NHKがめざすもの

⽇本放送協会 会⻑ 前⽥晃伸

NHKの前身である社団法人東京放送局が1925年(大正14年)3月22日にラジオ放送を開始してからまもなく100年・1世紀になろうとしています。そして、1953年(昭和28年)にテレビ放送を開始してから70年という年月が経過しました。その間、日本の放送文化は、NHKと民間放送の二元体制のもと互いに切磋琢磨しつつ大きく成長を続け、国民的なメディアとして今日まで視聴者の皆さまと共に歩んでまいりました。

NHKが拠って立つ放送法の第1条には、放送の目的として、放送の効用を国民にあまねく普及し、表現の自由を確保し、健全な民主主義の発達に資することが謳われています。戦後の日本において、放送を通じて社会をより良いものにしようという当時の立法関係者の熱意を感じるとともに、放送の普遍的な役割に改めて思いを馳せるところです。

私はNHKが放送法の要請にしっかり応え、公平・公正で確かな情報を間断なくお届けすることによって、視聴者・国民の皆さまの日々の判断の拠り所となっていきたいと考えています。また同時に、質の高いエンターテインメントを提供することで、皆さまの生活がより豊かで文化的なものになるよう努めたいと念じています。メディアを取り巻く環境や社会情勢は急激な変化を続けていますが、公共放送であるNHKはそうした普遍的な役割を確実に果たし、社会に貢献していく必要があると思っています。

私は、NHKが今後も視聴者・国民の皆さまから信頼され、必要とされる存在であり続けるために、これまで進めてきた改革を検証し、さらに発展させてベストなものにしていきたいと考えています。すべての職員が個々の能力を最大限発揮し、多様で質の高いNHKならではの番組・コンテンツをお届けできるよう全力で取り組んでまいりますので、今後ともNHKへのご理解とご支援をよろしくお願い致します。

⽇本放送協会 会長
⽇本放送協会 会⻑ 稲葉延雄

新しいNHKらしさの追求

受信料で成り立つ公共メディアとして、
人々の命と暮らしを守り、
持続可能な社会を実現するため、
信頼される「情報の社会的基盤」としての役割を
合理的なコストで果たしていくこと。

時代のニーズをとらえ、創造性を大切にし、
常に新しいものに挑戦するメディアであり続けること。

経営資源を多様で質の高いコンテンツの
取材・制作に集中させ、
正確、公平公正で、
豊かな放送・サービスをいつでもどこでも
最適な媒体を通じてお届けし続けること。

公共メディアNHKは、
「新しいNHKらしさの追求」を進めます。

安全・安心を支える

「命と暮らしを守る」報道を強化し、
より強靱なネットワークを構築

  • 相次ぐ大規模災害や深刻化する環境問題、新型コロナウイルス感染症の世界的流行。さまざまな脅威から一人ひとりの「命と暮らしを守る」ため、放送とインターネットを連動させ、きめ細かくお届けします。地域の自治体やメディアとも連携し、日頃からの災害への備えの強化に貢献します。
  • 大規模災害の発生時でも確実に放送・サービスを届けるため、大阪拠点放送局の機能強化や、老朽化した放送会館の建て替えを計画的に進めます。

災害のみならず、
安全保障、感染症、地域課題など、
暮らしの安全を支える
「信頼できる情報」の発信を強化

  • 国際情勢や地域環境の変化を踏まえ、信頼できる情報の担い手として、健全な情報空間の維持に貢献します。
    • フェイクニュースが蔓延する時代に対応し、事実を見極めるための情報の取材・制作機能を強化します。
    • 取材に裏打ちされた信頼性の高い報道を維持するため、ジャーナリズム人材の育成に注力します。
    • 専門プロジェクトを設けるなど、災害、科学、安全保障といった社会が要請する分野の強化に取り組みます。
  • 信頼されるメディアとしてコンテンツ強化に取り組むとともに、国内で流通するコンテンツの信頼性向上にも貢献します。
    • 学習形態の多様化に応じた教育コンテンツの充実など、質の高いコンテンツに経営資源を集中します。
    • 放送通信融合の時代における日本のコンテンツ産業の信頼性向上に、業界と協力しつつ取り組みます。

新時代へのチャレンジ

最新の技術を活用し、
高品質なコンテンツを合理的なコストで提供

  • コンテンツを報道やドラマといったジャンル別に管理することで、重複する内容の番組を整理・削減して経営資源を集中させ、視聴者のみなさまの期待を上回る質の高いコンテンツを、合理的なコストで、最適な媒体を通じて提供します。
  • デジタル化が進むこれからの社会に求められる教育・教養コンテンツを開発し、さまざまな世代の人たちの暮らしや学習を支援します。
  • 出演者と視聴者が同じ仮想空間に参加できる「バーチャル・プラットフォーム」など、空間拡張技術を活用した、これまでにない視聴体験ができる技術の研究開発を進めます。

あまねく伝える

確かな情報・サービスを一人ひとりに届け、
分断化・多層化した社会をつなぐ

  • 新型コロナウイルス感染症の流行で、人と人の距離がますます離れつつあるなか、正確な情報をさまざまな媒体で一人ひとりに届けるだけでなく、世代や地域を超えて個人をつなぐ番組などを制作し、社会が連携するきっかけとなる役割を果たします。
  • AI技術などを駆使した最先端のユニバーサル・サービスの提供を拡充します。
  • 訪日・在留外国人に対し、災害情報や生活に必要な情報などを、放送だけでなく、インターネット配信を効果的に活用してきめ細かく提供します。

地域インフラへの投資を強化し、
放送通信融合の時代に、
世代や場所にかかわらず
「放送の価値」を届け続ける

  • 二元体制の持続可能性を高め、あらゆる地域へ放送の価値を届け続けます。
    • 民間放送事業者等との協力強化により、効率的で強靱な放送ネットワークを維持します
  • レジリエンス、リスクマネジメント、持続可能性を考慮した投資を行うと同時に、生産性の向上にも取り組むことで、いかなる状況下でも情報を届け切ります。
    • 適正なリスク算定を行い不測の事態に備えると同時に、地域を重点に、加速するSDGs時代を踏まえた投資を強化します(災害対応のためのFM補完置局を含む)。
    • 経営資源をコンテンツに集中させ、生産性向上につながる制作工程改革を加速させます。

社会への貢献

地域の情報発信強化や
日本の放送・メディア業界の発展に貢献

  • 地域情報の全国・海外への発信を大幅に増やすとともに、地域の課題を取り上げ、全国ネットワークを最大限に活用して情報を共有することで解決につなげるなど、各地域の発展にさまざまな形で貢献します。
  • NHKが取材した情報やデータを公共財として活用いただくため、オープン化の取り組みを進めます
  • 4K・8Kの技術を使って、日本各地に残る伝統的な文化や芸術、歴史遺産などを記録して未来に伝えるなど、NHKグループの持つ知見・技術を広く社会に提供します。
  • 民間放送との二元体制を堅持し、培ってきた放送文化の発展のため、NHKが開発した技術や知見の共有など、放送・メディア業界の未来を支える取り組みを進めます。 

みなさまに支えられて

受信料制度について

  • NHKは公共メディアとして、“いつでも、どこでも、誰にでも、確かな情報や豊かな文化をあまねく伝える"ことを役割として担っています。そして、その役割を財源面で支えているのが受信料制度です。
  • みなさまに公平に負担していただく受信料だからこそ、特定の利益や意向に左右されることなく、緊急・災害報道や子ども向け番組、福祉番組、国際放送などを行うことができます。
  • 放送法では、協会の放送を受信することのできる受信設備を設置した者は、協会と受信契約を締結しなければならないと定められています。視聴者のみなさまに受信料を公平に負担していただくことは、NHKの責務です。
  • より一層、公共メディアの役割や受信料制度の意義について丁寧な説明に努めるとともに、効率的・効果的な営業活動に取り組んでいきます。また、ご契約いただいている方との結びつきの強化や、満足度が高まる取り組みを推進し、視聴者のみなさまにより信頼されるNHKとなるために努力してまいります。

みなさまのご理解をよろしくお願いします。

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放送法改正に伴う放送受信規約の
一部変更(割増金 等)について

2023年4月1日から、放送法の改正(2022年10月施行)に対応するため、割増金に関する規定など放送受信規約が一部変更になりました。

割増金制度は、受信料の適正かつ公平な負担を図ることを目的として、放送法が改正され、導入されたものです。
また今回の法改正と放送受信規約の変更により、テレビ等の受信機を設置された際には、期限(設置月の翌々月末)までに受信契約のお申込みをいただくことが必要となります。(地上契約を締結されていて、新たに衛星受信機を設置された場合も同様です。)

割増金制度が導入されても、受信契約の締結や受信料の支払いについて、NHKの価値や受信料制度の意義をご理解いただき、納得してお手続きやお支払いをしていただくという、これまでのNHKの方針に変わりはありません。

今回の放送受信規約の変更における、割増金に関する主な内容は次のとおりです。

【割増金の対象】

  • 割増金は、「不正な手段により受信料の支払を免れた場合」と「正当な理由がなく期限までに受信契約の申込みをしなかった場合」に対象となります。

【割増金の額】

  • 「不正な手段により受信料の支払いを免れた場合」は、支払いを免れた受信料に加え、その受信料の2倍に相当する額の割増金のお支払いが必要となります。(放送受信規約第12条第1項)
  • 「正当な理由なく期限までに受信契約の申込みをしなかった場合」は、受信機設置の月の翌月から受信契約を締結した月の前月までの受信料に加え、その受信料の2倍に相当する額の割増金のお支払いが必要となります。(放送受信規約第12条第2項および第3項)
  • なお、いずれの場合も、受信料のお支払いが必要な期間のうち、割増金の対象となるのは、2023年4月以降の期間分の受信料の2倍に相当する額となります。(放送受信規約付則第5項~第9項)

引き続き、受信料制度にご理解とご協力をいただきますようよろしくお願いいたします。