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2021年2月24日(水)

急成長!クラウドファンディングの光と影

急成長!クラウドファンディングの光と影

海外に比べ「寄付の文化」が希薄とされてきた日本。しかし、昨年コロナ禍でクラウドファンディング(CF)が件数、額とも急伸した。国の支援に比べスピードが速く、すぐに受け取れるメリットがあり事業者の募集が拡大。支援者側も寄付の使い道が明確で応援したい取り組みにダイレクトに寄付できる仕組みから好評だ。このCFにより倒産をまぬがれた老舗企業や看護師を確保できた医療機関など多様な事業者が恩恵を受け、公助ではない共助の形としてもはや社会に欠かせない存在になりつつある。 一方、問題も起き始めている。銀行の融資よりも審査が緩くなりがちで、寄付されたお金の使い道やお礼の品が全然違う物が届くなど詐欺まがいのケースも現れており、その信頼性をどう高めるかが注目されている。 コロナ禍で伸びたクラウドファンディングは日本の自助、共助、公助のあり方をどう変えていくのか。光と影を深掘りし、日本人の意識の変容も考えていく。

出演者

  • 米良はるかさん (クラウドファンディング運営会社 CEO)
  • 宮田裕章さん (慶應義塾大学教授)
  • 武田真一 (キャスター)

コロナ禍で急成長! クラウドファンディング

都内にある、国内最大手のクラウドファンディング運営会社です。10年前に設立されました。

運営会社とは資金を募りたい企画者と支援者の間に立ち、企画を審査しアドバイスを行う存在。集まった支援金の一部を手数料として受け取り、残りを企画者に振り込みます。

コロナ禍の去年(2020年)、手がけた件数は1万6,000件以上。設立以来1件だけだった1億円超えの企画が、8件に急増しました。

運営会社と組んで去年クラウドファンディングを行った、岐阜県の町工場です。作っているのは日本酒を注ぐ、枡(ます)。大垣市で国内全体の8割が作られている、伝統産業です。

しかし、緊急事態宣言でイベントや結婚式が軒並みキャンセルとなり、売り上げが半減しました。社長の大橋さんは職人技を守るため、雇用調整助成金など補助金を申請しました。しかし、いつ結果が来るかが分からず、不安だったといいます。

枡(ます)メーカー 代表取締役 大橋博行さん
「お金が必要な時期に、それ(支援)が合致しないと会社は回らない。それを待っていて職人に給料が払えないと、悲惨なことになる。やっぱり待っていられない。」

そのとき、若手社員が提案したのが“購入型”クラウドファンディングでした。

クラウドファンディングは、資金を集める方法に種類があります。その1つが購入型。

支援者から資金を募る代わりに、お礼の品やサービスを返すのがルールです。

3,000円支援してくれた人には、妖怪・アマビエの絵が入った枡。10万円の支援者には、なんと大橋さんの出張講演会など知恵を絞ったお礼の品を用意しました。

緊急事態宣言が続いていた4月末、募集をスタートすると…。
伝統技術を絶やしてはいけないという声がSNSで盛り上がり、全国から支援が殺到。1か月半で300万円が集まりました。

公的支援よりも早く、雇用をつなぐ大きな助けになったといいます。

大橋博行さん
「スピード感はすごく感じました。かたや(補助金は)いつ下りるんだろう、通ってないのかなと思っているのに対して、明確に金額が見えてくる。これに対しては一つの安心感があった。」

クラウドファンディングで得られるメリットは、支援金だけではありません。
去年、クラウドファンディングを行ったレストランのオーナー・新見一太さん。自家製のカレー粉をお礼の品に資金を集めたところ、一緒に送られてきたメッセージに強く勇気づけられました。

レストランオーナー 新見一太さん
「(応援メッセージで)『頑張ってね』とか、『絶対お店閉めないでください』とか、そういうメッセージが毎日届く。もう本当にうれしくて。どうなっちゃうかわからない時期だったので、本当に力になった。パワーをもらいました。」

新見さんはコロナ禍で苦しい仲間も巻き込み、この喜びを分かち合いました。

イラストレーター 中根麻利さん
「キーマカレーのパッケージの絵を提供しました。」

企画に誘われたイラストレーターの中根さんです。ポスターなどの仕事が減っている中、新見さんからお礼の品のデザインを依頼されました。中根さんが参加することで、レストランには関係のなかったイラストのファンにも拡散。目標の500万円を上回る支援が集まりました。

中根麻利さん
「『協力するから(無償で)商品作るよ』と言ったらそれが違っていて、『全部(グッズの)売り上げは私のほうに渡すから』と。本当に助かりました。涙が出ましたね。」

さらに、新たな販路も生まれました。SNSで評判を呼んだカレー粉を、土産物店で販売開始。さらには、大企業の社員食堂にも採用されることが決まったのです。

新見一太さん
「夢のようなというか、こんな小さい店でそんな話がくるなんて全く想像もついていなかった話を頂いて、びっくりしています。」

お礼の品を返さない、“寄付型”のクラウドファンディングも増加しています。
30年以上前から、北九州でホームレスの人々を支援するNPO団体。コロナ禍で苦しむ人たちを支えるため、初めてクラウドファンディングを実施しました。

購入型と違い、資金を出してくれた人には商品やサービスのお礼はありません。

それにもかかわらず、全国の1万人以上から総額1億円が寄付。コロナ禍で住まいを失った人に、サポート付きの住宅を150室確保できる見込みです。

ホームレス支援NPO 理事長 奥田知志さん
「これだけの人の気持ちが動いて、これだけの人の気持ちが集まっている、何か新しいことが始まる。コロナ大変だけども、逆にコロナから生み出された新しい地平みたいなものが、かいま見えた。あそこに人の思いが集まる様子を、見ていた人たちも励まされたのでは。」

なぜ今、多くの人が見ず知らずの相手に資金を出すのか。支援者に聞いてみました。

支援者 早乙女響子さん(仮名)
「私も非正規(雇用)で、暮らしに余裕があるわけではない。」

支援をした早乙女さん。コロナ禍をきっかけに、他人の苦しみに思いをはせることが増えたといいます。

早乙女響子さん
「私自身も人に支えられたことがあった。ホームレスの方、困っている方との距離感が以前より縮まったから(支援した)。」

そして、支援した人たちの活躍が励みになるという会社員にも出会いました。

支援者 中山義治さん(仮名・57)
「顔は、身元を知られたくない。何かよいことをするのは、恥ずかしいじゃないですか。」

この男性は、NPOやアーティストなど200件以上に支援。企画の成功が、自分のことのようにうれしいといいます。

中山義治さん
「自分では決して達成できないような夢とか未来とかを、その人を介して自分も実現する一員にしてもらっているイメージです。むしろ感謝されるよりも、一緒に乗せてくれて、ありがとうという感覚が強い。」

クラウドファンディングの先駆者と、急成長の背景を読み解きます。

コロナ禍でなぜ? クラウドファンディング

武田:補助金などが使いにくいという声が上がる中で注目されている、クラウドファンディング。なぜ、ここまで盛り上がっているのか。
まずご覧いただきたいのが、2019年と去年の支援総額を比較したグラフです。日本では2011年から少しずつ浸透してきたのですが、一気に増えたのは去年の緊急事態宣言中、5月から急に増えています。支援額は急増し、前年比、ほぼ4倍に増加しました。その後も2倍前後の伸びが続いていたのですが、去年の年末から年明けにかけては再び相談が増えてきているといいます。

2011年にクラウドファンディングのサービスを日本で初めて立ち上げた、米良さん。コロナ禍で特にクラウドファンディングが一気に増えている、なぜなのでしょうか。

ゲスト米良はるかさん (クラウドファンディング運営会社 代表取締役)

米良さん:私たちのサービスも、大体去年の2月ぐらいからお問い合わせが殺到しました。これは大規模イベントの自粛要請が政府からあったり、あるいは飲食店の自粛だったりが続く一方で、政府の補償という部分に関しては当時はまだどうなるかが分からなかったと。当座のキャッシュフローが非常に大変だという中で、クラウドファンディングという新しい資金調達の手段を見つけていただいて、当面お金を確保して事業を継続しようと思われた方がたくさんいたのかなと思います。

武田:お金と一緒に自分では達成できない夢や未来を託す、ということばがありましたが、宮田さんはこの支援の輪が広がっていることにどんな社会の変化を感じますか。

ゲスト宮田裕章さん (慶應義塾大学 教授)

宮田さん:10年前の東日本大震災のとき、多くの寄付が集まっているんです。危機が訪れたときにどう支え合うかというのは、非常に大きなニーズになります。今回クラウドファンディングというアプローチが登場したことによって、善意をどう届けるのか、あるいは感謝をどう返すのか、伝えるのか。こういったつながりのデザインというものに対する、新しいアプローチが生まれたのだと思います。特に注目すべきなのは速度もですが、多様性のある中で貢献を実感することができる。これも非常に期待できる特徴かなと考えています。

武田:多様性があるということですが、クラウドファンディングといいますと新しい商品を作って、多くの人がそれにお金を出し合って開発するというイメージだったのですが、米良さん、今は在り方も多様になっているんですね。

米良さん:従来からの商品開発に使われるパターンもありますし、あるいは寄付であったりとか支援という文脈の資金調達として使われるケースもあります。どちらもですが、やはり従来の金融機関ではなかなか補えなかったような資金を提供できているかなと思っています。
例えばですが、大学生が何かおもしろいアイデアを持ったとします。ただ、その大学生はまだ信頼や担保がない。それによって金融機関から融資を受けられない。投資もそうですが、やはりお金を増やして返さなければならない。一方でクラウドファンディングの場合は、返済というものはせずに済みます。
そういう意味では新しくてイノベーションが起こるような取り組みに対して、従来の金融手段とは違うやり方でお金を集められているのかなと思います。

武田:宮田さんも去年、コロナ関連のクラウドファンディングに専門家として協力されたということですが、実際にやってみてどんな意義を感じましたか。

宮田さん:これまでの寄付というのは、寄付を行ったときにちょっといい気分になれますが、その後どういうふうに使われたかというのが見えづらかったんですよね。クラウドファンディングはまさにテクノロジーの力を使って、どういったプロジェクトが選ばれ、そのプロセスがどのような過程で運営されていくのか。オンラインでの説明会を行ったりとか透明化されたプロセスの中で、自分たちの貢献というのを実感できるというところが非常にいい特徴だなというふうに感じました。

武田:米良さん、スピードもだいぶ補助金よりも早いですよね。

米良さん:そうですね。最短では1か月とか3週間とか、コロナ禍のときにはそれぐらいのスピード感で資金が手に入れられるといった事例もありました。そこも補助金よりも使いやすいところがあったかなと思います。

武田:さまざまな分野で大きな支援となっているクラウドファンディングですが、一方でトラブルも起き始めています。

クラウドファンディング トラブルをどう防ぐ?

埼玉県に暮らす、野島正美さん(仮名)。去年4月、クラウドファンディングで、あるトラブルを経験しました。

支援者 野島正美さん(仮名)
「これがそのプロジェクトですね。」

当時深刻だったマスク不足を解消するため、絹を使った高品質のマスクを生産するという企画。

野島さんはクラウドファンディングは初心者でしたが、信用して支援したといいます。

野島正美さん
「クラウドファンディングというのは、第三者の目が入って立ち上げているので、そういった意味で安心感というか。」

ところが、2か月後に届いたのは絹を一切使っていない化学繊維のマスクでした。驚いて運営会社のサイトを見ると、4月にはあった絹の表記が消されていたのです。

この企画者が集めた金額は、5,400万円以上。いいマスクを作ろうという趣旨に賛同したのに裏切られたと、支援者は怒りの声を上げています。

野島さんも消費生活センターに相談し返金されましたが、不信感は拭えませんでした。

野島正美さん
「募集ページの内容を書きかえたことが、本当に不信感しかない。きちんとよい企画を立ち上げているものもあると思うけど、そうじゃないものもかなり混ざっているのだろう。」

なぜ、サイトの表記が変わったのか。企画者が取材に応じなかったため、運営会社に尋ねました。理由は、企画者が素材の表記を間違えたというもの。変更点は企画者から支援者に伝える決まりでしたが、それが当初はなされていなかったといいます。

運営会社 取締役 坊垣佳奈さん
「今回そういったことが事実起こったことに関しては、真摯(しんし)に受け止めておりまして。『(訂正の)ご案内を支援者にしてくださいね』と、お約束させて頂いているのですが。」

変更を伝えるというルールが徹底されなかったことを謝罪したいと語る、運営会社。その一方で、新商品の開発プロジェクトなど、クラウドファンディングは変更や中止のリスクが避けられないといいます。

坊垣佳奈さん
「『新しいものを生み出す土壌作り』という役割を負っている以上、リスクを100%免れることが難しい。リスクもあって、でもこういうチャレンジを応援しているんだよね、啓もうというか。支援者さんにもご理解頂きたい部分ではある。」

急速に増えるクラウドファンディング。ネットの商取引に詳しい弁護士は、支援金の使い込みなど悪質なケースの相談も出始めているといいます。

日本橋東京法律事務所 弁護士 木村康紀さん
「1万円のクラウドファンディングに対して、リターンがなかった時にそれだけの金額のために訴訟をするのか。そういうことを考えると、必ずしも割に合わないので、やったもん勝ちになる面はありますね。」

トラブルを減らし安心して支援をしてもらうため、運営会社は企画のアドバイスと審査を行っています。

この日打ち合わせに来たのは、オンラインの音楽ライブを企画する学生団体。実現性や支援金の使い道について、話し合ってきました。

企画を立ち上げたい大学生
「(有名歌手が)気候変動を訴えるライブエイドのようなものがあったら、『僕もぜひ出演したい』とおっしゃていて。じゃあ私たちでそういったことやってみない。」

学生たちは、集まった金額によってライブの内容を変えるのはどうかと考えていました。

高校生
「前半でどこまで集まったかで、オンラインのコンテンツが増える。支援する側も、4月24日のライブをよくするという気持ちでわかりやすい。」

しかし運営会社は、目標をきちんと定めたほうが信頼性が高まり、支援も多く集まるとアドバイスをしました。

運営会社
「集まったお金によってできることが変わってくるというところは、かなり不確実性の高いこと。言っていたことがコロコロ変わってしまうとか、集まらなかったらやりませんだと、信頼を欠いてしまうことになる。」

こうした打ち合わせを平均4回実施し、専門チームによる審査も行います。
支援者が安心して応援できる仕組み作りが急がれています。

運営会社 執行役員 草原敦夫さん
「お金を託す支援者の思いもあるわけですし、そこの審査は厳格にやるべき。」

クラウドファンディング 今後の課題

武田:宮田さんはこうしたトラブルが起きる背景、どうご覧になっていますか。

宮田さん:一口にクラウドファンディングといっても、いくつかの種類があります。例えば、商品を企画して一緒に手に入れようというもの。この場合は、やはり最初の説明がとても大切です。一方で、“志”を応援するという場合は過程が大切です。われわれはプロジェクト・支援に参加するときに、運営会社がそういったプロジェクトをどういう形でマネジメントして信頼に応えているか。こういったことを、ホームページなどから判断して参加するということが必要になるかなと考えています。

武田:こうしたトラブル、国民生活センターによりますと、去年は200件以上の相談が寄せられて注意喚起も行っているということです。先ほどお伝えしたトラブルは米良さんの会社とは別の運営会社で起きた事例なのですが、どういう場合にこうしたトラブルは起きやすいのでしょうか。

米良さん:クラウドファンディングの場合は、一つ一つのプロジェクトに目標金額とそのお金を使って何をするかということを記載いただきます。その内容が大幅にずれると、支援者の方々は自分のお金がどういうふうに使われたの?というふうになってしまいます。ですので、しっかりと実現性の部分をきちっと書くということと、新着情報・ブログのような機能をわれわれは持っているのですが、そこでプロジェクトの進行状況を随時共有いただく。それによって、支援者の方が安心してしっかり最後まで支援をしたいと思っていただけるかなと思います。その点については弊社もしっかりと努めております。

武田:取材した弁護士の木村さんも被害者が少なからずいるという現状を踏まえて、『運営会社には審査の厳格化と支援者の救済制度の充実を求めたい』というふうに語っています。

米良さんの運営会社では、審査というのはどういうふうにされているのでしょうか

米良さん:弊社の審査のステップになります。
まずは、申請内容が公序良俗に反した企画ではないかということを確認させていただきます。
そして、カテゴリーだったりジャンルの専門家の担当者がついて、何度も打ち合わせやアドバイスをさせていただきます。その中で、実際にお金を使って何をするのかというところを詰めていきます。
最終的には弁護士も含めた審査チームがジャッジをさせていただきまして、そのお金を使ってきちっと実現ができるか。この点については、シビアに判断させていただいています。

武田:“実現可能性”を最終的には判断すると。トラブルがあった場合はどう対応されているのでしょうか。

米良さん:トラブルがあった場合、例えばですが実現というところが頓挫してしまった場合、それに関しては弊社が仲介させていただいて、返金作業というのをさせていただく形にしています。

武田:宮田さん、いかがですか。

宮田さん:投資の場合はお金を増やすということなんですが、投資と違ってクラウドファンディングの場合は“志”に応えると。何らかの社会的な価値を実現するということが重要になってきます。経済合理性だけでなくて命とか環境とか、いろいろ大切なものがあるという実感がクラウドファンディングの拡大につながってきていると思います。こういった信頼に応えるため、米良さんたちは一体どういった取り組みをしているのか教えてください。

米良さん:一つ一つのプロジェクトというのは非常にイノベーティブで、新しい思いのある挑戦ばかりです。なので、しっかりと過程・プロセスを支援者の方々に共有していくということが大事です。
過去われわれがやらせていただいたプロジェクトで、海外で学校を造りましょうというプロジェクトがありました。そのプロジェクトは無事学校はできて、1年ぐらいやって運営をしたのですが、残念ながらそのあとに頓挫してしまった。そういったことがあったのですが、学校を作っていこうという過程を新着情報で更新をしていったことによって、支援者の方々大変だったけどよくやったと。応援してよかった、という声をたくさんいただきました。
プロセスをしっかりと共有する。これが本当に大切なことかなというふうに考えています。

武田:夢や希望を実現する、何か乗り物のようなものに一緒に乗せてもらったというふうにおっしゃってた方がいましたね。そういう実感を参加者が持てるかどうか、そこにかかってるということでしょうか。

米良さん:そうですね。なので私たちもプラットホームを運営する運営会社として、コロナ禍でたくさんの支援者が増えましたので、そういった方々の信頼を毀損しないようにきちっと審査もしますし、そして多くの方々に信頼されるようにコミュニケーションを続けていきたいなと思います。

武田:宮田さん、こうして広がっている支援の輪が一つの文化としてしっかり根づいていくためには、これから何が必要だとお考えですか。

宮田さん:困った人を支えたい、あるいは共同して問題を解決したい。これは、われわれが社会を創ってきたときからずっと共通してきた課題です。
そのときクラウドファンディングというものが選択肢として使えることによって、多様性のある人々の困難に応えたり、あるいはプロセスを透明化することによって信頼を作っていく。こういった新しい手段を手に入れたと考えています。まさに民主主義がより一歩進むための新しいアプローチに、クラウドファンディングというのが成り得る可能性がある。こういったアプローチをわれわれみんなで支えて育てていくということが、豊かな社会につながるのかなというふうに思いました。

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