今、全国の自治体で、公共工事の入札に建設業者が集まらない異常な事態が起きている。小学校の耐震化や橋梁の補強など、一刻も早く必要な工事の入札に業者が応募せず、工期に大きな遅れが出ている。名古屋市ではこうした”入札・不成立”が3年前まで年間数件だったが、昨年度は339件に上った。背景には、脱談合の流れの中、工事を割り振る調整役がいなくなった現実がある。かつては利幅の多い「おいしい仕事」と、「おいしくない仕事」を”抱き合わせ”で落札するのが暗黙の了解だったが、調整役がいなくなった今、利幅の薄い仕事には誰も手を出さなくなった。一方、行政にも問題がある。長い間、業者間の調整の上にあぐらをかいてきた結果、理にかなった「見積もり」をする能力が低下しているという。脱談合を契機に噴出した”入札不成立”の背景に迫る。
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