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2024年1月23日(火)

シリーズ 新時代へのエール② 他者を“理解”し合える世界へ 作家・佐藤優

シリーズ 新時代へのエール② 他者を“理解”し合える世界へ 作家・佐藤優

テレビのロングインタビューを拒み続けてきた作家・元外交官の佐藤優さんがクロ現に登場!自身の秘話を交え、新時代への思いを語りました。外交官時代、旧ソ連・ロシアの中枢深くに入り込み、鋭い分析力から現代の“知の巨人”とも評される佐藤さん。ウクライナ戦争やガザ紛争など不安定さを増す現代、最も必要だと語ったのは“他者の論理を理解すること”です。2024年を日本、そして私たちはどう歩むべきか。その言葉に耳を傾けました。

出演者

  • 佐藤 優さん (作家・元外交官)
  • 池上 彰さん (ジャーナリスト)
  • 桑子 真帆 (キャスター)

※放送から1週間はNHKプラスで「見逃し配信」がご覧になれます。

“テレビに出ない作家” 今こそ伝えたいこと

桑子 真帆キャスター:
よろしくお願いいたします。

作家・元外交官 佐藤 優さん:
どうも、こんにちは。

桑子:
どうぞ、お座りください。

佐藤さん:
ありがとうございます。

桑子:
今回、佐藤優さんにインタビューをすると同僚に何人か話したら“えっ、佐藤さんテレビ出るの?”って結構、言われたんです。

佐藤さん:
でも、私は2002年の5月14日に東京地方検察庁特別捜査部に逮捕されたでしょう。あの時にすべてのニュースで12時と7時と9時のニュースでは、おそらくNHKではトップだったと思います。その時に一生分テレビには出たかなと。

本当のことを言いますと、作家になるときにテレビの世界で、民放ですけれども竹村健一さんからアドバイスをもらったんです。“佐藤さん、テレビに出ないほうがいい”と。テレビという媒体は非常に重要な資質があって、毎回ゼロからスタートする。前回に何を話したか、何を放送したかにとらわれずに毎回ゼロから視聴者に向かっていく。これは積み重ねで書いていく作家の仕事とぶつかっちゃうんだと。

外交官時代の2002年、佐藤さんは対ロ交渉を巡る背任などの疑いで逮捕。一貫して無罪を訴えましたが、有罪判決が確定しました。その後、失職し作家に転身。数多くの作品を発表する一方で、テレビへの出演は基本的に断り続けてきました。
そんな中、持病の慢性腎不全が悪化。2023年、妻をドナーとする移植手術が成功し一命をとりとめました。

佐藤さん:
それが終わってからちょっと心境の変化が出てきたんですよね。ウクライナ戦争が始まったり、政治と宗教の問題でもさまざまなことがある。それからガザでも紛争が始まって、そして、自民党の派閥のパーティー券問題でもいろんなことがある。こういったことにおいて、私はちょっとほかの人と違う視点から見える。自分の思っていることを言って、一緒に国民と共に考えていきたいなと思うようになったときに桑子さんたちのチームの話があったんです。

“異能の外交官”がロシアで見たものは

桑子:
今回、佐藤さんの外交官時代の写真を探すのにとても苦労しまして。元上司の東郷さんが唯一持っていらしたのがこちら。1994年から1995年ごろのモスクワのレストラン。

佐藤さん:
モスクワの新興のレストランだと思います。

桑子:
本当にこれぐらいしか写真がなかった。

佐藤さん:
実は写真に極力写らないようにいつも気をつけて歩いていたんです。

桑子:
それはどうしてなんですか?

佐藤さん:
情報の業界で「顔のない男」というのは、いちばんのほめ言葉なんです。ですから顔を知られないことが非常に重要なので極力写真には入らない、レセプションには出ない。私は外交官の中でも情報を取っていく。それは秘密の情報もいろいろとあります。それに暗号をかけて、ひそかに本国に報告する仕事と各国の政治家とか官僚とかに会って日本の政策を正しく理解してもらって、日本にとって都合のよい情勢を作るという、いわゆるインテリジェンスという世界の裏の仕事が非常に多かったです。

水面下での人脈作りが実を結んだ象徴的な出来事がありました。
1991年8月に旧ソ連で起きた保守派によるクーデター。当時、ペレストロイカと呼ばれる民主化改革を進めていたゴルバチョフ政権を打倒しようというもくろみでした。世界が注目した当時のゴルバチョフ大統領の安否。入省7年目の佐藤さんはクーデター派に近いロシア共産党の最高幹部への接触に成功します。そして…。


ゴルバチョフは生きている

この情報を世界に先駆けて入手したのです。
外務省時代の上司で当時ソ連課長だった東郷和彦さん。

外務省ソ連課長(当時) 東郷和彦さん
「すごいなってことの一点に尽きます。本省に電報という形で(佐藤さんから)入って、われわれはこれを官邸と外務大臣に上げつつ、いろんなチャンネルで世界に発信したわけです。日本がこの情報に関しては一番乗りということが世界に知れ渡るわけです」

桑子:
ふだん、どういうことを心がけていたからできたんだと?

佐藤さん:
私は当時まだ三等書記官ですから隙間産業をやらないといけない。日本大使館が全然接触していない保守派。ソ連を維持したいし西側なんかと仲よくする必要はないし、ペレストロイカは国を誤る可能性があると考えている人たち。この人脈を作ったんです。その人とはずっと付き合い続けるんだけど、ある時に、だいぶウオトカ(ウォッカ)飲んだときにこう言っていた。ソ連は崩壊するだろうと。そして、そのあとしばらくは混乱して、いわゆる民主的な政権ができるんだけども、必ず揺り返しがあると。強力な指導者が出てきて、また西側との関係は緊張して、それがロシアなんだと。強い指導者のもとで。

桑子:
今まさに言っているとおりになっているということですね。

佐藤さん:
だから今になって考えてみると、あのクーデターが成功していたソ連と今のプーチン政権下のロシアってあまり変わらないんじゃないかと思う。そうすると、あのクーデター派が何を考えていたのかということを知ることが、実は、ウクライナに戦争を仕掛けているこのプーチン政権が何を考えているかということを理解することにもつながると思うんですよね。ですから、いい悪いは別としてプーチンさんの論理というのは意外とロシア人が支持しちゃっていると。だから独裁者のプーチンを追い出せばすべてハッピーエンドってことになるんですけども、また別のプーチンさんが出てくるだけと私は思っているんですよ。

世界の対立 打開のために“内在的論理”とは

争いが激化する世界。2022年2月にはロシアがウクライナに侵攻。国際法に違反する一方的な侵略行為として国際社会から批判を浴びていますが、終息の見通しは立っていません。

さらに、2023年10月にはイスラム組織ハマスとイスラエルの衝突が勃発。双方の指導者が正当性を主張して譲らず、ガザ地区での死者は2万5,000人を超えています。
こうした状況を打開するため、佐藤さんが必要性を訴えているのが「内在的論理」の理解です。一体どういうことなのか。解説といえばこの方。佐藤さんと親交が深い池上彰さんは、こう読み解きます。

佐藤さんとの対談・共著多数 ジャーナリスト 池上彰さん
「内在的論理というのは、それぞれの国や団体がどのような論理でこういうことをしようとしているのか、その論理をまず知ることが必要だということ。それに賛成する反対するということではなく、まずは相手のことを知ろう。敵のことを知らなければ、対応もしようがないということ。論破って言葉があるでしょう。論破王っていたりしてですね。『論破したぜ』と言うと、そこで終わっちゃうんですよね。『論破したよ』『はいおしまい』になる。だから世の中はだめなんですよね。相手と意見が対立していても、相手が何を考えているかを理解した上で対応する。そうしたらまた向こうから何か返ってくるという形で、キャッチボールが行われますよね。それが結果的に次の解決策につながってくる」

元東京地検特捜部検事の西村尚芳さんです。佐藤さんは逮捕後の取り調べでも検事という仕事の本質をつかもうとしていたと明かします。

佐藤さんを取り調べた 元東京地検特捜部検事 西村尚芳さん
「検察官の仕事のことを聞きたがっていた。どんな風な仕事ぶりで仕事をしていくのかを聞きたがって。検察官がどんな行動原理で動くのか、把握したかったと思う。両方とも、どんな立場で仕事をしているのか、どういう行動原理で動いているのかをお互いすり合わせるという作業が前段階でありました」

内在的論理の理解を訴える背景には、佐藤さんが抱く強い危機感があります。

佐藤さん:
今それをやっていかないと、われわれは殺し合いの道に入っていっちゃうからなんです。ウンベルト・エーコという小説家で哲学者、イタリアの人なんですね。この人が『永遠のファシズム』という本を書いてるんです。何でファシズムみたいなあんな乱暴な体制が生まれてくるのか。エーコさんによると、人間が群れをつくる動物だからだと。人を排除して自分たちのグループのほうが優越だと思っている、こういう特性がある。それだから常にファシズムがいけないものなんだ、そういうことをしてはいけないんだという教育を続けていかないと人間はそれをやっちゃう。そうすると自分たちと違う集団、自分たちから見ると異常なこと、残虐なことをしてるように見える人たちがどういう理屈を持っているのか、それをきちんと理解する。ですから、バイデンさんから見るとプーチンは悪魔なんです。プーチンさんから見ると、ゼレンスキーさんとバイデンさんは悪魔なんです。本当の悪魔のように見えるわけなんです。そういう価値観を持ってる人たちの論理を進めていくと世界は破滅しちゃうんですよ。

いまこそ訴えたい命の尊さ

長期化するロシアとウクライナの戦闘をどう解決すべきか。佐藤さんが訴えるのは即時の停戦です。

佐藤さん:
ウクライナを巡る問題というのは、ウクライナ東部に住むロシア語を日常的にしゃべって正教を信じていて、自分たちのアイデンティティーはロシア人とウクライナ人が複合してるんだけど、ロシア人の要素のほうが強いっていう人たちの処遇を巡る問題で地域紛争だったんですね、最初。しかもミンスク合意というのがあって、このロシア系の人たちが実効支配している領域においては特別な統治体制をつくるように憲法を変えると。そうすれば、軟着陸できるという一応は仕組みはあったわけです。それからロシア人もウクライナ人を皆殺しにするってことは考えていないです。ウクライナ人もロシア人を皆殺しにするってことは考えていないです。ですから、ここにおいてはお互いに折り合いをつけることはできる。停戦というのは、それによってロシアが占領している地域を認めることにならないわけです。とにかく銃を置いて人が死ぬことをやめて、それでそのあと外交交渉で問題を解決していく。この方向性は可能だと考えてるからなんですね。そうすると日本は意外といい立ち位置にいるんですよ。

桑子:
そうですか。

佐藤さん:
日本はあまり軍事に関しては大きな支援をしてないんですよ。しかも殺傷能力のある兵器をウクライナに渡していないG7で唯一の国なんですね。だからG7で唯一日本は、ロシアとウクライナの間の平和をつくり出していくときに、両方と話ができる仲介国になれるんですね。価値観の上ではウクライナや西側連合に立っても、ロシアとの関係では日本が提供したお金で死んでいるロシア人、けがをしているロシア人が1人もいないわけですから、これは仲介国としての地位を外交的にとれるわけです。ですから、私はそこのところに元外交官としては非常に魅力を感じているんですね。

桑子:
そこに希望を持っていらっしゃるわけですね。

佐藤さん:
はい。

桑子:
命がまず大切だ。そう強く思われるようになったのはどうしてなんですか?

佐藤さん:
私の場合には、このかりゆしを着ているのは沖縄の人間であるというアイデンティティーが半分、いや半分というか8割ぐらいあるんですよね、実は。それは母が沖縄の出身で14歳のときに非常に例外的なケースなんですが、日本軍の軍属として軍と行動を共にしているんです。そして、首里の攻防戦に参加して、そのときに手りゅう弾を2つ渡されるんです。それで、いざとなったら自決しろと。不発に備えてもう一つだと。摩文仁まで行って、ごうの中で潜んでいる。日本軍が組織的な抵抗をやめたあとも17人の人でその穴の中に潜んでたんですよ。あるとき米兵に見つかっちゃって、それで母親が手りゅう弾の安全ピンを抜いてたたきつけようとしたんです、横のさんご礁の壁に。そうしたら、隣にいる山部隊というところのひげぼうぼうの伍長が死ぬのは捕虜になってからもできると。ここは捕虜になろうと両手を上げて、なんとか生き残った。でも、母は死ぬ瞬間まで自分が手りゅう弾をあそこで爆発させたら自分だけじゃなくて16人巻き添えにして殺していたと。これを非常に言っていたんですよね。それで命は何よりも大切なんだということは、やっぱり母に子どものときから沖縄戦の体験を通じて言われた。だから、その影響は私の中にもあると思う。

スローガンではなく“リアリズム”で見る

先の大戦の終結から79年、平和を享受してきた日本。その日本を取り巻く安全保障環境が変化しているとして、政府は反撃能力の保有など防衛力の強化を進めています。
こうした状況において、佐藤さんが強調するのは事態をリアリズムで捉える重要性です。

桑子:
社会を包む空気は台湾有事だとか防衛費増額とか、そういう声。あとは新しい戦前という言葉も聞かれますけれども、どういうふうに映っていますか?

佐藤さん:
スローガンは先行させないで、リアリズムで見ることが重要だと思うんです。ロシアがウクライナを侵攻したと。だから中国がきっと台湾を侵攻するというんだけども、そこで、もうワンクッション置いて考えないといけないと思うんです。ロシアは今回こういった侵攻をすることによって国際的に孤立しました。こういうような孤立は果たして中国にとって得かどうか。あるいは台湾を攻撃すると。よく軍事専門家は台湾の半導体工場をまず中国は攻撃するんじゃないかと。私は、それはないと思うんですね。中国自身が半導体入らなくなっちゃいますから。

桑子:
自分が困ります。

佐藤さん:
平和裏に解決するほうが得だと中国が考えるシナリオが本当にないのかと。単純にここのところで台湾有事で防衛力を増強しろという話にはならない。もう少し、そこのところで政府の中心にいる、あえて使いますと政治エリートたちは、もう少し幅を持って物事を考えないといけないと思うんです。それと同時に軍事は軍事の専門家たちが最悪の情勢に備えて情緒的な議論じゃなくて、むしろ閉ざされた扉の中で専門家的な議論をしていくことが重要だと思うんです。国民みんなが国防についての議論を啓発して話さなきゃいけないというのは、あまり健全な状態じゃないと思うんです。外交についてもそうです。要するに非常に専門的な知識が必要とされる領域のところに関して、情緒的な議論が先行するようなやり方は結果として国益、これ二重の国益ですね、国家益と国民益を棄損する可能性があると思うんです。

桑子:
危うさをはらんでいるということですね。

佐藤さん:
ちょっと古い考え方だと思われるかもしれないんだけども、ロシアやドイツでは魚は頭から腐るというんですね。要するに社会の指導的な部分を強化していかないといけないです。ですから、今のこの政治腐敗というのは、非常に深刻な問題なんですけどね。ですから、きちんと教養をつけるとともに健全な意味での愛国心ですね。この国が国民のためにきちんとして役割を果たせる。そのために自分は何ができるんだろうと。他者のために何らかの具体的な努力をするということの集積だと思うんです。

平和のために日本がすべきこと

そして、平和のため日本がすべきこととは。

佐藤さん:
どうも日本の議論だと、中国が攻めてきたらどうなるか、北朝鮮にやられたらどうなるかと、それでハリネズミになっちゃうんだけれども、実は日本は国力がすごくあって仕掛けていくことができるプレーヤーである。その時に日本は防衛においても抑止力を強化するという平和に向けた防衛協力。また、外交においても平和的なイニシアチブを発揮することができると思うんです。それで、アジア太平洋地域においては戦争を絶対に起こさない枠組みを作ろうと。そういったことを日本が主張していったらどうでしょうか。軍事力を背景に、自分の主張を展開してもいいという動きが世界的に広まっている中において日本は、かつて自分たちがそういう道で破滅したということを踏まえた上で平和のイニシアチブをとる中心的な国になる。

次の世代のために何ができるのか

佐藤さんは今、力を入れていることがあります。若い世代に世界を深く知るための知識や考える力を身につけてもらうことです。

作家・元外交官 佐藤 優さん
「近代的な産業は工業化と結びついている。そうしたら何ができなきゃいけない?」
「生産」
佐藤 優さん
「生産にあたって、何ができないといけない?」
「文字を読むこと」
佐藤 優さん
「識字だよね。あともう一つは?」
「計算」
佐藤 優さん
「識字と計算だよ」
佐藤 優さん
「内在的な論理が物事にあるわけ。一見不合理に見える制度やおかしく見えることでも一定程度継続的に続いている場合は、そこに内在している論理がある。上手に自分で補助線を使って読み解いていく力が必要。」

桑子:
講義でも若い人たちと触れ合っていて、今の日本の若者はどういうふうに映ってますか?

佐藤さん:
そこは非常に期待が持てると思います。ただし、自分に自信を持てと。みんな力あるんだよと。こういうメッセージをきちんと出しつつ、大人の存在って重要になってきます。私、今63ですけど、社会に出たのは25のときですから、25から63までそんなに手を抜いて生きてきたとは思っていないんです。ところが、透析中にあるトレンディードラマを見ていたんです。1991年にすごくはやったトレンディードラマで、そのリメイク版が2020年ぐらいにできているんです。30年たって貧しくなっているんです、ドラマの中の風景が。医大生が1991年はスポーツカー乗っているんだけれども、2020年になったらセダン車。それから、みんな少なくともカフェバーとか、ふだん高級レストランで飲み食いしていたのが、家飲みとか。それを見たときにはっとしたんですよね。われわれ責任あるなと。気づかなかったと。そこではたと思ったのは教育。われわれがやってきたことのよかった面も失敗したと思う面も次の世代、若い世代に正直に伝えていく。そして、私は上の世代から結構助けてもらった。今返そうと思っても、その先生たちは天国に行っちゃったからいない。ただ、その先生たちも先輩から恩恵を受けていたので、そういう縦の贈与の連鎖みたいなものをつくれないかなと。そういう大人と学生時代に出会っていると社会に出てからも大人に対する見方が変わってくる。

桑子:
下に対する見方も変わってくるんですね。

佐藤さん:
そこでもう1回、人間と人間の信頼関係を強化していくことを、大きな理屈を立てていくということよりも自分の手の触れる範囲でどうやってやっていけるのかなと。だから親ガチャにしても、どういう親の元に偶然生まれたということだから、それは自分の実力じゃないですよね。ですから、自分が恵まれた環境にあると思った人に関しては、それは自分の力じゃないんだから、それは社会に返さないといけない。また、自分はちょっと大変な状況だっていうことだったら、遠慮なく助けてくれって言っていいと思うんです。

桑子:
その関係性はすてきですね。

佐藤さん:
そういうことが率直に言える。厳しいところにいる人は頑張りすぎない。助けてくれと。そういうふうに言って助けてくれる人は必ず出てくる。こういうふうに思っているんです。

桑子:
それがうまく連鎖すれば、とてもいい社会になるなと思います。

佐藤さん:
そのためには、視聴者の皆さんの中で自分の周囲でできる可能性があったら、無理をしてはいけないんだけれども、ちょっとだけ勇気を持って少しやってみる。結局、この集積じゃないかなと思っているんです。

他者を知り 助け合える世界へ

他者を知り、信頼し、助け合うことが大切だと語った佐藤優さん。一見シンプルな言葉ですが、そのことが難しくなっている今、大切なメッセージだと受け止めました。この言葉を胸に、この1年も伝え続けていきたいと思います。

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