制度

1か月に支払った医療費が自己負担限度額を超えた場合に、健康保険から払い戻しをしてくれる制度。加入の保険組合独自の負荷制度が設けられている場合もあります。

②傷病手当金

病気休業中に被保険者とその家族の生活を保障するために設けられた制度。健康保険に加入している人が病気やけがのために会社を休み、十分な報酬が受けられない場合に支給される制度です。支給期間は、支給開始日から最長1年6か月の受給が可能です。1年6か月の期間中に復帰し、再度会社を休んだ場合、復帰して給与支払がある期間も1年6か月に含まれます。

【支給額の算出方法】

★支給開始日以前に12か月の被保険者期間がある場合
1日あたりの金額=【支給開始日以前12か月間の各標準報酬月額を平均した額】÷30日×(2/3)
<支給開始日とは、一番最初に傷病手当金が支給された日のこと。>

★支給開始日以前に12か月の被保険者期間がない場合
1日あたりの金額=【AもしくはB】÷30日×(2/3)

AとBを比べて少ない方の額を使用して計算。
A:支給開始日の属する月以前の継続した各月の標準報酬月額の平均
B:当該年度の前年度9月30日における全被保険者の同月の標準報酬月額を平均した額

③障害年金・障害手当金

病気やけがが原因で生活や労働に障害をきたしたとき、生活を保障するために支給される年金。例えば、人工肛門になり機能的な変化が長期的に続く場合や、抗がん剤治療中に手足がしびれて仕事に支障が出ている場合、体重減少が著しい場合など、労務の能力に影響が出ているということが証明された場合は申請の対象となります。

ご相談は全国にあるがん相談支援センターへ

がん相談支援センターは、全国453か所にあるがん診療連携拠点病院(2023年1月現在)などに必ず設置されています。是非、ご自分の最寄りのがん診療連携拠点病院にお立ち寄りいただくか、もしくは、お電話いただければと思います。どこにあるのかわからないという場合には、国立がん研究センターのホームページ「がん情報サービス」で地域別に検索することができますので、ぜひご参考になさってください。

詳しい内容は、きょうの健康テキスト 2023年1月 号に掲載されています。

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