クローズアップ現代トップ > みんなでプラス > #その校則必要ですか
#その校則必要ですか

#その校則必要ですか

「下着の色は白」「ツーブロック禁止」…
日本の管理教育の象徴とも言われる校則の見直しが各地で広がっています。
これまでの画一的なルールでは対応できない場面も増えているという学校現場。生徒が主体となる取り組みや、教師や教育委員会、弁護士までもが見直しに乗り出すなど、”校則改革”はまさに進行中です。
改革が進む最前線の現場やキーパーソンを取材。
これからの校則とは...そして「ルールとは何か?何のためにあるのか?」…あなたも一緒に考えてみませんか。


取材記事
- 校則違反で「イエローカード」「スタンプラリー」?“カード指導”の実態とは 2021.10.15公開
-”トランスジェンダーで制服が耐えられず“”オンラインなのに制服“ 「校則」寄せられた30件の声 2021.9.17公開
-”学校の常識”って正しい? 現役教員と考える校則改革 2021.9.9公開
- “私がわがままなの…?”校則や制服に悩み不登校に…中学生からの告白 2021.9.8公開

WEB特集
- 「あの髪型、坊主にされました」美容師が始めた“校則改革”
関連番組
2021年9月9日(木)放送
クローズアップ現代プラス
「その校則、必要ですか? 密着!改革の最前線」

※放送から1週間後までは見逃し配信もご覧になれます

このテーマについて、皆さんのご意見や体験談を募集しています。
「実際に校則を改革した」「自分たちの学校の校則を改革したい」など、こちらの投稿フォームから声をお寄せください。


過去の「校則」取材記事(2020年)

- 現役の高校教師が語る「校則」の本音
- 外出ダメ! “4時禁ルール”に賛否 見直しの動きへ
- 「ブラック校則をなくそう!」寄せられた6万人の署名
- 生徒に配慮するための“地毛届” でも実態は…
- 126文字が問いかける 「校則ってなに?」
- 生徒や教師、保護者…「三者協議」で校則を考える
- 高校で“トイレに行くと罰則”に込められた意味
- 黒タイツがダメ!? 校則とたたかった高校生たち

あなたのご意見募集しています!
このテーマのコメント 142
このテーマへのあなたの気持ちは?
2021年10月15日

校則違反で「イエローカード」「スタンプラリー」? “カード指導”の実態とは

「イエローカード」
「レベルアップカード」
「スタンプラリー」


実はこれ、岐阜県内の県立高校で、身だしなみなどの校則に違反した際に、生徒指導に使われているカードの名前。
通称“カード指導”――カードを使って生徒指導を行うことから、こう呼ばれています。
なぜ“カード指導”をしているのか、学校に直接聞いてみました。

(岐阜放送局 記者 吉川 裕基)


「校則違反、“イエローカード”です」
高校生の頃“カード指導”を受けた女性

私に“カード指導”の存在を教えてくれたのは、取材で出会った岐阜県の23歳の女性でした。

「あのカードの存在で、私は3年間ビクビクしながら過ごすことになりました……」

女性がカード指導に直面したのは7年前、高校1年生のとき。県内の県立高校に進学し、高校生活はおしゃれも楽しみたいと制服の着方をあれこれ試していたころでした。

いつも通りの休み時間。
いつもと同じように廊下で友人と話していたとき……

突然、背後から制服のブレザーをめくりあげられたのです。

驚いて振り返ると、厳しい指導で知られる女性教員が腰のあたりを眺めて言いました。

「校則違反。“イエローカード”です」

その日、女性はスカートを少し折って短めに着用していました。校則違反を指摘されたことへの後ろめたい気持ちはある一方、大勢の生徒がみている中での出来事に強い恥じらいを感じたと言います。

「あれは“公開処刑”でした。その場の生徒みんなが“あの子、カード切られている…”って見られるのが嫌だった。“自分は悪い生徒だ…”って自分のことを責めました。あの日以来、先生の目を気にしてビクビクしながら高校生活を過ごしました」


複数の教員に“はんこ巡り”
5つのはんこ枠がある“イエローカード”(女性の証言を元に作成)

教員から渡された“イエローカード”は、女性に追い打ちをかけました。

カードには5つのはんこ枠がありました。
「担任」
「副担任」
「学年主任」
「生徒指導部の教員」
「部活動の顧問」


服装を直し、これらの教員のもとを尋ねて指導を受け、はんこをもらう仕組みです。

カードを受け取ってはんこ巡りを始めた女性。

「次から気をつけてね~」

担任からは軽い口調の注意で済みました。

しかし、部活動の顧問は違いました。

「2年生にも3年生にもイエローカードをもらった人がいないのに、1年生のあなたが何しているの!」

厳しい叱責を受けた女性は、「おしゃれを楽しみたい」という気持ちを持つことがどうしてダメなのか、どの教員も教えてくれなかったことに疑問を抱き続けてきました。
当時は何も言い出せませんでしたが、卒業後、各地で校則の見直しが進んでいることを知り、この“カード指導”はおかしいという思いが強くなりました。

「なんで、ここまで徹底した生徒指導を受けなければいけなかったのか。もう少し自分の考えを聞いてほしかったです。生徒のことを思っているようには思えませんでした」


“カード指導”はいまも約3割の学校で…
情報公開請求で取り寄せた“イエローカード”

女性が高校を卒業して5年。
いまでも、カード指導は存在するのでしょうか。
実態を調べようと、女性の証言をもとに岐阜県教育委員会に情報公開請求を行いました。

「イエローカード」「スタンプラリー」「レベルアップカード」…
呼び方はさまざまですが、いまでも県立高校63校のうち20校で行われていました。



多くの高校で、生徒自身が5人以上の教員を回って、身だしなみのチェックを受け、はんこをもらうための枠が設けられていました。
中には、1週間続けて授業のたびに指導を受けるという高校や反省文を書かせる高校もありました。

“カード指導”目的は「指導の統一をはかる」
筆者

高校ではなぜ、“カード指導”を行っているのか。岐阜県内の20校すべてに取材しました。

取材の中で、複数の教員が関わることで指導の偏りを無くしたいという意識に加え、地域の住民や企業などからの目が気になるといった意見に多く接しました。

“カード指導”行う学校の声

“カード指導”はいつごろから行われるようになったのかを聞くと、平成20年以降に広まっていったという回答が多くを占めました。
学校での体罰が問題視される中、生徒たちに校則を守ってもらう有効な手段として、広まったのではないかという意見も多くありました。

「身だしなみの指導=“カード指導”はやりすぎでは?」
関西外国語大学 新井 肇 教授

ただ、複数の教員から何度も同じ指導を受け、生徒に負担を強いる指導への違和感は私の中で残り続けました。
そこで、生徒指導に詳しい関西外国語大学の新井肇教授に話を聞きました。

新井教授:
「身だしなみの指導は、社会一般ではモラルやマナーにあたるもので、それに“カード指導”という罰則とも受け止められる指導は、やりすぎだと思う。生徒指導は、ひとりひとりの人格を尊重して、個性を伸ばしながら社会で活躍するための能力を養うもの。画一的な指導で本当にその能力が身につけられるのか」


モラルやマナーは、人によって価値観が異なります。だからこそ、そこに教育の機会があると言います。

新井教授:
「画一的な指導をすると、モラルやマナーに対して、考える機会を生徒や教員ともに失ってしまいかねない。教員は忙しいので、画一的に指導したいという気持ちもわかるが、生徒に本質的な理解を促すのであれば、個別に向き合って話し合うことが必要だ。生徒から納得がいかないという声が上がっているのであれば、生徒や保護者と、この指導が本当に必要なのか話し合うべきだ」


“カード指導”を廃止した高校も
“カード指導”を行っていない学校の声

“カード指導”を実施していない高校にも話を聞きました。
すると、令和2年度から「廃止した」という高校が、少なくとも3校あることがわかりました。 廃止の理由をまとめたものが上記です。新井教授の指摘がうかがえます。

“カード指導”は本当に必要なのか。もっといい方法はないのか。
校則そのものの見直しを進める一方で、生徒指導のあり方について、あなたはどう思いますか?

このテーマについて、皆さんのご意見や体験談を募集しています。
「実際に校則を改革した」「自分たちの学校の校則を改革したい」など、こちらの投稿フォームから声をお寄せください。


記事の感想は下の「コメントする」からお願いします

※コメントは編集部で内容を確認の上、掲載させていただきます。

クロ現+
2021年9月17日

「トランスジェンダーで制服が耐えられない」「オンラインなのに制服」…寄せられた30件の声

9月9日放送のクローズアップ現代+放送後、こちらの投稿フォームに1週間で31件のご意見が寄せられました。お送りくださった方々に感謝いたします。
その中には、現役生徒や教員、保護者の立場から“校則がつらい”という切実で多様な声や、“ルールだから黙って従う”という校則の風潮が現在の社会課題の要因になっているのではという指摘まで、ハッとさせられるご意見ばかりでした。その一部をご紹介いたします。
※いただいたご意見・情報は趣旨を変えずに一部表現を修正させていただくことがあります。
(「#その校則必要ですか」プロジェクト ディレクター 藤田盛資)

9月9日放送 クローズアップ現代+「その校則、必要ですか?」
テキストダイジェスト版はこちら


トランスジェンダーの私には、性別ごとの制服が耐えられなかった


3月まで在籍していた中学校は、性別ごとの制服がありました。トランスジェンダーである私はそれに耐えきれず、一時通学ができなくなりました。去年、全校生徒の意思決定機関である生徒総会で性別に関係なく制服を選択できるようにする案を提出。たくさんの質問や意見をもらった上で、賛成多数で可決。教員によると、以前より「男女別」になっているものに問題意識があったり、解決しようと取り組んだりする生徒は増えており、トランスジェンダーに限らず、自分の着たい制服を着ている生徒は増えたそうです。髪型や身だしなみ、制服の規定、特にそれが性別ごとに分けられている場合、それは本当に必要ですか?生徒に人権教育をする前に、まずは学校が自ら考えてみてほしいです。
(10代・女性)

ご本人が改正案を出したことで賛否さまざまな意見に向き合うことになり、精神的な負担も大きかったのではと想像しました。32歳の私自身、中学生のときには性的マイノリティーの存在を知らず過ごしてきましたが、当事者の方々が声を上げたことで課題がみえてきた今、当たり前と思われた“制服”のあり方を考え直すときがきているように感じました。


“ポニーテールがホウキみたいだね”

高校1年生の時こと。元々茶髪で、外で活動する部活で髪が焼け、さらに明るい髪色になってました。服装頭髪チェックで先生に個別で呼び出されると「髪色が明るい・傷んでるから染めたのか」と言われ、最終的には「ポニーテールがホウキみたいだね」と言われました。 コンプレックスである髪色を注意され、心無い言葉を聞いてその先生への信頼が無くなり、卒業までその先生との関わりを避けました。
(20代・女性)

“校則でコンプレックスが隠せずつらい”という声を、これまでの取材でも多く聞きました。服装や頭髪のチェックの際、多くの生徒や教員の前でひとりひとり確認し、違反した場合はみんなの前で指摘される「公開処刑」とも言われる状況もあるそうです。この女性の声から、指導の域を超えて生徒を傷つける可能性はないか、見つめ直す必要もあるように思えました。


“ルールだから”でいいのか? 教員も違和感


元教員です。教員には校則に疑問を感じず従ってきた「優等生」が多いと感じます。校則の意味や意義を聞くと、「ルールはルールです」と答える同僚たちに囲まれた職員室のなかで、生徒の疑問や不満に正面から向き合い続けましたが、こちらの心が折れてしまいました。
(40代・男性)

大阪府の教員です。まさしく今生徒会の風紀委員を中心に髪型の校則を変えているところです。社会では清潔感を出すツーブロックが校則では奇抜な髪型になっています。ポニーテールも禁止でしたが、なぜ 禁止されたのかを調べると「女子がうなじを見せるのは良くない」という理由でした。生徒の自治力を育むために、生徒同士で話し合わせ、生徒会が全生徒や教職員に校則改正をプレゼンしています。ただ何でもOKするのではなく子どもたちで新しい校則を作っています。もっと早くこうしていればよかったと、ひしと感じています。
(40代・女性)

先生たちへの取材では「生徒に説明がつかないルールは指導していてつらい」という声をよく伺います。自分たちの生徒指導に納得できず離職したという教員の方もいました。校則は、生徒の成長と安全を願ってのルールかと思いますが、そうした理念に立ち返り、先生にとっても納得いくものになってほしいと、2人の先生方の声から考えさせられました。


“娘が怖がっている…”“息子が絶望している…” 保護者がみた校則

娘は、皆の服装がそろっている教室の雰囲気を怖がり学校に行けない日が続いています。コロナ禍で休校でも「オンラインは制服」は必要のない締めつけに思えます。そろっていることのメリットは学校が管理しやすいからではないか、その延長には管理しやすい社会人を望むいまの社会があるのだと思えてしかたないです。子どもは敏感に感じ取っています。この先、周りに合わせることに慣れ切ったあと、働く人の権利・女性の権利が守られない社会のレールに乗せられるのだろうということを。人間はそれぞれ異なる特質を持って生まれていることにもっと敬意を払う学校に、社会になってほしいと思います。
(50代・女性)

息子が中学校入学するにあたり、入学説明会で「なんで制服は男子はズボン、女子はスカートって決まっているのか?」「なぜ靴の色は白、靴下も白、下着も白と決まっているのか?」等々質問して、「きまりだから」と言われて、怒りと絶望にうちひしがれていました。私は今までそういうものと思っていたことにハッとさせられました。息子は学校が窮屈で息苦しさを感じ、なんとか不登校にはならないながらも、遅刻多数で登校しています。ホームページに載っていた中学3年のサヤさんと全く同じような考えです。
(40代・女性)

現代の子どもたちは幼い頃から多様性を学んでいるからこそ、校則・制服についての大人が気づかない問題に気づいているのかもしれないと感じたご意見。現在の校則改革の波は、こうした子どもたちの違和感が広がっていることが要因なのかもしれません。大人が“大切だ”と伝えてきた価値観を“決まりだから”と否定する矛盾に、私自身も向き合う必要があるように思えました。


“いつのまにか、管理されなければ何もできない大人に…”


昭和30年代に群馬県で中学生活を送った高齢者です。当時のほうが現在より先進的で生徒の自主性が尊重されていました。校則も動議が提出されると生徒総会で話し合い改正していました。教師も時々意見を挟む程度で見守ってくれました。現在は学校が管理するための校則に変わってしまいました。何時の間にか管理されなければ何もできない大人が増え、子どもも管理されなければ問題を起こすことが増えてきました。教師もまた厳しい管理を受けています。社会全体が校則に限らず真剣に生き方を考え直す時なのではないでしょうか。
(70代以上・女性)

校則(学校)といえば、昔のほうが厳しく、現代のほうがゆるやか…というイメージをもたれる方もいるかと思いますが、“真逆だ”という指摘。なぜそうなっていったのか?その先にどんな社会が待っているのか?校則問題を学校の課題に押しとどめず、もっと広い意味で考える必要があると気づかされたご意見でした。


寄せられたご意見からは、校則の問題に真剣に向き合っている思いがにじんでいました。「校則はだいたい中学1年から高校3年まで、6年ほどの短いルールだから、そのぐらい我慢すればいい」という意見も伺いますが、こうした切実な声を聞くたびに、見過ごしてよい問題ではないと感じます。子どもたちの“いまの学校生活”にとっても、成長した先の“未来の社会”にとっても、大きな影響を与えるテーマだと気づかされました。改めて、ご意見を寄せてくださった皆さま、ありがとうございました。
取材班は引き続き、皆さんの声を募集しています。


※コメントは編集部で内容を確認の上、掲載させていただきます。

クロ現+
2021年9月9日

”学校の常識”って正しい? 現役教員と考える校則改革

「髪が明るい場合は地毛申請書を提出」「下着の色は白かベージュ」…
いま、こうした校則に対する見直しの動きが全国で始まっています。
取材を進めると、生徒主体で校則改革を進めようと議論をはじめた現場に出会う一方で、「簡単に変えるべきではない」という根強い意見に生徒や教員が苦労しながら議論を進める場面にも出会いました。実際に校則の見直しが進む中で、学校現場にいる当事者たちはどう考えているのでしょうか。
岐阜県で現役の教員として勤めながら、校則や制服の見直しに向け国に対しても働きかけを行い注目を集める、西村祐二さんに話を聞きました。

(「#その校則必要ですか?」取材班)


“一見、うまくいっているように見えても…” 校則を理由とした不登校も


西村祐二さん
岐阜県の県立高校に勤める教員。
今年3月、「制服を強制しないこと」や「校則の全国調査」を求めて、インターネット上で集めた約1万9000人分の署名を文部科学省に提出するなど、現役教員の立場から校則についての議論を広く呼びかけている。


――校則の取材をしていると、ツーブロックの髪型が禁止だったり、下着の色は白かベージュだったりと「ちょっと厳しいな」と感じることがありました。一方で、なぜこうした校則があるのか尋ねると、防犯上のリスクなど学校なりの理由があると教えてくれました。現場の先生から見て、今の校則はどう映っていますか?

西村さん:
1980年代の校内暴力が頻発した時代に、校則を厳しくすることで当時はうまくおさまった。それが今も続いているのかなとみています。次第に先生たちや地域の人たちも「これが当たり前」になってしまうと、今さら緩めることのメリットを感じられないですし、リスクを負ってまで校則を自由にするような動きはなかなか起きにくいんですよね。

ただ、一見うまくいっているように見えても、生徒たちは窮屈さを感じていて、不登校など思ってもない形でマイナスの影響が出ているとも感じます。「この校則なんで?おかしくない?」というたくさんの小さな疑問が積み重なると学校に対する不信感が生まれます。いまの時代だったら、校則を緩めたって荒れないかもしれないのに、締めつけだけ残っている。なにか負の影響が出ていないか、改めてみていかなければと思います。



西村さんにリモートで取材(2021年9月)


――実際に、校則といった学校の決まりが何らかの要因となって不登校となる子どもは年に5500人以上という国の調査結果もあります。取材の中でも「制限がありすぎて刑務所にいるみたいだ」と話す生徒もいて、考えさせられました。

西村さん:
実は僕が最初に赴任したのは定時制高校で、中学校時代に締めつけられたことで学校に通えなかったという生徒もたくさんいました。だから、服装を始めとしたあらゆることで“素の生徒”を認めようという方針で、本当に自由を認めていたんですよね。そうするとみんな学校に通えるようになる。

学校って単に勉強する場所じゃなくて、「安心して生活できる場所」でもありますよね。「みんなが制服を着ていないと居心地が悪い」みたいなことよりも、誰かを傷つけない限りは「ぎりぎりまで自由が認められる」ほうがいいんじゃないかと僕は思います。


「学校におしゃれは必要ない」 学校の常識、それホント?



――校則に関してよく耳にするのが「学校におしゃれは必要ない」という言葉です。「確かに変な校則だけど、おしゃれに当たるからダメかな」と生徒が発言する場面もあって、西村さんのおっしゃる「安心して生活できる場所としての学校かどうか」よりも「学業に必要かどうか」に頭を悩ませるケースも多いように感じます。

西村さん:
”おしゃれ”は象徴的な事例ですよね。教員は「学校はおしゃれをするところじゃないから、おしゃれはダメ」と言いますが、自分たちがおしゃれをして学校に来ていますよね。 「先生かわいい」と言われたりして(笑)

そういう意味では学校の身だしなみに関しては、実は主役は教員になっていて、生徒たちの気持ちが実感できていない気がします。逆に考えたら、おしゃれは授業や勉強と関係ないからこそ、別にしてもいいというふうにも考えられますよね。


“生徒に会える、それより大事なことはない…” 価値観を変えたコロナ禍



西村さん:
僕自身、校則や制服について考え直すきっかけとなったのが、新型コロナウィルスの感染拡大でした。生徒たちが生活に不安を抱える中で、ちょっとしたことでも学校に足が向かなくなることを考えたときに、命があって健康な状態で生徒が学校に来られること以外に大事なことはない、と気づいたんです。

「コロナが不安で床屋にいけない」という生徒もいるかもしれません。それなのに「お前ちょっと髪の毛が長いぞ」と言ったら、生徒はその言葉に傷つき、すごく苦痛に感じるのではないか。一人ひとりがどう感じるか生徒の心に寄り添って考えた時に、こうした指導が生徒の負担になることを僕自身すごく実感しましたし、多くの教員にとってもそうだったと思います。考えてみると、学校に生徒が来られること以外は、本当にささいなことですよね。

岐阜県ではコロナ対策として「洗濯しやすい服装での登校」を認めるガイドラインが教育委員会から出されました。勤務する学校でもこれを受けて、「制服にはこだわらなくていい」という話になって、結果的に身だしなみ検査もなくなりました。教員の中でも「必ずしも制服にこだわる必要はないよね」というふうに意識が変わってきたようです。1年ぐらいそういう運用でやってきて、いまはコロナが明けたあとの服装をどうするか議論が始まっています。まだ最終的な結論は出ていませんが、コロナ禍があったのとなかったのでは結論は変わっただろうなと思います。


ルールで防ぐのではなく 事例ごとに考えることこそが“教育の瞬間”


――コロナ禍がきっかけで、学校空間はどうあるべきなのか先生たち自身が考える機会になったんですね。

西村さん:
いまは生徒も「きょうは制服にするか、どうするか」を自分で選択して学校に来ています。教室の中で誰からも服装を強制されない状態で授業を受けていて、お互いの選択に対して口を出さない。すごく心地が良いですよね。本当にちょっとしたことだけど、新型コロナがきっかけで一気に進んだことです。

生徒の服装に関して、いままで学校は何かが起こることを想定して、だいぶ手前で、予防線を張っていたのかもしれないなと思います。例えば、うちの学校でも制服以外の服装もOKとなったあと、短いショートパンツの部屋着姿で登校してきた生徒がいました。なんの悪気もなく学校に来たと思うんですけど、「その服装は周りからしたらちょっと目のやり場に困るし、学校にはふさわしくないかもしれないよ」と話しました。生徒もそこで初めて、「あ!」と気付いて「ごめんなさい」と言ってくれました。

声をかけて、「周りの気持ちに目を向けていたか」問いかけたり、「なぜその服装が良くないと教員が考えるのか」を教員と生徒がきちんと会話できれば、それこそが”教育の瞬間”ですよね。学校はもっともっと最小限の規定でまわしていけるし、校則というルールを設けて一律に防ごうとするのではなくて、1つ1つ事例ごとに話をするほうがよっぽど教育的なんじゃないかと感じています。


よりよい校則へ 求められる“ガイドライン”と“情報公開”


今年3月、西村さんたちは文部科学省に校則の全国調査を求めて署名を提出

――西村さんは国に対して署名を届けるなどもされています。これから校則がよりよい形になるには、どんなことが大切だと思われますか?

西村さん:
最近、いろいろな教員と話をすると、実は今までどおりの校則がいいと思っている教員は2~3割で、5~6割の教員は揺れていたりするのかなと思います。教育的であるとか、教員だったらこうすべきだとか、今までの価値観に引っ張られすぎているところもあるのかもしれません。

だからこそ、国で議論がはじまっている今、校則の議論をしていくための指針となる全国一律のガイドラインを作ってほしいと思っています。例えば、人権侵害を侵すような規定はダメとか、健康を害するような規定はダメとか、あまり意見が割れないところだけでも構いません。大きな指針ができると、生徒を交えて議論するときにも何もよりどころがない中で議論するよりは話しやすいですよね。



署名提出後の会見の様子(今年3月)


それから、学校が校則を公開していくことも大切です。実際に岐阜県でやっていることですが、教員自身が校則を考えるいい機会になりました。本当にこの校則は必要なのか、公開を前に教員同士で検討しますよね。そして、学校の校則とその校則を設ける理由を公開して外に出していくと決めたら、そこが議論の起爆剤になるはずです。 校則改革はすぐに進むものではなくて、これから数十年かけてすすめていくことです。公開してもあまり注目されないかもしれませんが、本当はもっといろんな人にも知ってもらい、“外からちゃちゃ”をいれてほしいです。学校は教員だけのものではなく、地域全体のものですよね。学校だけで話し合うのではなく、地域も交えて議論していけると、学校だって肩の荷が下りると思います。


関連番組
2021年9月9日(木)放送
クローズアップ現代プラス
「その校則、必要ですか? 密着!改革の最前線」

※放送から1週間後までは見逃し配信もご覧になれます

このテーマについて、皆さんのご意見や体験談を募集しています。
「実際に校則を改革した」「自分たちの学校の校則を改革したい」など、こちらの投稿フォームから声をお寄せください。



記事の感想は下の「コメントする」からお願いします

※コメントは編集部で内容を確認の上、掲載させていただきます。

クロ現+
2021年9月8日

“私がわがままなの…?”校則や制服に悩み不登校に・・・中学生からの告白

「私は現在中学3年生で、校則や学校の構造・風潮が原因で不登校になりました」

ことし7月、私たちのもとに中学3年生の生徒から、切実なメッセージが届きました。中学1年の終わりから2年近く不登校が続いているという、関西地方に暮らすサヤさん(仮名)。強い憤りを冷静な文体で訴えてくる文章を、私は何度も何度も読み返しました。
勇気を持って声を上げてくれたサヤさん。かけがえのない中学校での学びを、校則が原因で絶たれたというサヤさんの声、ぜひ聞いて下さい。
(報道局 社会番組部 ディレクター 藤田盛資)

番組に届いたメッセージ “私がおかしい?私がわがまま?”

中学3年生のサヤさん(仮名)

サヤさんからのメッセージは、私たちが開設した投稿フォームに寄せられました。

“私は現在中学3年生で、校則や学校の構造・風潮が原因で不登校になりました。
変えたいと思う校則、書ききれないほどありますが、先生に何度問いかけても、「気持ちは分からんでもないけど中学生が服装や髪型、持ち物を縛られるのは当たり前、規制されて当たり前」というような態度で返されます。
私がおかしいのか、私がわがままなのかと思い、何度も酷く悩みました。”

「今どんな思いで過ごしているのか」「どんな校則、どんな学校なら通いたいと思えるのか」…私はサヤさんにお願いし、オンラインで3時間近くお話を伺いました。


――貴重なメッセージを送ってくれて、本当にありがとうございました。

サヤさん:
私の個人的な体験や主観の話しかできませんが、「校則おかしい」「しんどい」「なんで制服ってこうなの?」と思っている生徒がいるという事実を知ってもらえたらなと思いました。
むしろ、こうした機会をありがとうございます。


「学校がしんどい」 違和感の背景に校則や制服

オンラインで約3時間、サヤさんに話を聞きました


――サヤさんは「校則が原因で不登校になった」と書いてくれていたけど、どうして校則がつらく感じるようになったのですか?

サヤさん:
もともと私は、小学校の頃は学級委員をやるような、仕切ることが好きなタイプでした。中学に入っても勉強のことや友だち・先生との人間関係とかに悩んだことはありませんでした。

「学校しんどいな」って思うようになったのは中1の2学期から。だんだん、朝起きて制服着て学校までの通学路がすごくつらくなって。最初は自分でも理由が分からなくて。学校に行きたくない、いづらいのは何でなのか、考えると“校則”や“制服”にいきつきました。


私たちに送ってくれたサヤさんの校則についての考えが凝縮された文章の一部を、本人の許可を得て以下に転載します。

“変えたいと思う校則、書ききれないほどありますが、特に分かりやすいものだと、髪型の規定、それも男女で分けられているというものです。
私の学校では、男子は髪は耳にかからないように切るなど、校則によって短髪しか認められていません。対して女子は髪の毛を伸ばすことが出来る、これは分かりやすい性別による差別だと思います。 髪の毛を伸ばすことは男子はダメで女子はOK、女子は良いとされているのだから、男子にだけ短髪を強制することの合理的な理由はないと思います。
このようにとても合理的とは言えない理由で、とても合理的とは言えない性差をつけて人の髪型まで縛る権限が、本当に学校にあるのでしょうか。この校則があることで男子で髪が長い、あるいは伸ばしたい人や、LGBTQ+、この問題に関しては特にトランスジェンダーの生徒などがあぶれてしまうことになってしまいます”


サヤさんは中学校に入ってから、LGBTQ+など性的マイノリティーの存在について学び、男女の区分だけでは単純に分けられないこと、多様な立場の人たちがいることを学びました。それまでいわゆる“女の子らしい”格好が好きでしたが、パンツスタイルも好きになり、「女性」ではなく「人」としてありたいと考えるようになったといいます。

しかし、サヤさんの学校では、女子は髪を伸ばせますが「男子は耳にかからない短髪」「女子はスカートのみ、男子はスラックスのみ」などと性差がはっきりある校則でした。
また髪型以外にも夏は半袖しか認められず、気温の低い日や冷房で寒いときもカーディガンなどを羽織ることさえ認められていません。次第に、「校則」は誰かを苦しめたり、人権を踏みにじったりしているのではないかと感じるようになったと教えてくれました。


合理的と思えない校則…“議論さえ許されない”雰囲気にがく然


“不合理の象徴”と感じる制服を着るのがつらくなり、午後だけの登校や休むことも増えるようになったサヤさん。そこに追い打ちをかけたのが、校則についての議論に正面から向き合ってくれない先生の態度だったといいます。


サヤさん: なんかおかしいな、矛盾してるよなって思って、先生に聞いても、微妙な反応というか。「分からなくもないけど、こういうものだし」という反応で。

私は「もう制服だとしんどくて、自分のしたい格好だと居心地がいいんです」と話をしたんですけど、取り合ってもらえませんでした。もう思い切って「みんなに同じ格好させて、管理しやすいようにして、秩序を守っていることの方が、ルールを守る方が大事なんですか?」って先生に聞いたら、返ってきたのは「先生“個人”としては中学生がピアスしていようがメイクしていようが気にならないけど、なんか“先生”だと気になる」と。「えーっ」てなりました。

「人に迷惑をかけずに心地よく過ごすことより、ルールを守ることが大切って言うのも分かるけど、ルールが何かも考えないで、ただただ守らせることが大事なんですか」って聞いたりしたんですけど、先生が途中で相づちを打ちながら「聞いてるよ、賛同はしてないけど」と言ってきて、何その念押し!って思ったり。


――かなり踏み込んだ、勇気のいる質問だったのに、ちゃんと受け止めてくれているようには感じられなかったんですね。

サヤさん:
次の週に親と担任の先生と面談があったんですけど、そのときに担任から「“制服アレルギー”みたいになってるな」って言われて。その表現にもすごくひっかかって。
私は色々考えて言葉にしたのに。ちゃんと“おかしい、矛盾してる”っていう理屈もあるのに、担任には伝わらなかったようで。意味もなく制服にこだわっているわけじゃないのにな…って思いました。



――“ラベリング”というか、単純化されるもどかしさがありますね。

サヤさん:
私も制服を全面的に否定したいわけじゃなくて、着たい人は着たらいいと思うんです。同時に着たくない人や着れない人は着ないという選択肢もあってほしいなと思って。それって本来あるはずだなって考えて調べたら、弁護士の方の発信にはっとしました。
「そもそも憲法には自己決定権、自分が自分のことを決める権利は、他の人の人権を侵害しない限り認められる」という内容が書いてあったんです※。だから、それ以上に縛るべきことってあるのかなって思いました。

(※憲法第十三条「すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする。」)

本来なら“基本は自由である”っていうのがあって、それを規制するならちゃんとした理由や効果、規制される側の同意が必要なはずなのに、学校はそうじゃないという意見もあって、共感しました。縛られて当たり前、多少理不尽でもそれが普通で、それがいやで制服を着たくないってなったら、それなりの理由が必要なのが現状なんです。「それって本当は逆じゃない?」と思います。


校則を変えたい!と動こうとするも……

校則を問題提起するため、サヤさんは自分の意見やデータ、専門家の意見などをメモに残していました


サヤさん:
1回、校則を問題提起するために、原稿用紙にわーっと思っていることや理屈やデータを書いて印刷して、先生や校長に配ったら見て見ぬふりできなくなるんじゃないかと、意地悪いことを考えて計画したことがあるんです。

けど、論理立てて構成を組むとかやったことなかったし、生徒側の視点だけじゃ厳しいかと思い、先生にも誰か協力してほしいと思ったんですね。今までも“子どもが言ってることだから”って軽く流されることを何度か経験してきたから、それはイヤで。

ひとり信頼している国語の先生がいて、あの先生なら頼めるかなって、口説き落とすための文章も書いたりしたんですけど……先生、めちゃくちゃ忙しいんですね。

ある授業中の雑談で「きのう夜10時まで学校にいて~」とか言ってて、朝は7時半にはいるのに。別の日には「一時期忙しすぎてお菓子ばかり食べてたら栄養失調になった」とか笑ってて。その先生すごく真面目で、ただでさえ忙しいのにこれも加わったら絶対負担になるなと思って……結局やめました。

校則を変えるには、きっと先生を巻き込んで、先生の意見を変えて、校長先生や教頭先生にお願いして…というふうになると思うんですが、そもそも今の私は不登校傾向にあって、勉強のことも不安だしメンタルもすり切れてる。元気いっぱいのときだったら先生と掛け合ったり動いたり、もっとできたかもしれないけど、今の私にはすごく難しい。でかい壁を感じますね。


救いとなったのは“SNS” 多様な意見の存在を知る


サヤさん:
校則のことを考えると、私ひとりだけの問題なのか、私がわがままなだけなのかとひどく悩むようになりました。でもSNSで調べてみると、同じように考えている人がいっぱいいることに気づいたんです。中には、学校の先生で「制服を着ない自由」を呼びかけ署名活動をしている人もいて、ひとりじゃないんだ、間違ってないんだと救われました。

不登校になって、「自分どうする、将来」ってなったんですけど、調べてみると意外といろいろな選択肢があるなって気づきました。来年は高校ですが、全日制以外にも通信制もあるし、東京の世田谷区には校則のない中学校もあったし(※世田谷区立桜丘中学校)。社会ってそんなに狭くないんだって、分かってよかったです。


――自分の力でそれに気づけるのはすごいですね。いっぱい調べたんですね。

サヤさん:
中学生にとっての社会は、基本は学校と家しかないんです。学校に居場所がなかったら全部終わりなんだなって思いました。私の場合は、SNSでいろいろなことを言う大人がいると知れてよかった。居場所ってここだけじゃないんだ、合わなかったら変えればいいと思えるようになりました。だから高校は楽しみです。中学校は、諦めます。



インタビューの最後に、どんな学校なら通いたいと思えるのか伺いました。

“校則を変える仕組みで今あるのは生徒総会くらいだけど、それも形だけで、議論できる雰囲気は全く無かった。校則を話し合う進め方や、共有すべき大前提など、全ての公立学校で手続きを明記してほしい。おかしいことはおかしいと話し合える場所があってほしい”


今回、サヤさんから話を聞く中で感じたのは、令和の時代の中学生らしい、現代的な人権感覚や多様性が当たり前のように備わっていること。だからこそ大人が見過ごしてきた校則や制服の矛盾に気付き、納得できずに苦しんだ気持ちが伝わってきました。
サヤさんの言葉を胸に刻み、さらに取材し、伝えていきたいと思います。


関連番組
2021年9月9日放送
クローズアップ現代プラス
「その校則、必要ですか? 密着!改革の最前線」

※放送から1週間後までは見逃し配信もご覧になれます

このテーマについて、皆さんのご意見や体験談を募集しています。
「実際に校則を改革した」「自分たちの学校の校則を改革したい」など、こちらの投稿フォームから声をお寄せください。



記事の感想は下の「コメントする」からお願いします

※コメントは編集部で内容を確認の上、掲載させていただきます。

クロ現+
2020年3月2日

校則 先生たちの本音

理不尽な校則や指導、いわゆるブラック校則に対する声が多く寄せられる中で、私たち取材班が本音を知りたいと考えていたのが先生たちです。

匿名の座談会という一定の条件のもとで取材に応じてくれた現役の高校教師たちが語った校則問題とは…。

(ネットワーク報道部 校則問題取材班)


入試まっただ中の先月(2月)はじめ。東京・渋谷のNHK放送センターに各地の高校に勤務する20~60代までの男性・女性教師5人が集まりました。



管理職もいれば、教師になってまだ数年という若い先生もいます。

校則は必要です。でも…
先生たちにさっそく質問を投げかけました。

『そもそも校則は必要か?』
○か×で尋ねました。

すると、全員が「○」と回答。



(B先生)
「やっぱり校則がなかったら、学校の中が無秩序になってしまう」

(C校長)
「学校は集団生活の場。守らなくてはいけない校則は絶対ある」
「校則は生徒を守るためのものでもある」との考え方を示してくれた先生もいます」


(E教頭)
「派手な格好をしてくる生徒がいると、それがいいということで校内に伝染してしまう。ある程度のところで校則を守らせないと、落ち着いた学習環境を補償できなくなる」

学校にとってメリットを挙げてくれたのは北海道の公立高校に勤務するA先生。就職を目指す生徒にとっては、規律を守れることが企業へのアピールにもなるというのです。

(A先生)
「校則を守ることは学校のイメージを守ること。学校のイメージがだめになった瞬間に、地域のどこからも相手にされなくなる。だから子どもたちにしっかり校則を教えないといけない」

説明できない!悩める先生も
うーん。どれももっともな意見。

けれどもこの数年、校則や指導によって精神的・肉体的苦痛を訴える声が徐々に目立つようになり、去年8月には、改善を求める6万人の署名が文部科学省に提出される動きもありました。

生徒や学校生活のための校則なのに、どうしてこんな声が各地であがるんでしょうか?

いわゆるブラック校則の問題が指摘されていることを踏まえて話を聞いてみると、先生自身も違和感や疑問を感じることがあるそうです。



(D先生)
「うちの学校では、男子ツーブロックがだめなのだが、なぜだめか聞かれてもわからない…」

少し戸惑いながらも話してくれたのは生徒たちと年齢が近い20代のD先生。 生徒指導を担当しています。

校則について生徒を納得させられるだけの説明がなかなかできないと本音をのぞかせました。

(D先生)
「髪を結ぶ位置がなぜ耳より上にあげてはいけないのかと女子生徒が言ったことがあるが、基準やだめな理由がよくわからない」

校則の必要性を認めつつも、なくしていくのがいいと考えているそうです。同じ女性のB先生も生徒指導のかたわら、本音では校則に違和感を覚えるといいます。

(B先生)
「スカートの丈はひざ丈の位置と決まっているのに、厳しく指導していない一方で 頭髪には厳しい。不思議だなと思いながらすごしている」

かつて、髪型が校則に違反したと指導した生徒から「なぜだめなのか?」と質問され「校則で決まっているから」としか答えられなかったB先生。生徒の問いに答えられなかった当時の苦しい思いを明かしてくれました。

(B先生)
「生徒は納得しなかったので、つらかった。校則は生徒を守るためのものなのに、その逆をいっていると思う」

言うは易し 行うは難し
座談会は後半に入り、初対面の先生たちも少しずつ打ち解けた雰囲気となり、議論が熱を帯びてきました。



校則の根拠や存在意義をうまく説明できないといった声が相次ぎ、議論は理不尽な校則は見直すべきという流れに…。

(E教頭)
「わからないようなルールは変えたほうがいい」

(C校長)
「現状とかけ離れている校則は考え直したほうがいい」

ただ、実際には“言うは易く行うは難し”。

先生たちの本音とは裏腹に現状では校則を変えることは簡単ではないようです。

C校長は、保護者からのさまざまな要望に応えながら判断を迫られる難しさを教えてくれました。

(C校長)
「校則が厳しすぎるという親と反対にもう少し厳しくやってという親がいる。うまくバランスをとっていかないといけない」

さらに、業務の多様化で先生自身の忙しさが以前と比べて増していると指摘する人も。

(E教頭)
「従来の授業や部活動などに加え近ごろは交通安全や情報教育など、○○教育というものが増えている。生徒との時間が取れなくなってくるので、信頼関係もうまく築けない。だから、校則の見直しもうまく進まないと思う」

さらに子どもたちの教育は家庭と両輪で進めていくものなのに、それがなくなっていることも原因の一つと指摘しました。

(E教頭)
「服装指導は家庭でやっていればいいと思うが、それを全部学校に委ねてくるので、ルールを細かく決めたほうが楽になる。だから、『校則問題』も起きてくる」

みずから声を上げられる力を
先生たちの本音に対し、「必要性を感じているなら変えればいいじゃないか」という声が聞こえてきそうですが、一筋縄ではいかないようです。

議論の最終版、先生たちからは校則を巡る問題に注目が集まる今こそ、教師も立ち止まって 考えるよい機会にしようという意見が上がりました。



(C校長)
「学校のルールを見直す好機なのではないかと思う。実際に、女子生徒の制服にズボンを導入したり、ポロシャツをOKにしたりしてきましたから」

生徒からも声を上げて欲しい、というD先生の話にはみなさんうなずいていました。

(D先生)
「生徒から校則見直しの声があがって、確かにと思ったものには、応援します」

(E教頭)
「ただ『校則が嫌だから変えてくれ』というのは、議論ではないし、無責任。具体例をあげながら、こう変えてほしいと、話を持ってきてほしい」

これまでの取材で紹介したように女子生徒の黒タイツ着用を認めてもらおうと、生徒が声をあげてみずからアンケートをしたり保護者やOBを巻き込んで議論したりした末に校則を変えたという岐阜県の公立高校のケースもあります。

生徒自身が校則をどう変えたいのか、なぜ変えたいのかをよく考えることが大切というE教頭の意見もわかります。

SNSの普及でより意見を広く伝えやすくなっているからこそ、子どもたちには進んで声を上げて欲しいとの激励もありました。



(A先生)
「これは違うとか、もっとよくしていこうと思った時に、声をあげてアクションを起こす力は絶対に必要だと思う。言われた事にただ従うのではなく、行動を起こせるような人材を育てていくのも自分の役目だと思います」



約2時間にわたって白熱した議論が展開された座談会。ご紹介したのはその一部ですが、参加してくれた先生たちは生徒や保護者、社会と向き合って悩みながら校則のあり方を考えていることがわかりました。

あなたの身近な学校で校則に理不尽さや疑問を感じているなら、先生がどのように考えているか率直に聞いてみることが、問題を解決する第一歩となるのではないでしょうか。

校則について、生徒や保護者の皆さん、そして教師の皆さんの、本音のご意見を聞かせてください。下にコメントするか、 ご意見募集ページから お寄せください。

※コメントは編集部で内容を確認の上、掲載させていただきます。

クロ現+
2020年2月10日

外出ダメ! “4時禁ルール”に賛否 見直しの動きへ

皆さん、“4時禁(よじきん)ルール”って聞いたことありますか?岐阜県内の小中学校の中に、子どもたちが早く下校しても午後4時ごろまで外出しないよう指導しているケースがあり、それが子どもたちや学校関係者の間で“4時禁ルール”と呼ばれているんです。

このルールを巡って賛否両論の議論が起こり、見直しの動きへと発展しました。

“4時禁ルール”とは
“4時禁ルール”は、授業が昼までに終わり子どもたちが下校した際、
▼小学生は午後3時まで
▼中学生は午後4時まで
などと自宅から外出しないよう求めるものです。

毎日適用されているわけではなく、教員が、研修や研究授業などのために元々の授業を昼までに終わらせ児童や生徒を下校させた時で、岐阜県内の公立の小中学校では、多い学校で月に1回程度あるということです。

“4時禁ルール”は、校則などで明文化されているケースは少なく、各学校が口頭で指導しているということです。

しかし、そのルールに違反すると個室で指導したり、反省文を提出させたりする学校もあるということが子どもたちへの取材で分かってきました。 実際に指導を受けたという中学3年の女子生徒は「先生が納得いく内容になるまで 反省文の書き直しをさせられることもある」と話していました。

また、中学2年の男子生徒は「ふだんは部活動で忙しく早く帰れる時くらいは 自由に過ごしたい。先生におかしいと伝えても“ルールは守るべきだ”と言われて それ以上なにも言えない」と話していました。

岐阜県内のすべての教育委員会を取材したところ県内42市町村のうち36の市町村から、「4時禁ルールを指導している学校がある」との回答を得ました。

ルールに賛否の声が
岐阜県内で塾を経営する男性が、子どもたちや保護者に行ったアンケートをとったところ、保護者からは「なぜ4時なのか明確な理由が分からない」とか「早く帰ってきて外に遊びに行ってしまうより、“4時禁ルール“はあった方がいい」などさまざまな意見が寄せられていました。

しかし男性は、議論が十分ではないことが問題だと指摘します。「教師に抗議した生徒もいるが『決まりだから』とか、『ルールを破るつもりなのか』と言われて議論になっていない。  しっかりとした議論や自由な意見を言える場を作ってほしい」などとして、指導の見直しを求め、インターネット上で署名活動を行っています。

専門家は「行き過ぎ」

名古屋大学 内田良准教授

学校の安全管理に詳しい名古屋大学の内田良准教授は、「先生たちが本来責任を負わなくてもいい学校外のことまで責任を負わされている。放課後は本来は自由な時間で学校が管理するのは行き過ぎた行為ではないか」と指摘しています。

なぜ?4時禁?
“4時禁ルール”を指導し続けるのには、学校側にも言い分があるようです。 指導の理由について各教育委員会は、それぞれの学校の判断だとした上で、 「両親が仕事で不在の家庭が多く教員も研修などがありトラブルに対応できない」や 「一部の子どもは研究授業に参加しているので 不公平が生じるため」などと答えています。

そのほか、 「ふだんは授業をしているから」「本来学校にいる時間なので家庭で学習して過ごすべき」などの声もありました。

ルールの見直しへ
廃止の署名活動も始まり、岐阜県教育委員会は2月に入って
・一律に外出を禁止すること
・反省文を書かせるなどの指導
これらをただちに取りやめることを岐阜県内各自治体の教育委員会に伝えていたことが分かりました。



岐阜県教育委員会学校安全課は、NHKの取材に対し「学校での指導が教育目的を達成するための合理的な範囲を超えていないか、子どもや保護者などから広く意見を聞いて議論した上で指導を見直してほしい」と話しています。

皆さんは、このルールについてどうお感じになったでしょうか。

校則について、生徒や保護者の皆さん、そして教師の皆さんの、本音のご意見を聞かせてください。下にコメントするか、 ご意見募集ページから お寄せください。

※コメントは編集部で内容を確認の上、掲載させていただきます。

2020年2月10日

「ブラック校則をなくそう!」寄せられた6万人の署名

2017年、大阪府立高校の女子生徒が「生まれつきの髪が茶色いのに黒く染めるよう強要され不登校になった」として損害賠償を求めた裁判がありました。その裁判がきっかけになって立ち上がったのが「ブラック校則をなくそう!」プロジェクト。髪の毛を強制的に黒く染めさせるなど、一般社会から見て“理不尽”と思える校則を「ブラック校則」と呼んで、その問題に取り組む活動です。

活動を行っている団体には1000件を超える体験談が寄せられていて、大きな動きになっています。
生徒や親からの悲痛な声


団体に寄せられた体験談です。
団体のメンバーで、評論家の荻上チキさんは、「多くの人達がこれは理不尽だと思っていて、なんとかしてほしいと思っていることが読み取れる」と言います。

生徒だけではありません。子どもの様子を心配する保護者からの声もありました。




荻上チキさん

荻上チキさん
「多くの人たちが安心して学校に通えるための校則であったはずが、その校則が多くの人たちにとってストレスフルなもので、そのストレスに耐えられない人たちは、むしろ学校からドロップアウトしていくというような、構図になってしまっていると思うんです。」


厳しい指導が不登校の原因になった人も
校則をめぐる厳しい指導が原因で不登校になったという、山本龍仁郎さん(19歳)。 怒られた時のつらさは、今も忘れられないと言います。

山本さんが不登校になったきっかけは、中学1年生の時。身だしなみについて指導されたことでした。通っていた学校では、毎月、全校集会の場で、髪型や靴紐の色などのチェックが行われていました。山本さんは、わずかに髪の毛が耳にかかっているだけで、教師から何度も叱責されました。

山本龍仁郎さん
「耳に髪の毛が1mmでもかかっていたとしたら、その場に立たされて結構怒鳴られますね。怒られると言うより怒鳴られる。」


時には、壇上に立たされ、他の生徒の前で謝るよう強要されることもあったそうです。 次第に学校に行くのが怖くなり、家に引きこもるようになっていきました。

山本龍仁郎さん
「つらいというか、耐えきれなくて。これが3年間続くんだと思ったら無理やなって。そこで一気に挫折というか。折れちゃいました自分の中の何かが。行く気はあるのに、学校のせいで学校に行けないっていう。なんか複雑な気持ちと葛藤と。なんですかね。悔しかったですね。」


山本さんの通っていた中学校はNHKの取材に対し、「身だしなみの乱れは生活の乱れにも繋がる。生徒を追い込むような指導はなかったはずだ」と答えています。

教育現場の改善を求める署名は6万人あまりに
去年8月、理不尽な校則の問題に取り組む「ブラック校則をなくそう!」プロジェクトが、記者会見を開きました。プロジェクトに賛同する6万人余りの署名を文部科学省に提出。教育現場の改革を訴えました。


教育現場の改善を求める署名

要望書では、精神的・身体的な被害を訴えるほどの指導の把握と早急な対応、黒染め指導の廃止、セクハラにつながる下着などのチェックの廃止、校則違反者に対する過重な指導の廃止などを求めています。

校則について、生徒や保護者の皆さん、そして教師の皆さんの、本音のご意見を聞かせてください。下にコメントするか、 ご意見募集ページから お寄せください。

※コメントは編集部で内容を確認の上、掲載させていただきます。

2020年2月10日

生徒に配慮するための“地毛届” でも実態は…

くせ毛や髪の色などの特徴を学校に届け出る“地毛届”。生まれつきの個性なのに行き過ぎた指導をしてしまわないようにするために導入する学校があります。

しかし、愛知県教育委員会が(1月)、届け出の表現の中に人権に配慮が欠けているものもあるとして、全校に届け出内容の見直しを指導することを決めました。実態はどうなっているのか、取材しました。

(NHK名古屋放送局 藤谷萌絵記者)


4分の1で届け出
まず、どれだけの学校で“地毛届”の届け出を実施しているのか。NHK名古屋放送局は、愛知県に情報公開請求を行い、全日制の県立高校147校の校則を調べました。

その結果、多くの高校で髪の毛を染めたり、パーマをかけたりすることを禁止していて、全体の4分の1にあたる38校で、誤って頭髪の指導をしないようにという理由で くせ毛や髪の色が黒くない生徒に地毛の特徴を書類で届け出る決まりがあることがわかりました。

議論になってきた「頭髪指導」
染髪に関しては「生徒が規律ある生活を送るため」として脱色やパーマを禁止する学校は、これまでも多くありました。しかし、生まれつき髪の色が明るかったり、くせ毛だったりする生徒もいるため、「頭髪指導」のあり方を見直す動きも出ていました。



きっかけは、2017年、大阪で起きた裁判です。府立高校の女子生徒が「生まれつきの髪が茶色いのに黒く染めるよう強要され不登校になった」として損害賠償を求め、多くの学校で校則の見直しの動きが活発になりました。

“黒髪の直毛”は普通?
それでも今も愛知県では、4分の1の学校で頭髪に関する校則がありました。県教育委員会が問題視したのは、その届け出に記載されている表現。いったいどう書いてあったのか、中身を調べてみました。すると「黒色でなく、薄い」や「普通」か「天然パーマ」かを選ばせるなど「黒髪の直毛」を標準とするような文言がある高校がありました。



県教育委員会は外国人など多様なルーツを持つ子どもや、髪の毛にコンプレックスを抱える子どもなどへの配慮が欠ける表現もあるとして(1月)、すべての高校に対し地毛の届け出について、人権に配慮する内容に改めるよう指導することを決めました。 県教育委員会は、「頭髪に関する校則は合理的な範囲で定められていると考えているが 地毛の届け出の内容や運用が人権に配慮したものとなるよう見直しを指導して参ります」とコメントしています。

愛知県は東京に次いで全国で2番目に多い外国人が暮らしています。さまざまなルーツを持った子どもたちも増えるなか、地毛届だけでなく、頭髪をめぐる指導そのものを見直す時期に来ていると感じます。

すでに多くの方から頭髪についてのルールについてコメントを寄せて頂いています。校則の問題について調査をしている団体「ブラック校則をなくそう!プロジェクト」のアンケートによると、6人に1人が高校時代に「黒髪指導」を経験したとの結果が出ています。なぜ、なくならないのか、下にコメントするか、 ご意見募集ページ から お寄せください。

※コメントは編集部で内容を確認の上、掲載させていただきます。

2020年2月10日

126文字が問いかける 「校則ってなに?」

校則をめぐるたくさんのコメントをいただき、各学校や地域でいろいろな考え方や議論が起きていることを感じます。

そもそも校則とか学校のルールとは何なのでしょうか?私たちは校則がないというある都内の高校を訪ねました。そこで出会ったのは「校則ってこういうことだよね」と思わせてくれる126文字の言葉でした。

126文字が問いかける 「校則ってなに?」(NHK NEWS WEB)
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200207/k10012277011000.html
「校則を変える・見直す」動きは全国的に広がっていますが、実際に変えられたケースと変えられなかったケースがあるようです。皆さんの中にもそんな経験をされた方はいらっしゃいますか?その時、どのような価値観が焦点になったのでしょうか。ご意見や体験談をお寄せください。

※コメントは編集部で内容を確認の上、掲載させていただきます。

2020年2月7日

生徒や教師、保護者…「三者協議」で校則を考える

「児童生徒の実情、保護者の考え方、地域の状況、社会の常識、時代の進展などを踏まえたものになっているか、絶えず積極的に見直さなければならない」

実はこれ、文部科学省が、“本来の校則のあり方”について記したものです。
具体的にどうやって見直していくのか。模索を始めた学校を取材しました。
生徒、学校、保護者で話し合い
和歌山県立粉河高校では、年に2回、生徒や教師、保護者が集まる「三者協議会」を開いてきました。それぞれの立場で、校則などへの意見を出し合い、全員が納得できるルール作りを目指しています。



私たちが取材をしたこの日、生徒から、体育祭で写真を撮るために携帯電話の使用を許可して欲しいという声があがりました。

これまで携帯電話の校内での使用は、授業の妨げにならないよう原則禁止されており、体育祭でも競技や応援に支障が出る懸念があると使用は認められていませんでした。

教師:「カメラを使いたい理由を教えてもらってもいい?」

生徒:「携帯に(写真を)入れられないから嫌です。先生が撮っても自分たちの携帯に入れられないから、意味がない。」

体育祭の思い出を残すために、使用時間を限定した上で撮影したいと、新たなルールを提案した生徒たち。

しかし、教師や保護者からは、懸念の声があがりました。

保護者:「30分って結構あっという間だし、そこでバシッとみんな回収できるかって、結構難しい面も出てくると思う。」

教師:「そこのルールが守れるかどうか。ここにいる子は ほとんどはウンウンってわかってくれてる子が多いと思うけど、中に『まぁええやん』っていう子がいたら怖い。」

みんなが納得できるルールを生徒が考える
どうすればルールを徹底できるのか。生徒たちにその仕組み作りが委ねられました。体育祭までの1か月。生徒会のメンバーは、連日、話し合いを続けました。



生徒会が考えたのは、体育祭当日、携帯電話を一度預かるというアイデア。撮影する時だけ生徒たちに返却することで、決められた時間以外は使えないようにするというものです。このアイデアは教師たちに認められ、生徒会は全校集会で、ルールを守るよう周知しました。

体育祭当日。撮影できる時間は30分。ルールを破る生徒はいませんでした。

生徒会長: 「何か月もかけてルールを考えて良かったなと思います。頑張ることにはちゃんと意味があって、みんなのことを信用するのも大事だなと思いました。」

生徒会の顧問教師は、学校の押しつけでないルール作りが、生徒の成長にも繋がっていると感じています。

生徒会顧問: 「生徒の要望はある意味リアルなものですし、教員の意見や違う角度からの保護者の意見がいろいろ重なることによって例えば生徒も気づかなかったものの考え方に気づくというのは自分が物事を判断する経験をしていく上で大事なんじゃないかなと思っています。」

校則を変えたくても変えられない学校がある一方で、今回ご紹介した学校のように議論を重ねたことで変えることができたケースもあります。「私たちはこうして校則を変えた」という経験、ありませんか?小さなルールや決まり、習慣でもかまいません。体験談をお寄せください。

※コメントは編集部で内容を確認の上、掲載させていただきます。

2020年1月31日

高校で“トイレに行くと罰則”に込められた意味

みなさんは学校のルールに理不尽さを感じたことはありますか?滋賀県の高校では、授業に集中してもらうという理由で、「トイレに行くと罰則を課す」という生理現象に対するペナルティーが 相次いで明らかになり、問題となりました。

なぜこんなルールが設けられていたのか、現場を取材しました。

(大津放送局記者 松本裕樹 / 大阪放送局記者 大久保彩捺)

“テスト中にトイレ”で1割減点


去年10月、滋賀県の県立高校で定期テスト中にトイレで席を立つと、「点数を1割減点する」という規則を設けていたことが明らかになりました。

試験に集中してもらうことが目的で、通知表の評価には影響しないよう1割の減点にとどめていたということですが、外部からの指摘を受けて、「生徒にトイレの我慢を強いることになり、人権上の配慮を欠いていた」としてこの高校は、ルールを廃止しました。
“欠席扱い”になる学校も
滋賀県内ではその後、彦根市にある私立高校でも同じ問題が明らかになりました。 この高校では校則で、定期テストの開始後25分が経過する前にトイレに行くと、 「欠席扱い」にしていました。

こちらも試験に集中してもらうことが目的で、補修や課題レポートを提出すれば 単位は取得できるという配慮はしていたものの、批判を受けてルールを廃止しました。
同様のルール、ほかの地域では
滋賀県の問題を受けて、大阪府教育庁は、同じようなケースがないか150の府立高校を対象に調査を行いました。

この結果、生徒がトイレなどで退出した場合は教室への入室を認めず、試験を終了させていた学校が4校あることがわかりました。4校では原則、退出する前の解答で採点を行い、体調不良などの理由がある場合は前回の試験の結果などを踏まえた見込みの点数をつけているということです。これについて学校側は、試験中に退出する生徒が続出しないよう、指導の一環として行っているなどと説明しているということです。

また、試験は受けさせるものの、トイレから戻ってきた後の解答については、学期末や年度末の成績を決める際の参考点にすると答えた学校が42校に上りました。一方、残りの104校は、試験を受けさせた上で、ほかの生徒と同様の採点を行っているということです。

また、神戸市では、5つの市立高校が、生徒がトイレなどで教室を退出した時点で 解答を終了したものとみなし、このうち一部の高校では教室に戻らせず、別室で待機させる対応をとっているということです。
行政側は
滋賀県教育委員会などでは、去年10月に各高校に対し、校則などの校内の決まりごとについて、人権への配慮を欠いたものがないか点検するよう文書や口頭で通達を出し、これまでのところ、ほかの高校では問題は見つかっていないということです。

また、大阪府教育庁は、これまで成績の付け方で著しく不利益な扱いを受けた生徒はいないということですが、試験を終了させていた4校については、生徒の意思や体調に配慮した対応を行うよう指導することにしています。


大阪府教育庁高等学校課教務グループ 香月孝治 首席指導主事

大阪府教育庁高等学校課教務グループの香月孝治(かつき・こうじ)首席指導主事は
「学校としては、決してトイレを我慢させようと 思っているわけではない。
 各校が生徒一人ひとりの状況に応じて対応しているので、違いがあるのだと思う」

 と話しています。

そのうえで、
「トイレを我慢しなければならないという思いを生徒が持つようなことがあってはならないので、そうではないということをきちんと生徒に伝えるとともに、ルールの中に盛り込む必要があるかどうか、これを機会に見直しを求めることにしている。少なくともトイレを我慢してまで試験を受け続ける生徒がいないよう指導していきたい」
と話しています。


大阪教育大学 島﨑英夫教授

学校教育に詳しい、大阪教育大学の島﨑英夫(しまざき・ひでお)教授は、
「暗記に偏っているところが多いからこそ、トイレに行ったりすることが問題になるのかもしれない。自分たちの学校に、あるいは、目の前の子どもたちにどんな試験をしたらよいのかをぜひ考え、子どもたちと一緒に変えていけばいいのではないか。この問題をきっかけに、試験のあり方を見直す時期にきているのではないか」
と話しています。
ルールは何のために
そもそも学校の決まりはどうやって決められるものなのか。文部科学省は、「校則」については「児童生徒が健全な学校生活を営み、より良く成長・発達していくため、各学校の責任と判断の下にそれぞれ定められる一定の決まり」と定義しています。校則のように明文化されていない決まりも含め、具体的な中身は各学校に任されています。

ただ、いったん決められると見直されることは少ないようで、トイレのルールを廃止した県立高校では、ルールができた経緯について、教員は誰も把握しておらず、なぜテストに集中させるためにトイレを我慢させなければならないのか疑問を感じながら「なんとなく」運用されてきたということです。
学校側には言い分も


一方、校則の意味を明確に話してくれた高校もあります。「テストでのトイレ」についてのルールを廃止した私立高校です。この高校では、実は「授業中のトイレ」については、 同じルールを継続しています。理由は「学級崩壊」を防ぐため。授業に集中できず途中で外に出て行ってしまう生徒が、少なからずいることから、少しでも集中する癖をつけてもらおうと、最低限50分の授業の半分は教室にいてほしいと25分の区切りを設けているということです。

大学受験を考えていない生徒にとって国語や数学などの通常の授業は、苦痛を感じるという意見もあるといいます。

高校では、調理師や保育士などの仕事に直結する体験型の授業も取り入れていて、こうした授業だと生徒は50分間真剣に聞きます。生徒と向き合いながら試行錯誤を続けているといいます。

「卒業後、社会に出れば、集団行動や集中するといった当たり前のルールが前提となる。そのときに困らないよう、あえて校則で縛ることで社会性を身につけてもらいたい」(私立校長)
学校の決まり 絶えず見直しを
私自身、水泳に明け暮れていた中学生のころ、プールの塩素で色素が抜けてしまい茶色くなった髪を、黒く染めるよう指導を受け、理不尽に感じた経験があります。

取材を通して、学校でのさまざまな決まりは何のためにあるのか、学校の実情に合わせて絶えず見直されていくことが大事だと感じました。


「こんな校則うちだけ?」「そもそもなんのために?」「なぜ変えられない?」 あなたは校則について疑問に感じたことはありませんか? このページでは「校則」について、様々な学校の取り組みや専門家のインタビューなどを掲載していく予定です。生徒や保護者の皆さん、そして教師の皆さんの、本音のご意見を聞かせてください。

※コメントは編集部で内容を確認の上、掲載させていただきます。

2020年1月17日

黒タイツがダメ!? 校則とたたかった高校生たち

「黒いタイツを認めて欲しい」「ベージュはいいけど、黒はダメ」。岐阜県のある高校の校則を巡って、この冬、学校と生徒たちの間で論争が起きました。学校があるのは、冬の気温は氷点下になる山あいの町。なぜ、校則で色まで指定されているのか?生徒たちは、ベージュの何がイヤなの?そして、黒タイツは認められたのか…。校則を巡るたたかいの記録です。

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20191212/k10012210831000.html

「こんな校則うちだけ?」「そもそもなんのために?」「なぜ変えられない?」 あなたは校則について疑問に感じたことはありませんか? このページでは「校則」について、様々な学校の取り組みや専門家のインタビューなどを掲載していく予定です。生徒や保護者の皆さん、そして教師の皆さんの、本音のご意見を聞かせてください。

※コメントは編集部で内容を確認の上、掲載させていただきます。