今、安価に入居できる介護施設や高齢者用住宅の慢性的な不足から、都市の高齢者が地方で介護を受ける状況が増えている。特養の待機者が2千人に迫る杉並区では、静岡県の南伊豆町に保養型特養の建設を計画。厚労省でも都市部の高齢化対策として遠隔地介護に取り組み始めている。しかし受け入れる地方は、雇用の創出や消費の拡大といった経済的効果を歓迎する一方で、介護保険財政の悪化や貧困ビジネスの温床にならないかなど、懸念を深めている。さらに、不慣れな土地でお年寄りが健康を害する“リロケーションダメージ”の問題も表面化している。老いても安心して暮らせる枠組みはどうしたら構築できるのか。都会の空き家などを利用して高齢者支援を行うNPOの実験的な取り組みや地方移住の具体例から、その方策を考える。
みんなのコメント