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★こちらのページは2022年2月で更新を終了いたしました。

『また、桜の国で』収録リポート その6

ご好評を頂戴している「聴き逃し」配信は、放送翌日の正午から一週間です。

 

オーディオドラマ担当のFです。『また、桜の国で』第二週の放送が終わりました。

今回は、レイ役の中川晃教さんのことを中心に少々。いわゆる「ネタバレ」には留意しますので、「聴き逃し」組の方や原作未読の方もご安心下さい。

 

主演の井上芳雄さんと中川晃教さんは、まさに日本ミュージカル界を牽引する存在なわけですが、台詞劇においても卓越した力と個性をお持ちです。そのお二方が、コンサートでも対談でもなく、あるいはコントでもなく、シリアスな作品で演技を交わすのは、『また、桜の国で』の現場が初めてのことだったそうです。

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番組の企画が動き出した際、棚倉慎役は井上芳雄さんをおいて他には考えられない…と思った経緯は、最初のリポートで触れました。では、どなたにレイ役をお願いするか。アメリカ人記者レイモンド・パーカーは、少し癖のある登場の仕方で場を掻き回すトリックスターであり、物語のキーパーソンです。

 

中川晃教さんは、過去作の『髑髏城の花嫁』での青年伯爵の鮮烈な造形や、『1492年のマリア』の新大陸への情熱に駆られる主人公を想起しても、またNHKオーディオドラマに初参加の井上芳雄さんとタッグを組む“相棒”としても、願ってもない適任者でした。

 

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【中川晃教さんコメント】

8月。真実を伝えることを信念としている、記者レイモンド・パーカー役を通して今の日本を考える。時代はいつも過ちを繰り返しながらも、それでも次の時代へと向かおうとする人たちがいる。全ては繰り返しなのかもしれない。しかし、平和のために。

ショパンの「革命」、異国の地ポーランドワルシャワを舞台に、オーディオドラマだからこそ描き出せる壮大なドラマに、僕自身も感動を覚えながら、やらせていただきました。

ぜひたくさんの方に聴いて頂けたら幸いです。

 

シリアスな役でもコミカルな役でも「この役は、中川さんにしかできないのではないか」と思わせてしまう存在です。もともとシンガーソングライターの中川さん、歌唱はもちろんのことですが、台詞にも独特のリズムがあって、それが役柄や場面によって自在に変化するので、いつのまにかペースに引き込まれてしまう不思議な説得力の持ち主です。

 

これまで何度かご出演いただいて、事前に緻密に考えて役作りなさる方だという印象を持っているのですが、いざ収録現場で飛び出してくるお芝居には、想定を超えるひらめきと切実さのようなものが同居していて、その声から登場人物の存在そのものが立ち上って来るのです。きっと普段の自然体な中川さんの中に、しっかりとした核のようなものがあって、それがさまざまな顕現の仕方をするのでしょう。

 

中川さんは、収録二日目からのご参加だったのですが、初日に井上さんを中心に組み上がっていたテンポ感とは、よい意味で、まったく異なるリズム感を持ち込んで下さいました。ドラマの中のレイさながら、という感じです。いつか来るであろう、舞台上での本格的な初共演が実現する未来、このオーディオドラマ『また、桜の国で』での“手合わせ”が、お二方にとって何らかの糧になってくれることを祈っています。

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ところで。レイはよく口笛とともに現れます。それ自体は脚本に書かかれているのですが、各シーンの口笛のニュアンスや長さは、中川さんの演技によるものです。身体の中から音楽があふれて来るのでしょうか、シリアスな場面が連続する中で、だんだんメロディアスになっていく口笛がアクセントとなって、レイの飄々として憎めない、それでいてどこか底知れない存在感を、音で醸し出してくれました。

 

そういえば『1492年のマリア』の収録時、スタッフの作業待ちの時間に「マリア~マリア~マリィア~♪」と『ウェストサイド物語』のナンバーを満面の笑みで口ずさんでいらっしゃったのを覚えています。たまたま、その後にご出演のコンサートで歌うため、練習中の曲だったようです。

 

中川さんと井上さんが『今日は一日“ミュージカル”三昧』(8月12日放送 NHK-FM)にゲスト出演なさった際、トークの貴重な時間の中で『また、桜の国で』に触れて下さいました。メインキャストにミュージカル畑の方が揃ったオーディオドラマにもかかわらず、まったく歌がない、という話の流れで、井上さんの「あっきーが一瞬、鼻歌っていうかアドリブで歌おうとしたけど、やめて下さいって言われて…演出の人に、要らないですって言われて…」という発言がありましたが、その真相は……また機会があれば。

 

『また、桜の国で』収録リポート その6でした。

 


 

番組へのご意見、ご要望などございましたら、メッセージ・フォームまでお願いいたします。

※当ブログ記事の掲載時に中川晃教さんのお名前を数箇所まちがって記載してしまいました。

お詫びして訂正いたします。フォームからご指摘を下さった方、どうもありがとうございました。 

 

青春アドベンチャー『また、桜の国で』(連続15回)

~たとえ憎悪と暴力が世界を覆い尽くしても、この想いは消えない。~

 

【NHK FM】

8月28日(月)~9月15日(金) 平日の午後10時45分~午後11時【NHK FM】

【原作】須賀しのぶ

【脚色】藤井香織

【音楽】山下康介

 

【出演者】

井上芳雄 中川晃教 坂本真綾 鈴木壮麻

亀田佳明 栗原英雄 菅生隆之 豊田茂

水野ゆふ 秋山エリサ 長谷川敦央 谷田歩

山本道子 粟野史浩 梶原航 林次樹

山本与志恵 佐古真弓 石橋徹郎 今泉舞

藤村真優 杉村透海 山崎智史 青木柚

山田瑛瑠 小嶋一星

投稿者:スタッフ | 投稿時間:08:44 | カテゴリ:オーディオドラマ

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