一人で立てなかった高齢者が幼児の手を引いて階段を登った。家事をしなくなった80代女性が身体障害者の食事介助を始めた。今、高齢者の失われた力を呼び戻すとして注目を集めているのが、高齢者、子ども、障害者などを幅広く受け入れて一緒にケアする”共生型介護”だ。既存の施設ではサービスの受け手でしかなかった高齢者が「子どもの世話」、「障害者の介助」など「役割」を得ることが、驚異の回復の鍵だとみられている。しかし、これまで高齢者や障害者を別々にケアしてきた国や多くの自治体では、”共生型”は積極的には支援していない。縦割り行政の壁を前に、開設を断念するケースも少なくないという。”共生型介護”は広がるのか、その可能性と課題を探る。
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