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2022年5月25日(水)

円安と物価高のダブルパンチ あなたの財布はどうなる!?

円安と物価高のダブルパンチ あなたの財布はどうなる!?

20年ぶりの急速な円安に高騰していく物価・・・。日本経済をこれまでにない急激な変化が襲っています。私たちは、この波にどう立ち向かえばよいのか。旅行、日常生活、そして資産の3つの分野の第一人者が独自の視点で視聴者の質問に徹底的に答え尽くします。海外旅行先の定番・ハワイでは物価高であらゆるモノの値段が高騰。ハワイの免税店では日本で普通に買った方が安いという不思議な現象が起きていました。物価が安いとされてきた東南アジアのタイで購入したチェーン店のコーヒーは、日本で購入するよりも高かった。なぜこうした逆転現象は起きたのか?世界地図を模したスタジオパネルで日本が直面する円安の仕組みをグローバルな視点から解説し、そのからくりをひもときました。円安と物価高の関係は?過去の円安とは何が違うのか?専門家の考察をもとに深掘り。さらに、地政学的リスクが高まる激動の時代に、誰もが気になる暮らしや資産への影響とその裏側を徹底的に解説し、視聴者からの素朴な生質問にも答えました。

出演者

  • 石川 智久さん (日本総研調査部 上席主任研究員)
  • 鳥海 高太朗さん (航空・旅行アナリスト)
  • 深田 晶恵さん (ファイナンシャルプランナー)
  • 桑子 真帆 (キャスター)

※放送から1週間はNHKプラスで「見逃し配信」がご覧になれます。

格安旅行 人気のタイでも 定番料理が10年前の2倍

<スタジオトーク>

桑子 真帆キャスター:
今回は円安を徹底的に掘り下げていきます。まずは、海外旅行事情を航空・旅行アナリストの鳥海高太朗さんとお伝えしていきます。

ことし、3年ぶりの制限解除となった大型連休ですが、ハワイへの日本人観光客が前年の5倍になりました。

しかし旅行先では、現地に行った日本人観光客によりますと、ランチで食べたロコモコが2,200円。そして、あるカップ麺は550円と驚きを隠せなかったということです。日本よりかなり高いと感じます。

そして、免税店ではブランド品を安く買うことを楽しみにしていた人も多かったのですが、ブランド品も日本で買うより高い状態となっていたそうです。そして、鳥海さんも大型連休はハワイにいらしたということで。

スタジオゲスト
鳥海 高太朗さん
航空・旅行アナリスト

鳥海さん:
大型連休はハワイのほうに行ってきました。

桑子:
どうでしたか。

鳥海さん:
レストランとかで少し日本人の姿が見られたのですが、ショッピングセンターなどは日本人が非常に少ない。メイド・イン・アメリカのものは多少安いのですが、それ以外のものに関しては非常に高い。日本のほうが安いということで、日本人の姿は非常に少なかったという印象です。

桑子:
そして円安による割高感が、格安旅行で人気のタイでも起こっていたのです。

タイの定番料理のガパオ。ことしの初め、円安前は200円だったのですが、今は220円です。少し高くなったという印象があるのですが、10年前と比べますと当時は130円。物価の影響もあって、どんどん高くなっているという印象はあります。

そしてトムヤムクン(2~3人前)に関しては、ことしの初め、円安前は920円。現在は1,000円。10年前と比べますと、当時565円だったということで、だいぶ割安感というのはなくなっています。

タイの日本語観光ガイドの方にお話を聞きますと、この大型連休で久しぶりに日本人観光客が来たのだけれども、旅行の仕方がずいぶん変わったということです。

まず滞在日数が減って、「オプションツアー」をほとんど頼まなかったと。さらに、ショッピングに関しては安いものは買うのだけれども、高級品、タイシルクですとか、木彫り、宝石類などの高級品はあまり買わなかったそうです。

そして宿泊先に関しては、昔は日本人は五つ星に泊まるというイメージだったそうなのですが、今回は1万円前後のスタンダードホテルだったと。そういった方が多かったそうです。

鳥海さん、こういった状況は、ほかの場所でも見られることなのでしょうか。

鳥海さん:
コロナを通じて、世界的に今まで出かけていた旅行先、例えばハワイやタイでもそうですが、そういった国が好きな人たちが2年ぶり3年ぶりに出かけているということで、団体客がほとんどおらず、個人旅行で行くということで、本人が楽しめるものにはお金を使いますが、お土産屋さんとかでお金を使うということをしないということで、お土産屋さんの利用というのが非常に少ない状況になっていますね。

桑子:
団体客のほうがお金を使うというイメージは確かにありますからね。今、ハワイ、タイと見てきたわけですが、今回の円安というのは世界各国の通貨に対しても進行しています。

アメリカのドルに対して、ことしの初めは1ドル115円だったのですが、5か月ほどたった5月24日時点で1ドル127円と10%の円安になっています。

ほかの国を見ても例えば中国の人民元は4%、韓国のウォンに対しては3%の円安。さらに日本人の旅行先で人気のオーストラリア、それからヨーロッパ、南米でも円安が進んでいるわけです。

20年ぶりの円安! 私たちの生活にどう影響?

<スタジオトーク>

桑子 真帆キャスター:
ここからはマクロ経済が専門の日本総研、石川智久さんにも加わっていただきます。

全世界的に円安になっているわけですが、これはどうしてなのでしょうか。

スタジオゲスト
石川 智久さん
日本総研調査部 上席主任研究員

石川さん:
コロナが大変なときに各国の政府が財政大盤振る舞いしたり、金融緩和をしたりして、それが功を奏して景気がかなりよくなってきました。日本はそれに比べると、景気回復のペースが遅いというところがあります。世界中で今、金利を引き上げているんです。アメリカだけではなくて、世界中のほとんどの国が金融を引き締めていくと。

金利が上がると、みんながお金を外貨に替えたがる。円を売って外貨に替えるというのがドルだけではなくて、ユーロだったりポンドだったり、新興国のお金だったりになっていると。

桑子:
金利が高いほうがお得ですからね。

石川さん:
そうです。お得なので、外貨預金でもうけたいという人がたくさんいるので、その結果、円が売られてほかの通貨が高くなるということで円の全面安になっているという状況です。

桑子:
円安が私たちの生活にどう影響するのか、整理してみましょう。

まず、日本というのは生活品のほとんどを輸入に頼っています。円安が進む、つまり円の価値が下がりますと、輸入するために多くの円が必要となります。すると輸入のコストがかさんで、企業としては今、物の値段を上げざるを得なくなっている。そして、私たちの家計の負担は増えているという状況です。

海外から見ますと、円安だと日本の製品が安くなりますからたくさん買います。すると、日本の企業としては輸出するとどんどん利益が上がるというメリットがあります。

「円の実力」が低下 50年前と同じ水準に

<スタジオトーク>

桑子 真帆キャスター:
今回の急激な円安ですが、一時は1ドル130円まで進みました。一体これが何年ぶりのことなのか、グラフをご覧いただきたいです。

円とドルの為替レートのグラフ。今回の円安はなんと20年ぶりで、2002年以来であることが分かりました。

20年前の日本も円安で苦しんでいたのでしょうか。2002年の日本というのは、就職氷河期が続いた時代でした。ただ、実は円安ですから輸出産業が活発になって、日本経済にとってはプラスに働いていたのです。

こうした中で、輸入コストが上がったことによる値上げというのはどうだったのかというと、実はその影響はそれほどなかったということです。

これはどういうことなのか。石川さんは「当時、日本はほかの国に比べて物価が高かったため、輸入にかかるコストがそもそも安かった」とおっしゃっています。具体的にどういうことでしょうか。

石川さん:
確かに2002年は景気が悪かったのですが、まだ日本経済の実力というのは非常に高くてですね。例えば1人当たりのGDPが世界でトップ10に入ってたというような状況です。でも、今の日本の1人当たりのGDPというのは世界で25位とか26位とかでだいぶ下がってきています。

いちばん大事なことは、賃金がこの20年間全然伸びていないんです。どちらかというと減っている感じになっていて、かつ消費税も上がったり、社会保険料も上がったりで皆さんの収入がかなり減っていって、それが結局購買力がないという感じになっているんです。

簡単な例で言うと、1万円のお小遣いがある人は100円が200円に上がっても「まあ、100円上がっただけだ」という感じだと思うんです。でも、お小遣いが1,000円だったり3,000円だったりすると、100円が200円になるというのは結構死活的に痛いと。

そういう意味で、やはり所得がのびない、賃金が増えないと、どうしても同じ円安でもそれだけ大変になってしまうと。物価が安い結果、こういったことが起きているということです。

桑子:
もう少し整理していきましょう。「円の実力」、つまり「購買力」とも言うわけなのですが、つまりどれぐらい円で買う力があるか、購買する力があるかということなのですが、例えば1,000円を持ってアメリカに行って何が買えるかを考えたときに、まずは1ドルが今いくらなんだろうという「為替」が関係してきます。ただ、もう一つ関係します。その場所の「物価」です。

物価が安ければ同じものでもたくさん買えますが、高ければ少ししか買うことができない。つまり、本当の円の実力を知るためには、「為替と物価」。どちらも一緒に考える必要が出てくるわけです。

この物価を踏まえた円の本当の実力は、今はどれぐらいなのかといいますと、なんと50年前の水準だということです。50年前というと、1972年です。

この当時の日本、どんな生活だったのか。海外旅行は主に富裕層。一般の庶民はなかなか行けない時代でした。さらに、海外の商品はかなりぜいたく品だった時代ということです。石川さん、50年前の実力はどう見たらいいのでしょうか。

石川さん:
今、桑子さんが実質実効為替レートという経済の用語をすごく簡単に説明してくれたのですが、このとおりで、為替と物価、両方見ないと円の力が分かりませんよという話をしています。

結局、世界はどんどん物価が上がっていって、日本は物価がどちらかというと下がっていったと。為替も安くなったということで、1円で物を買う力というのが50年前と同じになっていると。

50年前というのは、海外旅行に行く人もほとんどいませんでしたし、例えば海外に留学するとなると基本的に海外の奨学金とかがないと無理だとか、あとは海外の物を買うというのは結構ぜいたく品だったり、どちらかというと高級品であったところもあって、日本人がブランドを買うために旅行をするようになったのは本当にこの20年ぐらい前の話です。そういう意味では海外が高くてしかたがない時代になってしまっていると。

桑子:
その当時と同じような感じになっている。

円の実力、購買力が世界と比べてどうなのかを見るのによく使われるのが「ビッグマック指数」。

ビッグマックは各国で材料や調理法がほぼ同じですから、その土地での値段を比較することで購買力、実力を測ることができるというわけです。

ことし発表された数字では、1位スイス、804円。2位ノルウェー、3位アメリカ、なんと日本は57か国中33位、390円でした。

同じアジアのタイや中国から見ても低い、安いということになるのですが、鳥海さん、タイは物を買うには安いというイメージがまだありますけど、ランキングは上だと。どういうことなのでしょうか。

鳥海さん:
外資系のいわゆる日本とかアメリカのチェーン店の食べ物に関しては、日本とほぼ同じ、もしくは少し高いというところです。例えばタイでは、回転ずしのチェーン店でも1皿140円程度するということで、日本よりも少し高いという感じになっています。

ただ、現地の屋台とかの値段に関してはまだ安いという部分がありますが、1杯800円、1,000円するラーメンを地元の高校生が食べに来ているというところもありますので、かなり日本が安く感じるということが出ているかなと思います。

桑子:
ただ石川さん、安く買えるのはお財布事情としては優しい、うれしいことではありますよね。

石川さん:
今だけだったら安く買えるのはいいのですが、同じものを買おうと思ったら海外だとかなり高い値段なわけです。

ということは、海外から物を買うということがとても難しい状況になるわけです。日本は、すべてのものを日本で賄えているわけではないので、やはりある程度輸入しないと生きていけない。

特に食料とか原油とか、そういったものは輸入しないといけないので、そういった意味でいろんなものが高いと巡り巡って日本の生活も大変になってくるということがあると思います。

桑子:
そうなると、円安がいつまで続くのか…。

石川さん:
そうですね。予測するのはなかなか難しいのですが、基本的にまだ海外はちょっと利上げ、金利を上げていく方向にあります。

日銀はほかの中央銀行に比べると、金利を引き上げることに対しては少しゆっくりしているという感じになっていまして、通貨よりもデフレ対策を考えているので、そういう意味では海外のほうが金利が高いので、海外に預金をする動きというのは当面続くのかなと。やはり年内は円は厳しく、円安は続くのではないのかなと考えています。

桑子:
私たち消費者にとっては厳しい状況が続くようですが、どう乗り切ったらいいのか。町の皆さんに聞いてみました。

円安と物価高で負担増 皆さんはどうやりくり?

50代 製造業
「今はもう全部海外で作ったやつを入れてきて製造するじゃないですか、うちの会社も、そういう部品もらったりしてるんですけど。1年前の見積もりと、今の見積もりで全然違う。(円安が)ちょっと行きすぎちゃったら日本どうなるのって」
20代 会社員
「前は1週間ほどの生活費は大体3,000円から5,000円ですけれども、今は7,000円くらいになってしまいます」
取材班
「何か節約とか、変えたことはありますか?」
20代 会社員
「業務スーパー。前は行かなかったんですけど、ちょっと遠いので。歩いて40分くらいのところ。ポイントが10倍とか20倍の日、わざわざその日のうちに買い物を済ませることですね」
家計防衛術①
遠くてもお得な店で一気に買いだめ
30代 会社員
「タマネギとかがすごく今高いので、なるべく使わないように違う野菜に変えたりとか。葉物が逆に安く感じてしまって、そっちを買ってます」
家計防衛術②
値上がりしていない食材を買う
60代 主婦
「実際(ガスの)メーター票を見ると、ちょっと不安になりますね。年金収入だけなので。シャワーを減らして、お風呂のお湯をおけで使うとか。本当に小さなことですけど、やっぱり前は意識しなかったことをしています」
家計防衛術③
シャワーを使わずお風呂の湯を使う

円安と物価高で負担増 おすすめの節約術

<スタジオトーク>

桑子 真帆キャスター:
ここからはファイナンシャルプランナーの深田晶恵さんにも加わっていただきます。

皆さんの防衛術を見ましたが、深田さんの節約テクニックはなんでしょうか。

スタジオゲスト
深田 晶恵さん
ファイナンシャルプランナー

深田さん:
「ふるさと納税」を活用しようかなと思います。

桑子:
どういうことでしょう。

深田さん:
物の値段が上がって、食費の負担がちょっと増えていますよね。ふるさと納税は、ちょっと晴れの日に食べるような、ぜいたく品をとるというのが楽しみだったと思うのですが、日常的に使うお米とかを取り入れていく。返礼品をうまく日常生活の中に活用していくといいのではないかと思います。

桑子:
何か月おきにお肉が送られてくるようなものもありますしね。あと、自分の資産を守りたいと考えている人もいると思うのですが、円安の場合、例えばドル貯金をしたらいいのかなとか、いろいろ考えている人もいると思うんです。何かポイントとかはありますか。

深田さん:
こういうとき、外貨預金と思ってしまうかもしれないのですが、「円安」に言葉を補足すると、「円安ドル高」。つまり、投資というのは安いときに買って、高いときに売れればいいわけです。そうすると、今外貨は高いわけですから、外貨預金を今から始めるというのは注意しなくてはいけないですね。慌てないことが大事です。

桑子:
慌てない。高いものは手を出さないという心理は大事かもしれないですね。

円安がしばらく続く中で、日本はこれからどうなるのか。実は悪いことだけではないのです。円安のメリットは、インバウンド需要の増加です。実際、4月の訪日外国人の数が2年ぶりに10万人を超えたというデータがあります。

そして、日本観光が人気であるタイでは、「両替所」に人々が殺到したようです。入国制限が解除されたら日本へ旅行したいということで今、円安のうちに「バーツ」を「円」に替えようということで4月、取引量が前の年の2.5倍になったそうです。

さらに、スイスのダボス会議で日本が観光競争力の世界ナンバー1になったということで、日本の注目度が実際に高まっているということです。

鳥海さん、日本へのインバウンドへの期待はどれくらいしていいでしょうか。

鳥海さん:
非常に高いと思います。急激な円安によって、今日本に来たらたくさんのお金が使えると。ホテルも今、日本は安いですし、入国制限が早ければ6月以降観光での入国が認められるようになると、タイも含めて今まで日本に一度でも来たことがある人が日本にもう一度来たいという声が非常に多いです。

そういった意味で両替も多いですし、日本は公共交通機関が非常に優れていますので、これから個人旅行の時代という中で、日本の公共交通機関を含めて移動がしやすい。そしていい観光地がある。そして物価が安いということで、多くの海外の人が日本を訪れるのではないかなと思います。

桑子:
期待できそうですね。そして、円安のもう一つのメリットは、「輸出の活性化」。実際ことしの3月期の決算では、旧東証一部のうち、前年度に比べて利益が増加した企業が7割に上り、多くの大企業で過去最高益を記録しました。

ただ、これは海外で事業を展開している大企業の話です。国内で事業を展開する中小企業にとっては、厳しいという声があります。

4月、日本商工会議所が行ったアンケートによると、53.3%の中小企業が「円安はデメリットのほうが大きい」という答えをしています。

石川さん、日本は99%が中小企業ですが、そうすると日本全体にとっては円安のメリットはあまりないということでしょうか。

石川さん:
円安のメリットを感じるためには、海外と関係がないといけない。海外とのつきあいがなければいけないと。大企業は海外の工場を買ったり、海外と貿易をしたりとかしてメリットがあるのですが、中小企業は必ずしもそういうわけではないので、特に外食とか、小売りとか、そういったところは国内でしか商売をしていないというところもあるので、どうしてもデメリットが大きいと。大企業と中小企業の二極化が進むのだと思います。

桑子:
二極化ではなくて、日本全体を上げていく、よくしていく必要があると思うのですが、どうしたらいいのか。ここで注目したいのが、やはり「賃金」を上げてほしいですよね。

世界各国の賃金上昇の推移を示したグラフなのですが、先ほど紹介した円の実力。為替と物価の影響も反映させた形で、世界各国の賃金上昇の推移を見ますと、オレンジのアメリカ、濃い青のドイツ、それから韓国、それぞれ上がっているわけですが、日本は赤い線が上がっていないですよね。

これについて石川さんは、「最近メガバンクが賃上げを行ったというニュースがあった。まずは大企業から上げていき、中小企業が追随して賃上げをしていくべきなのではないか」としています。

石川さん、中小企業も大企業のあとに続けますか。

石川さん:
それを目指していくべきだと思います。購買力を上げるためには賃金を上げなければいけなくて、やはり大企業がどんどん賃金を上げていく中、中小企業もそれに追随していかないといい人材も採れませんし、実際いくつかの中小企業は新卒の給料を上げたりとかもしています。私は徐々に中小企業の賃上げの気運というのは高まっていくと思っています。

桑子:
実際にそういう流れというのは今、感じられますか。

石川さん:
それは感じてきています。人手不足が賃金を上げなければいけない空気を作っていると思うので、中小企業の経営者は大変だと思うのですが、なんとか頑張って生産性を上げて、賃金も上げていただければと思います。

桑子:
深田さん、家計の専門家としての立場で日本全体を上げていくためにはどうしていけばいいと考えていますか。

深田さん:
まず短期的には「家計の見える化」ですね。物価高が自分の家計にどれぐらい影響を及ぼしているのかを、数字で見てみることが大事です。

数か月後に物の値段が上がる、食品の値段が上がるというのが分かっているものに関しては、つい買いだめしそうになってしまうじゃないですか。それは多くの場合、むだなものも買ってしまいがちなんです。それを注意してやめる。

これから物価高が続きますし、もう一段階物価高があるのだとしたら、早くこの物価高に家計を慣れさせる。あと、長期的には世帯収入のアップというのも試みたほうがいいと思います。

桑子:
視聴者の皆さんからも質問が来ています。

視聴者からの質問
「円の価値はどのぐらいが適切なのか」

石川さん、どうですか。

石川さん:
いろんな計算の仕方があるのですが、皆さん大体1ドル100円から110円くらいだと快適に過ごせる感じがあるので、そういう意味では110円ぐらいまで戻ってくると、皆さんもちょっと落ち着かれるのかなと思います。

桑子:

視聴者からの質問
「まっとうな値上げ・賃上げをするにはどうすればいいか」

これも石川さん、どうですか。

石川さん:
かなり鋭い質問ですね。まっとうな値上げ、賃上げをするためには、よく言われる「生産性を上げていく」ということだと思います。無駄をなくす。あとはお客さんが喜んでくれるような商品を作って、ちゃんと値段を上げていく。よいものを高い値段で売っていくということが大事だと思います。それが賃上げにつながっていくというのが、まっとうな値上げ・賃上げだと思います。

桑子:
ありがとうございました。私たちができるちょっとした知恵はあると思います。私自身、今の家計を見直してみたいなと思っています。


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