血液のがん 慢性骨髄性白血病とは? 症状や検査、治療の進歩について

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血液がんの種類とがん化のメカニズム

血液がんは、ほかのがんと同様に高齢になるほどなりやすく、高齢者が増加している現在、患者数も増えています。
血液がんの主なものには、白血病や悪性リンパ腫、多発性骨髄腫などがあります。骨髄の中には、血液の元となる造血幹細胞があり、これが分化と成熟を繰り返すことで、白血球や赤血球、血小板などがつくられます。この造血幹細胞や未熟な白血球ががん化すると、異常な白血球(白血病細胞)ばかりを作るようになります。これが白血病です。白血病には、主に急性骨髄性白血病、慢性骨髄性白血病、急性リンパ性白血病、慢性リンパ性白血病の4種類があります。

血液がんの中で最も患者数が多いのが悪性リンパ腫です。悪性リンパ腫は、白血球に含まれるリンパ球ががん化する病気で、がん化したリンパ球はリンパ節などで増殖して腫瘍を作ります。

白血球の一種、Bリンパ球ががん化するのが多発性骨髄腫です。かつては診断後の余命が2~3年と言われていましたが、現在では治療法が進歩したことで、余命が大きく延び、骨の痛みなどの症状も抑えられるようになってきました。

血液が作られる仕組み

この記事では、白血病の中でも主に慢性骨髄性白血病について解説します。

慢性骨髄性白血病と急性骨髄性白血病

慢性骨髄性白血病と急性骨髄性白血病の大きな違いは、進行スピードです。慢性骨髄性白血病は年単位でゆっくりと進行するのに対し、急性骨髄性白血病は週〜月単位で急速に進行します。

また、がん化のメカニズムも少し異なります。急性骨髄性白血病は、好中球に分化する前の骨髄芽球ががん化する病気ですが、慢性骨髄性白血病は、血液の大元である造血幹細胞に異常がおきます。造血幹細胞ががん化することで各成熟段階の白血球が異常に増え、血管内に白血病細胞が充満します。しかしながら白血病細胞は一部正常な機能を持っているため、自覚症状が現れにくいのが特徴です。健康診断で白血球の異常が発覚したり、あるいはほかの病院で医師の診察を受けた際に発見されるたりするケースが多くあります。

慢性骨髄性白血病と急性骨髄性白血病が発症する仕組み

慢性骨髄性白血病を放っておくと

慢性骨髄性白血病は、治療せずに放っておくと3~5年で急性骨髄性白血病に変化します。これを急性転化といいます。そうすると、病気は急速に悪化し、治療が大変困難になります。しかし2001年以降に新薬が次々と開発され、慢性骨髄性白血病の治療成績はめざましく良くなりました。したがって、慢性のうちにしっかりと治療を始めることが大切です。

白血病の診断

白血球の正常値は4000~8000程度ですが、白血球数が1万を超えると白血病が疑われます。また、そこまで高い数値にいかないとしても、年々白血球数が増加するといった傾向がみられる場合も白血病である可能性があり要注意です。

慢性骨髄性白血病の検査

慢性骨髄性白血病の検査
慢性骨髄性白血病の検査:骨髄検査

健康診断などで白血病が疑われる場合、専門医を受診します。
その際、血液検査、骨髄検査、染色体検査、遺伝子検査を行います。
まず、血液検査によって血液中の白血球の数を調べます。続いて骨髄検査を行います。骨髄検査では、骨盤を作っている腸骨と呼ばれる箇所に針を刺し、少数の骨髄液を吸引します。採取した骨髄液から、異常な白血球がないか調べます。そして染色体や遺伝子の検査も行います。

染色体・遺伝子の検査

染色体・遺伝子の検査

慢性骨髄性白血病の場合、原因遺伝子がはっきりしているので、確定診断には染色体・遺伝子検査を行います。細胞の中にある23対の染色体のうち、9番染色体と22番染色体の一部が入れ替わることで、フィラデルフィア染色体と呼ばれる小さな染色体ができます。このとき同時にBcr-Ab1という異常な遺伝子が作られます。これらが見つかると、慢性骨髄性白血病であると診断されます。

慢性骨髄性白血病の段階別の症状、検査、治療法について解説

この記事は以下の番組から作成しています

  • きょうの健康 放送
    増える血液がん「慢性骨髄性白血病」