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2019年10月30日(水)

長引くひきこもりの陰で~見過ごされる中高年の発達障害~

長引くひきこもりの陰で~見過ごされる中高年の発達障害~

これまで1年以上にわたって、ひきこもりについて取材を続けてきたクロ現+取材班。そのなかで、当事者やその家族から数多く意見が寄せられたのが、ひきこもりと発達障害の関係だ。「小さいころのいじめがきっかけでひきこもりになった。30代で発達障害とわかったが、つまずいた原因がもっと早くわかっていれば、ここまで人間関係に悩まなかったのでは」。「家族が精神科の受診に拒否感を示し、診断が受けられなかった」。調べてみると、ひきこもり=すべての人が発達障害ということではないものの、以前から医療関係者や支援の現場ではこの関係性について指摘されていたことがわかった。また、発達障害が見過ごされたまま、ひきこもりが長期化し、合併症などで苦しむケースや、間違った対応で、より事態が深刻化してしまうケースも。当事者の声をきっかけに、医療、支援現場の実態を取材した。

出演者

  • 石井光太さん (ノンフィクション作家)
  • 宮田裕章さん (慶應義塾大学 教授)
  • 内山登紀夫さん (医学博士 大正大学心理社会学部 教授)
  • NHK記者
  • 武田真一 (キャスター) 、 高山哲哉 (アナウンサー)

ひきこもりのかげで 見過ごされる発達障害

私たちは、メールをくれた男性を訪ねました。
大学卒業後、長く続いた、ひきこもり生活の中で苦しんできたと言います。発達障害だと診断されたのは、26歳の時。臨機応変な対応が苦手で、1つのことに集中すると、他のことが見えなくなってしまう特性があります。

平澤さん(仮名)
「自分の場合(物を)しまうと、そこには何もない、となって、いざ水筒を箱にしまうと、水筒自体が“存在しない物”になってしまう。自分の頭の中では。」

取材班
「目に見えるところに置いておかないといけない?」

平澤さん(仮名)
「だからちょっとバラバラであれですけど。この黒いスーツ姿が私です。」

国立大学で経済を学んだ平澤さんは、就職活動に失敗。卒業後は、食品工場でアルバイトを始めます。しかし、複数の作業を同時にこなすことができず、わずか半年で退社。当時は、それが発達障害によるものだとは気付かず、自信喪失から、うつ状態に。これが、ひきこもりのきっかけでした。

平澤さん(仮名)
「とにかく作業のやり方とか、段取りとか、本当に一発で覚えられないんで、やり方がわからないでいても、『そんなの自分で考えろ』とか『なんで覚えられないんだ』と、逆になじられるんで、もう本当に食事ものどを通らないという状態になってしまいました。」

ひきこもりは「甘え」? 周囲の厳しい目

発達障害の診断が遅れ、ひきこもりが長期化するケースも出ています。
以前、番組に出演してくれた男性です。中学時代のいじめがきっかけで、20年以上ひきこもりが続いています。

小崎悠哉さん
「父親はやっぱり、働け働けしか言わない。働くのが当たり前だって。」

現在も、病院と近所のコンビニ以外は、基本的に外出することができません。
発達障害があると診断されたのは、ひきこもってから十数年以上もたってからでした。こだわりが強く、相手の気持ちを推し量って人間関係を築くことが苦手です。

小崎悠哉さん
「幼稚園時代から、仲間はずれにされることは多かったです。なんで、みんなのように、うまくできないのかなというのはあります。」

いじめられた恐怖から不眠になり、みずから精神科を受診しようとしますが、思わぬ壁が。

小崎悠哉さん
「精神科に行くことを反対しました、両親は。そんな恥ずかしいこと、近所を歩けなくなるって。」

30歳を過ぎて、ようやく両親を説得。自宅から遠く離れた精神科を受診します。そのとき初めて、自身の発達障害について知ることができたといいます。ところが、ひきこもり生活が長くなる中で、発達障害以外にも、さまざまな体の不調を抱えるようになっていました。

小崎悠哉さん
「(食事が)食べられなくなって、1か月間入院した。精神科に。」

常用している睡眠導入剤や抗うつ剤です。不安になると、今でも眠れなくなることがあるといい、手放せません。最近では、物がうまく飲み込めなくなる、えん下障害も併発し、体重は一時30kgも減りました。

取材班
「小さい頃から発達障害とわかっていたら、どうなっていたと思いますか?」
小崎悠哉さん
「ひきこもらなかったと思う。こういう特性があるから、人とうまくできないのを理解して、ちゃんと話せるように頑張れたんじゃないかと思います。」

ひきこもりのかげで 見過ごされる発達障害

ひきこもりの深刻化を防ぐには、家族の理解が欠かせないと指摘する専門家がいます。

「たぶん(息子は)話さない。」

「いやいやお母さん、『たぶん話さない』は、お母さんの考え。とりあえず声かけてみて。」

元精神科看護師の山根さん。
ひきこもりの当事者と親を支援するNPOを主催。これまで1700件以上の相談に乗ってきました。

山根さんの家族会に、5年間通っている70代の母親です。ここで、他の家族の話を聞いたことで息子の発達障害に気づき、診断につなげることができたといいます。

山口大学大学院 教授 山根俊恵さん
「診断がついてからどうでした?」

母親(70代)
「診断がついてから、私はすごく気持ちが楽になりました。ああそうだったから、できなかったんだと。」

その後、母親は家族会で、経験者などから発達障害の特性や接し方を根気強く学び、部屋から出てこない息子とコミュニケーションを続けました。

母親(70代)
「学校は行くのが当たり前みたいな、私の考えだったので、『なんで学校に行かれないの』って感じで、すごい責めましたし、引っ張り出して、タクシーに乗せて、パッと連れて行ったこともあるんです。それは全然マイナスなことだったと、勉強していくうちにわかった。」

山口大学大学院 教授 山根俊恵さん
「よかれと思って、親だからこそ言って聞かせなきゃと、一生懸命なだけ。その一生懸命さが、本人を苦しめていると、まず気付いてもらわないと。そこが、“目に見えない障害”の理解の難しさというのはあると思います。」

48歳の息子は、20年のひきこもり期間を経て、去年、医療サービスを行う会社に就職することができました。

山口大学大学院 教授 山根俊恵さん
「今は、一般就労1年目じゃないですか。どんな様子ですか?」

母親(70代)
「そんなに嫌がらないし、朝も5時に起きてお弁当を自分で作って、電車に乗って行くので、それは私も安心かなと。」

ひきこもり×発達障害 なぜ見過ごされるのか

武田:取材した管野さん。ひきこもりの長期化、深刻化の裏に発達障害という原因があるという実態。どのくらい把握されてるんでしょうか。

管野記者:もちろん発達障害があるからといって、すべての人がひきこもりになるというわけではありません。実際に115万人ともいわれている、ひきこもりの人たちすべてを調査したものはないので、正確な数字は分からないんですが、過去には2007年から2009年にかけて、全国5つの精神保健福祉センターに、ひきこもりの相談で訪れた148人のうち、およそ3割が発達障害と診断されたという調査結果も出ています。

調査に参加した宮崎大学の境准教授は、この結果について、当時は大変驚いたと話していました。ただ取材をしていく中で、発達障害の特性が理解されなかったことによって、仕事や人間関係でつまずいたり、失敗を繰り返したりするなど、ひきこもりと発達障害には大きな関係があるということを強く感じました。特に、大人でひきこもっている人の場合、発達障害が見逃されてきた結果、先ほどの小崎さんのように、長期化、深刻化するケースが多いということにも強い危機感を覚えました。

武田:そして発達障害とひきこもりの関係、大人の発達障害にも詳しい内山さんにもお伺いしますが、ひきこもりの人の中でも、発達障害が見過ごされてしまう要因として、内山さんはこんなポイントを挙げていらっしゃいます。この3点なんですけど、それぞれどういうことなんでしょうか。

ゲスト 内山登紀夫さん(医学博士 大正大学心理社会学部 教授)

内山さん:発達障害はもともと子どもの障害から始まっているので、子どものときの診断の方法は、ある程度確立されています。ただ、大人に関しては、最近、話題になってきたわけで、まだ診断の方法が確立していないと。特に発達障害の場合、子どものときから症状があるのがポイントになるわけですけど、子どものときの症状を知る方法がない場合もありますよね。そういう場合、情報が少なくて診断が難しいということがあります。
もう1点は、大人になるといろんな不安障害とか、うつ状態とか、いわゆる精神科的な合併症を併合している可能性が高いんです。その場合、例えば精神科に行って、うつ状態や不安障害、そういう診断を受けるんですけど、その背景にある発達障害が見逃されやすい、見えにくいということがあります。
あともう1点は、過剰診断・過少診断という言い方をよくするんですけど、精神科医によっては、わりと安易に診断する方もいらっしゃるし、あと、立場によっては、俺は発達障害という概念はあまり使わないんだと、ほかの視点で診ていくんだ、という立場の先生もいらっしゃるので。

武田:ちゃんとした基準がないということなんですか。

内山さん:そうなんです。発達障害の場合は、脳波とか画像診断とかで分かるわけではないので、基本的には本人の今の状態から見ていくんですね。きちんとしたスタンダードがなかなか持ちにくいと。そういう事情があります。

武田:VTRにもあったように、少しでも早く診断してもらえれば、という患者さんの声もありましたよね。

内山さん:本人が困っているときは、その背景に発達障害があれば、その特性をちゃんと理解して、それを早くサポートすると、やりようがあるので、そこを見逃されることなく、早めに診断した方がいい人はたくさんいらっしゃると思います。

ひきこもり×発達障害 診断が転機に

武田:その発達障害という診断を受けたことによって、生きづらさが変わったという、ひきこもりの当事者のケースを見てみたいと思います。

番組に、ひきこもりと発達障害の関連性について調べてほしいと訴えた平澤さん。26歳のときに、発達障害の診断を受けたことが大きな転機になったといいます。

取材班
「『発達障害ですよ』と医者に言われたときは、どう思った?」

平澤さん(仮名)
「自分は普通とは違うんだなというふうに、まずは思いました。じゃあ、普通とは違うんなら、どうしたらいいんだろうということで、精神障害者が受けられる行政とか、福祉サービスとか、そういうことを知りまして、自分はこういうのを積極的に利用しようと思いました。」

その後、職業訓練などのサービスを受け、ひきこもりの生活は徐々に変わっていきました。
そして、5年前に障害者雇用枠で正社員として就職。今は、商品のトイレットペーパーの品質管理を任されています。強度を測るため原料の紙の幅をそろえます。

平澤さん(仮名)
「ほぼ2.5センチ。」

平澤さんの場合、誤差は常に1mm以内です。

こちらは、トイレットペーパーがほぐれるまでの時間を計るテスト。

平澤さん(仮名)
「はい、ここ。」

人一倍、正確さにこだわりを持つ特性を生かし、わずかな時間の差も見過ごしません。

総務部人事課 清水絹代さん
「少しの数字の違いがあったら、すぐに報告がくる。その報告によって、現場が対応できるという、ありがたい話ですね。」

取材班
「会社としては戦力ですか?」

総務部人事課 清水絹代さん
「即戦力ですね。」

就職に失敗して、ひきこもりが始まった平澤さんですが、この工場では、週5日の勤務を5年間も続けています。

平澤さん(仮名)
「周りの人が思って下さっているので、自分も必要とされている。自分も応えなきゃいけない。そういうふうな心境に変わってきました。」

ひきこもり×発達障害 結婚が転機に

大学時代、環境になじめず10年近くひきこもった経験を持つ、宇樹(そらき)さんです。

宇樹義子さん
「麦を量って、ご飯に混ぜるんです。」

取材班
「ぴったり30グラム?」

宇樹義子さん
「ぴったり30グラムです。31グラムまでだったら許す。」

発達障害と判明したのは、30代で結婚した後のことでした。診断が出た後も、特性を理解しきれない夫と衝突し、3回も離婚の危機に。しかし、それを乗り越え、夫婦で作り上げたのが…。

宇樹義子さん
「お互いの取扱説明書というか、そういうものを頭の中に持っておくといいのかなと思います。」

トリセツ1。
視覚過敏がある宇樹さんは、明るすぎると極度に疲れてしまうため、2人でいるときも部屋の電気は暗めにしています。

宇樹義子さん
「『暗い、暗い』って言いながら、我慢してくれています。」

トリセツ2。
大嫌いな外出は、夫が事前に詳細をリサーチ。それによって、外に出る機会も増えました。

宇樹義子さん
「見通しが立つと不安が軽減するし、体調が不安定になりがちなので、前もって条件を教えてもらえれば、それなりの対策ができる。」

宇樹さんは、発達障害とひきこもりの体験を本にして出版。ひきこもりのライターとして、女性ならではの本音や結婚生活の悩みなどを、ウェブ上で発信。共感を集めています。

宇樹義子さん
「私は放っておくと、1週間家を出ないことがあるんですけど、それでも、いわゆる社会参加はしていますし、元気だし、幸せとか健康とか、正しいこと、正解、まともなんていうのは、本人にしか決められないし、決めることにあんまり意味が無い。」

ひきこもり×発達障害 家族は 周囲は

武田:発達障害という診断を受けることによって、社会とつながりを持てる方法を見つけることができるということですけれども、やはり周りの人たち、とりわけ家族がどう関わっていくか。これ、考えていかないといけないことですね。

高山:当事者の皆さんから番組にお寄せいただいたメッセージの中にも、そういったところがにじんでいるんです。

まず、30代女性。

“発達障害と分かったが、理解ができない親は障害と聞かされ、激しく怒った。”

それから、自閉症の傾向を自覚されているという40代の男性です。

“年齢がここまでくると手遅れ感が否めず、もんもんとする日々を送っている。”

皆さん、もっと早く家族の理解が得られたら早期の診断につながったのに、とおっしゃる声が少なくなかったんです。

武田:石井さん、ただ家族は本当にいっぱいいっぱいだと思うんですよね。これまでの取材で、どんな実態をご覧になりましたか?

ゲスト 石井光太さん(ノンフィクション作家)

石井さん:本当に、本人が引きこもっている方々が家族に理解してもらいたいという気持ちは分かります。ただ、家族の立場からすると、それって本当に簡単なことなのかなというところがあるんですね。やはりテレビとかも含めて、メディアとかはこういう問題を取り上げるときに、家族が理解しようよ、理解すれば楽になるんだと強調しますけど、実際、相当難しい部分がある。例えば今回、VTRに出た方々というのは、どちらかというと、おとなしい方だったと思うんですけども、ひきこもっている方々の中には、それこそ家庭内暴力をしてしまうだとか、精神疾患、病んでいる方とかたくさんいます。例えば、僕の知っている方ですと、学校の先生をやっていて、40年間ひきこもった経験のある子どもをずっと面倒見てきた。その子というのは、いろんなことを1日の中で要求してきて求めてくる。全部応えてあげた。定年退職するんですけど、それでも、ずっと助けるんですが、暴れたりすることを抑えられないで、最終的にその子どもをあやめてしまうという事件を起こしてしまうんです。僕は、その先生というのは本当に発達障害のことを理解しているし、SOSを求める先、というのも知っている。すごく知識のある方なんです。それでも、そこまで追い詰めてしまうという現実があるんですよね。そういったようなことがあるにもかかわらず、やはり、一歩下がったところから、家族だから理解してくれよということは、すごく酷だと思うんです。もちろん、そういう方っていうのはあると思うんですが、ただ、今みたいな例に関しては社会として、隣人として、その本人もそうなんですが、困っている家族に寄り添うことが非常に重要になると思っています。

武田:内山さん、印象的な症例があるそうでしたが、どんなことでしたか。

内山さん:家族も、本人のことをなかなか理解しづらいので、特性を知らないと、これぐらい普通のことだからいいだろうと接するんですね。例えば、聴覚過敏のある方がいて、お父さんもお母さんも普通の音声で話しているんですけど、それが本当につらいと。でも、過敏ということを知らないと、これぐらい我慢できるじゃんという話で、うちの子はわがままだと訴えるんですが、一見わがままに見えるけど、特性からして、本人もつらいんで、例えばトーンを少し下げるだけで、だいぶ家族関係が楽になると。そういうこともあります。

武田:つまり、家族に対しても、発達障害の知識や対応のしかたというものを教えていかないといけないし、サポートも必要だということですね。

高山:周囲がどのように接すればいいのか、SPELLというアプローチ、考え方があるんです。

それぞれの頭文字ですが、「予測可能であるようにする」「否定することなく不安を取り除く」「苦しみに共感して行動する」「音・光・匂いに過敏な人になるべく刺激を避ける環境を用意」それから、「つながりを大事にする」。

武田:すべて共通するのが、当事者の立場に立つということに感じるんですが。

内山:これは特に、重症スペクトラムの方が不可能だと、非常に不安になるとか、あるいは大きな音がとてもつらいという状況があるわけですね。本人にもアプローチが必要なんですけど、同時にご家族にも共感的に肯定的に接すると。どっちかというと、家族は非難されることが多いので。僕は、本人もご家族も同じように接していく。同じようにサポートしていく必要があると思います。

武田:宮田さん、社会全体としては、ひきこもりで発達障害という2つの苦しみを抱える人たち、どう向き合っていけばいいでしょう。

ゲスト 宮田裕章さん(慶應義塾大学 教授)

宮田さん:医学的な治療や制度的な支援を行う仕組みの都合上、われわれ専門家は障害という定義をよく用いるんですが、発達障害を個性であると捉える視点もあります。障害という枠に入らない人も、こだわりが強いということ、物事に集中しやすい、片づけができない、決まりごとにこだわる。一人一人、個性がありますよね。このときに、発達障害を持つ人の個性を踏まえて、生きづらさを解消する社会を作っていくことが、すべての人が生きやすい社会につながる重要な取り組みだと思います。
一方で、個別対応を行っているということは、社会にとってのコストになり、それでは社会が回らない。こういう批判というのは古くからあるんですが、今、経済や社会の本流が普通だったり、あるいはマジョリティー、これだけを見るのではなくて、一人一人を軸に個別化する時代が、もうすでに到来しています。こうしたビジョンが変化する今だからこそ、普通から外れる、あるいはマイノリティーに属する人たちの価値観を巻き込んで、社会を作っていくことは必要ですし、もうすでに社会は変わり始めています。コンテンツ産業や医療も個別化の時代というのを迎えていて、理想論ではなく、現実の中で取り組みをすべき問題かなと思います。

武田:今までどっちかっていうと、なるべくボリュームが多い人たちに向けて投資をするとか、そういうことが主流だったんですけど、発達障害やひきこもりという方も含めて、個別の一人一人をサポートする方向に社会が動いているんですね。

宮田さん:一人一人の価値を捉えて、それに当てていく価値を作っていく。これが、すでに社会を動かしていますし、経済も動いているということです。

武田:管野さん、ひきこもりと発達障害、2つの悩みを抱えている方はどこに相談に行けばいいでしょうか。

管野記者:各都道府県や政令指定都市には、ひきこもり地域支援センターや発達障害者支援センターが設置されています。今のところは、そこに相談をしたり、家族会や支援団体を紹介してもらったりという方法があります。

また、医療機関の中には、発達障害のひきこもりの人を専門に診てくれるところもあるんですが、まだまだ数が少ないのが現状です。どう充実させていくのかが、今後の課題となっています。

武田:これから、さらに、それは充実させていかなければならないと。
今回番組にご意見を送ってくださった当事者の皆様、本当にありがとうございました。最後に、みずからの発達障害を知ることで、自分なりのゴールを見つけていった人たちの声をお聞きいただきます。

ひきこもり×発達障害 それぞれのゴール

発達障害バー マスター 光武克さん(35)
「ここには、元ひきこもりの方もいらっしゃいますし、やっぱり、ちょっと近い方の話を聞けるというのが大きいんだろうなと思うんですよね。」

スタッフ 飯田亮太さん(32)
「やっぱり家族とか友達とかにはうまく話せない、本当に言葉にできないけれども、ここに来たら似たような経験した人とか、似たような考えの人がいっぱいいて、ここだったらすごい、じょう舌になる。ずっと抱えていた孤独感を埋めてもらったので。」

常連客(大学4年生)タカコさん(仮名・22)
「できないことは誰かに頼ればいいんだよ、みたいなことをおっしゃっていただいて。自分の中ですごい、ふに落ちて。すごい、なんか、ほっとして家に帰るみたいなときがあるので。」

発達障害バー マスター 光武克さん(35)
「例えば、ちょっと嫌なことがあったとしても、仕事帰りにたまには飲んでいくかと。そういうフラットな気軽な気持ちで立ち寄っていただけるぐらいの、ストレスを発散させることができて、その結果、それが社会全体にプラスの方向に働くんじゃないかな。」



桂木大輝さん(24)
「ゴールって人それぞれでいいと思うんですよ。社会のひきこもりに対する答えは、会社で仕事をすることなのかもしれないけど、それは社会側が勝手に作った答えであって、人それぞれ答えは違ってもいい。」

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