食中毒を予防するには?低温調理のサラダチキン・ジャーサラダ

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低温調理とは?

低温調理は肉などの食材を50~70℃の低温で調理する調理法です。肉が硬くならず、ジューシーに仕上がると人気を集めています。
弱火や余熱など、加熱条件を自分で工夫するレシピもありますが、「低温調理器」を使って電気の力で温度を管理することも。

正しく調理すれば、お肉をおいしく味わえる低温調理。しかし、レシピや調理機器の使い方を間違えると食中毒になる危険性があります。

注意したいサラダチキンのレシピ

今、SNSや料理サイトではこんなレシピが投稿されています。

注意が必要なサラダチキンの作り方

鶏肉をお湯に入れて、余熱で調理するというものです。しかし、国の食品安全委員会は、こうした余熱調理が「肉の温度が食中毒を防止できるほどには上がらない」と注意を呼びかけています。
特に今回のレシピでは、お湯の量が書かれていないことも危険なポイントです。お湯の量が違うと、加熱条件が違ってくるからです。

例えば、このレシピを2リットルと1リットルのお湯で検証したところ、15分後には10℃の差が開きました(番組調べ)。

番組で検証したサラダチキンを作る時のお湯の量

では目で見て、火が通っているかを確認すればいいのでしょうか。しかし低温調理の場合、加熱が不十分でも見た目ではわかりにくい場合があります。

低温調理は温度管理が非常に難しい調理法で、レシピ選びには細心の注意を払う必要があります。

【ポイント】

  1. プロの料理人やレシピ書籍のものを参考にして、温度検証されたレシピを選ぶようにしましょう。
  2. 鍋の大きさ、お湯の量、肉の厚み、加熱時間などの条件が明確に書かれているとより安心できます。レシピを選ぶ時には、こういった条件の数字がきちんと書かれていて信頼できるものを選んだ方がいいでしょう。

55℃はNG!ローストビーフも安全な温度で

低温調理器を使う場合、大事なのが温度設定です。例えば、次のようなレシピです。

低温調理器でローストビーフを作る時の注意点

一見大丈夫そうですが、「55℃」という温度設定が危険です。これでは食中毒菌をやっつけるどころか、増殖させてしまう可能性があるのです。

その食中毒菌とはウエルシュ菌です。
25℃~55℃で増殖する菌であるため、温度が低い低温調理では特に注意が求められます。菌の増殖を防ぐには57℃以上、そして確実に殺菌をするには65℃以上が必要となります。

ウエルシュ菌

ウエルシュ菌
出典:内閣府ホームページ
https://www.fsc.go.jp/sozaishyuu/shokuchuudoku_kenbikyou.html

また、調理をする際にはメーカーの公式レシピなど、必ず温度検証されたものを使うようにしてください。低温調理器の中には、「加熱時間基準表」という細かい基準を出しているメーカーもあります。肉の厚みと調理したい温度(65℃以上)を照らし合わせ、きっちり加熱基準を守るのがおすすめです。

キャラ弁にジャーサラダ 映えても注意なワケ

キャラ弁

お弁当の中でも、特に子どもに人気なのが「キャラ弁」です。
キャラ弁とは、のりや野菜などを使って、さまざまなキャラクターを表現したお弁当です。

しかし、飾りつけで多く食材に触れるため食中毒菌を「つけない」対策が欠かせません。

【ポイント】

  1. 素手では触らないということを徹底すること。綺麗なお箸やトング、手袋を使う(のりも要注意)
  2. お弁当を食べるまでの時間を短くすること

また、抗菌作用のある食材を使うのも効果的です。赤じそふりかけの混ぜご飯や酢飯、色どりに大葉などの食材を使ってみましょう。

黄色ブドウ球菌

お弁当で要注意の黄色ブドウ球菌
出典:内閣府ホームページ
https://www.fsc.go.jp/sozaishyuu/shokuchuudoku_kenbikyou.html

ジャーサラダ

そして、高温多湿の季節こんな華やかな料理も注意が必要です。

ガラス瓶に色鮮やかな野菜を詰めて楽しむジャーサラダ。お弁当や冷蔵庫のストックとしてもSNSで人気になっています。

しかし東京都福祉保健局によると、生で食べる市販の野菜のうち、11%の野菜にセレウス菌などの食中毒菌が付着しているとの報告もあります。

家庭で作った生野菜の料理はすぐに食べることが大切です。特に細菌が増殖しやすい高温多湿の季節は、なるべく持ち歩きは控え、盛り付けのアレンジとして家庭で楽しむのがおすすめです。

この記事は以下の番組から作成しています

  • きょうの健康 放送
    「ニュース おうちごはん 食中毒に気をつけて!」