『谷川俊太郎の詩と旅する ことのはワンダーランド』 (全10回)
言葉は種子。いにしえからの大地に眠る。僕は言葉探しの旅に出る
【NHK FM】
2021年3月1日(月)~3月5日(金) 午後9時15分~午後9時30分(1-5回)
2021年3月8日(月)~3月12日(金) 午後9時15分~午後9時30分(6-10回)
演出の小見山です。幼い空子(からこ)を演じていただく上田桃子さん。
上田さんの声は何とも魅力的です。愛らしく、のびやかなその声に、心癒されます。
ですが、前回出演してもらった「河童の記憶」では、嘘や悪口が正直や正義以上の価値を持つという“河童の世界”に君臨する、〈モンスター・ガラッパタイガ〉を演じてもらいました。つまり、すごい悪い奴です。姿は赤ん坊なのに、この世で最も邪悪な存在です。上田さんは、ガラッパを、可愛らしく、おぞましく、見事に演じてくれました。
今回、上田さんに「わかんない」という曲を歌ってもらいますが、作曲の谷川賢作さんが、彼女の歌をパーフェクト、素敵!と絶賛していました。是非、お聴きください。
小学生の時に読んだ「はだか」という谷川俊太郎さんの詩集が衝撃的で、それがわたしの詩集デビューとなりました。今回、谷川さんの詩を前にして、改めてその言葉の力強さ、揺るぎなさに圧倒されました。
そして、その言葉を繋ぎ合わせ、樋口ミユさんが描かれた物語は、心の深いところに優しく染み渡る様でした。
今この物語を必要としている方がたくさんいるんじゃないかと思います。
大人になって、こんな素敵な作品に参加させてもらったんだよ、と
小学生のわたしに教えてあげたいです。(笑) (上田桃子)
『谷川俊太郎の詩と旅する ことのはワンダーランド』 (全10回)
【出演者】木津誠之 池田将 谷川清美 上田桃子 金井良信 日下由美
玉置祐也 和田慶史朗 高橋理恵子 久井正樹 まどか 八幡みゆき
大浦千佳 中田翔真
【作】樋口ミユ 【音楽】谷川賢作 【詩】谷川俊太郎
【あらすじ】
主人公の少年が言葉を見つける旅に出る。そこで出会った言葉は傷ついた少年の心を癒し、励まし、時に突き放す。
谷川俊太郎の詩にめぐりあった13歳の少年は、世界を救いたいと心に誓う。少年は、丘の上に立つ古い洋館で、古いトランクを持つお婆さんと出会う。
トランクから「言葉」が零れ出る。お婆さんは「ここは生きにくさを感じている子供たちの孤児院だ」と言った。
トランクを開け、少年が覗くと、そこには、お婆さんの面影の残る少女が見えた。破壊された町。1945年。父ちゃんは戦争に行けなかった。身体が弱くて兵隊にはなれなかったのだ。周りの人たちから「ヒコクミン」と言われた。父ちゃんは「詩」を書いた。トランクの中には言葉があった。
父ちゃんは言った。「明日、目を覚まさなくても泣くことはない。きっと新しい何かが始まるから」。翌日、父ちゃんは目を覚まさなかった。
「あたしだけが知っている。父ちゃんが世界を救ったって」。
お婆さんが言葉を折る。それは紙飛行機となって青空に飛んでいった。
投稿者:スタッフ | 投稿時間:12:19 | カテゴリ:オーディオドラマ