富岡製糸場が世界遺産登録に決まって以来、日本各地では、産業遺産や物づくりの現場を観光資源として活用する”産業観光”の動きが加速している。国も歴史的に意義ある産業施設1115か所「近代化産業遺産」として認定し、地域再生の起爆剤として期待を寄せる。中でも注目されるのが鉱山の町・秋田県小坂町だ。企業と自治体が協力し、全盛期の施設や鉱山鉄道を産業遺産として保存。地場産業の歴史を伝えるツアーを始めたところ話題をよび、観光客はピーク時で年間10万人にまで増加。さらに金や銅の製錬技術を活かして始めた「レアメタル」のリサイクル工場もツアーに組み込むことで、独自の産業観光を生み出そうとしている。一方、化学コンビナートを産業観光の柱にすえる三重県四日市では、公害という負の歴史も含めて後生に伝えることで新たな産業都市を目指す模索が始まっている。産業資源をどう活かし地域を再生していくべきか、産業観光の可能性と課題を探る。
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