とりあえず"そのうち食事でもしましょう"

~2023年「日本語のゆれに関する調査」から(2)~

公開:2024年2月1日

調査の結果から、回答者の属性別の傾向として、それぞれ相対的に次のような傾向が明らかになった。
▶「(お)問い合わせいただく」という言い方における接頭辞「お」の着脱に関し、全体的には、接頭辞「お」ありの形・ない形の両方とも認めるという回答が多いものの、圧倒的というほどでもない。また若年になるほど「お」ありの形への支持が多い。一方、「(ご)閲覧いただく」と「(ご)アクセスいただく」については、接頭辞「ご」なしの形への支持が全体的に多く、また若年になるほどその傾向が強い。
▶「「させていただく」という言い回しを用いた表現のほうが感じがよい」とする回答は、おおむね、年代別には70代をピークとしてもっとも多く、年代が若くなるほど少なくなっている。また、この回答は大卒層ではあまり多くない。地域別には、関西のほうが関東よりも多い。以上の傾向は、過去の調査結果とほぼ共通している。
▶「ここをまっすぐ[行ってもらったら]、ありますよ」という言い方への支持は、年代が若くなるほど多くなっている。大卒層の支持が多い。そして関西での支持が多い。
▶「(実際には食事するつもりがないときに)そのうち食事でもしましょう」などの配慮表現や、参加したくない会への参加の誘いに対する返事として「(本当はスケジュールが空いているのだが)行きたいのだけれども、ほかの予定が入っていてどうしても行けない、とその場で伝える」などの配慮的言語行動に対しては、おおむね、30代をはじめとする社会的活躍層での支持が全般的に多く、一方、80歳以上での支持がもっとも少ない。また、大卒層での支持が多い。
▶あいさつ表現に関して、「女性」「30代」「大卒層」「関東」では「必ず言う」という回答が特に多い。
▶近所の人からの「どちらへいらっしゃるんですか」のような声かけに関して、「男性」「70代・80歳以上」「東北」では、これは「あたりまえのあいさつ」だという回答が特に多い。

メディア研究部 塩田雄大

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