『日本の素顔』の制作技法 第6回 ポスト『素顔』への胎動(後編)

~自生音の発現~

公開:2024年2月1日

日本のテレビドキュメンタリーの基礎を築いたとされる『日本の素顔』(NHK、1957~64)の制作技法の変遷を描く第6回目の後編である。先月号に掲載した前編に続いて『素顔』最後の2年間となった62~63年度の展開を分析し考察する。『素顔』末期に特筆すべき技法が生まれている。それは、情動的強度に秀でた映像と自生音を用いた、「その時その場」の「リアル」な描写である。「問題」について論じるテレビドキュメンタリーから、「問題」を超えて取材対象を活写するテレビドキュメンタリーへ、この技法変化を支える音声形式として、ナレーションやインタビューではなく、自生音が自己を主張し始めている。『素顔』末期のテクストに自生音を生み出す技法を見いだすとともに、この技法が『素顔』終了後の新たなドキュメンタリー番組『ある人生』に継承されたことを示す。

メディア研究部 宮田 章

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