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夏祭りの思い出が「ねぷた」に。"モザイクアート"に協力してくれたみなさまへ

執筆者安倍みちる
2022年10月03日 (月)

夏祭りの思い出が「ねぷた」に。"モザイクアート"に協力してくれたみなさまへ

青森県の超有名なお祭りといえば、「ねぶた」に「ねぷた」。
どっちがどっちかはおいおい説明させてください。

青森局の経営管理企画センターという部署でイベントや公開番組を担当している安倍みちると申します。初任地が青森局でした。

青森に住み始めて4年。

私自身、小さい頃から転勤族ということもあり、地域のお祭りに参加するという経験がなく、青森に来たからには参加してみたい!という気持ちが大きかったです。
しかし、コロナによる開催中止などもあり、なかなか参加する機会に恵まれませんでした。

ついに今年の夏、仕事を通してですが、初めて参加することができました!あ、ちなみに参加できたのは「ねぷた」のほうです。

お祭りに参加して感じたのは文化のすばらしさに加え、地域の皆さんの優しさと温かさでした。
今回は感謝の思いを込めて、その体験を書かせていただきます!

左が私、安倍です。左が私、安倍です

ねぷた×モザイクアート!?

皆さん、青森の夏の風物詩のひとつ「青森ねぶた祭」と「弘前ねぷたまつり」ってご存じですか?
青森ねぶた祭」はこちら。

青森ねぶた祭

立体的な人形の灯籠で、かけ声は主に「ラッセラー」。
青森市で行われます。

一方、「弘前ねぷたまつり」はこちら。

弘前ねぷたまつり

扇形の山車で、かけ声は主に「ヤーヤドー」。
弘前市で行われます。

私たち青森局が今回参加したのが、この弘前ねぷたまつりです。
その山車はこちら!

弘前ねぷたまつり

この山車、よく見てください…

この山車、よく見てください…

実は写真が集まってひとつの絵になっています。

実は写真が集まってひとつの絵になってるんです。

今回青森局では、視聴者や取材先のみなさんから集めた夏祭りの思い出写真810枚からモザイクアートを作り、それをねぷたにして、実際に「弘前ねぷたまつり」に参加してきました。

今回のこの企画、たくさんの青森の方の協力があって実現したわけですが、始まりはある人との出会いがきっかけでした。

のど自慢中止の先にあった運命の出会い

企画を思いつく最初のきっかけになったのは弘前市民会館の館長の川村さんでした。

川村さん

出会いは2020年8月。
「NHKのど自慢」を11月に開催予定でした。
弘前市の窓口は川村さん、青森局のイベント担当は私で、新型コロナウイルスで開催できるかどうかほぼ毎日電話でやり取りしていました。
ニュースなどでも弘前市の状況を毎日確認しながら、開催できるかも…!という希望を持って、準備をしていました。

しかし、開催の1週間前、新型コロナウイルスの感染拡大により残念ながら中止となってしまいました。

せっかく準備してきたのに…と開催できない悔しい気持ちでいっぱいになると同時に、出演や観覧に応募してくださった皆さん、そして、なによりも一生懸命準備してくださった、川村さんを始め、弘前市の方のことを思うと涙が止まりませんでした。

そして翌年。また別の番組の打ち合わせで川村さんとともに訪れた弘前市民会館で、私は運命の出会いを果たすのです。

何てきれいなねぷた絵なんだろう!

…何てきれいなねぷた絵なんだろう!

すると、川村さんから驚きの一言が。

「これ、私が描いたんです。新型コロナで中止を余儀なくされたイベント主催者さんへ気持ちを込めて描きました。」

…え?
えーーー!川村さんが?!

なんと川村さんはねぷた絵師だったんです。

思い返すと、川村さんとの出会いがなければ、この企画を思いつき、実行するには至っていなかったと思います。

夏祭りを盛り上げたい!

その後、2022年に弘前ねぷたまつりが300年を迎えることを知り、何とか青森局として一緒に盛り上げることはできないか考え始めました。

弘前ねぷたまつり以外の夏祭りも、新型コロナのせいで2年連続中止で、きっとみんなも開催できればと思っているんだろうな。
そういった思いに寄り添える企画ができないかな。

そこで、青森出身でイベント担当の先輩としてもいろんな相談に乗ってくれる方と、祭りの写真や資料を見ながら話し合い、その中で出てきたアイデアは『モザイクアート』。

3年ぶりの夏祭りを迎えるにあたり、過去の写真、思い出の写真をみんなで共有するという場を青森局で作れたらいいな、そんな思いから『モザイクアート』で進めていくことにしました。

…でも、だれにモザイクアートをお願いすれば?

さて、そうと決まればモザイクアートを作ってくれる業者さんを探さなくてはなりません。そこで相談したのが、地元の印刷業者のデザイナー高橋さん

仕事の話だけでなく、青森の行くべき観光スポットや温泉、青森に限らず、東北のことを教えていただいています。

さっそく、今回のモザイクアートを製作できる業者が地元にいないか聞いてみると....
「うーん、私は知らないですね…」

顔の広い高橋さんでも知らなければ地元だと難しいのかな…。
そうすると県外の方にお願いするしかないかぁ。
ちょっと諦めモードになっていると…

「私、モザイクアートを製作したことはないのですが、勉強しながらやらせていただけませんか?」

…え!?

「試しにサンプル写真でやってみたいと思いますので、ご検討いただけないでしょうか?」

それに、一緒に仕事をするといつも楽しいし、と請け負ってくれた高橋さん。
すぐにサンプル写真で作ったモザイクアートを送ってくださいました。

後々、なぜこの企画にご協力いただけたのか聞いてみると、新型コロナウイルスの影響でねぷたまつりが2年連続の中止となっているなか、たくさんの方が参加できるモザイクアートは、地域の皆さんの励みになるような企画だったので、ぜひやりたいと思ってくださったそうです。また、ねぷた制作に関わることは地元でも珍しいそうで、やってみたいと思い、取り組んでくれたとのことでした。

高橋さんのこの思い、心からうれしかったです。

モザイクアートにする原画は?

協力してくれるデザイン会社が見つかったところで、続いては元になる原画を決めなくてはなりません。私の頭の中に浮かんだのは、当然、この企画のきっかけにもなった、弘前市民会館の館長でもあり弘前ねぷた絵師でもある川村さんの顔。

しかし、歴史ある夏祭りで、こんな企画を受け入れてくださるか…

不安な気持ちでいっぱいの中、川村さんにこの企画内容を伝えると、なんと快くねぷた絵を提供してくださいました。

いただいたたくさんのねぷた絵から、今回はこの鏡絵と見送り絵を選びました。

左:鏡絵 右:見送り絵左:鏡絵        右:見送り絵

そして、川村さんにご紹介いただいた「弘前ねぷたまつり」担当の観光課の皆さんに企画趣旨をお話すると、なんと実際にこのモザイクアートねぷたを運行できることに。

私が青森に来て3年、あこがれ続けた夏祭り。
夢のようでした。

全体の大きさはおよそ高さ2.7mで、扇の横幅はおよそ1.8m。全体の大きさはおよそ高さ2.7mで、扇の横幅はおよそ1.8m。
(大型のものだと高さ7mほどにもなるそうで、こちらは小型のねぷたです)

なかなか集まらない!

つづいて取り掛かったのが夏祭りの思い出写真集め。
写真だけではなく、夏祭りの思い出エピソードを一緒に募集しました。

画面中央にいるのは青森局のキャラクター、森の妖精シャモリ画面中央にいるのは青森局のキャラクター、森の妖精シャモリ

目標に掲げたのは2000枚。すぐに集まるだろうとのんきに構えていました。

ところが全く写真が来ません。焦り始めました。
すると協力してくれたのが青森局の仲間たちでした。

番組制作の皆さんは、平日午後6時10分からの番組「あっぷるワイド」と、金曜午後7時30分からの番組「発見!あおもり深世界」で告知の機会を作ってくれました。

私も出演しました私も出演しました

そして、青森局の各部署の皆さんにも、チラシの配布や、取材先・知り合いへの声がけなど、さまざまな協力をしてもらいました。

そのパワーのおかげで、最終的には810枚もの写真とエピソードが集まりました。
モザイクアートには十分な数の写真でした。

青森局にはおよそ100人の職員・スタッフがいて、それぞれ忙しい中でもこの企画を共に盛り上げてくれました。

誕生!写真から生まれたモザイクアート

実は、私たちは、ねぷた絵ともうひとつ、青森県にたくさんあるお祭りを詰め込んだイラストをモザイクアートにしようと考えました。

今回は「弘前ねぷたまつり」以外のお祭りも3年ぶりの開催。地域のお祭りを応援したいと、夏祭りへの思いがこもった写真を使ってモザイクアートを作ることにしたんです。

そのイラストの原画はこちら!

イラストの原画

このイラストは青森在住のイラストレーターの豊川さんに描いていただきました。

トヨカワイラスト研究室の豊川さん

豊川さんは青森局のローカル番組「あっぷるワイド」のコーナー、「お国ことばで川柳 若者編」のイラストを担当されています。青森港にある灯台のデザインや観光施設の中の柱など青森で大活躍されている方です。

豊川さんは青森のお祭りが大好きで、その中でもつがる市の「つがる市馬市まつり」が一番印象に残っているそうです。

つがる市馬市まつり

今回の原画にも「つがる市馬市まつり」の山車がありますよ!
皆さん見つけられましたか?

その他にもこの原画には、
青森ねぶた祭(青森市)、弘前ねぷたまつり(弘前市)、八戸三社大祭(八戸市)、五所川原立佞武多(たちねぷた)(五所川原市)、田名部まつり(むつ市)、黒石よされ(黒石市)、のへじ祇園まつり(野辺地町)とたくさんの青森の夏祭りが詰め込まれています。

こちらの原画を810枚の写真からモザイクアートへ!

原画を810枚の写真からモザイクアートへ

豊川さんの素敵な夏祭りの原画と、皆さんの夏祭りの思い出が組み合わさった、すてきなモザイクアートになりました。

▼完成したモザイクアートはこちらから▼

モザイクアートが完成ホームページでは、写真を送ってくださったみなさんのエピソードも紹介しています。

写真を送って下さった皆さん。
思いのこもったすてきな写真を送ってくださりありがとうございました。
青森の夏祭りがこんなにあるんだと写真を通して改めて勉強になりました。

そして、皆さんが夏祭りが大好きなこと、夏祭りが2年間開催されず寂しい思いをしていたこと、皆さんの夏祭りに対する思いを感じることができました。

▼こちらに皆さんの写真とエピソードを一部ご紹介しています。▼

/aomori-blog2/3160/468174.html

思いの詰まったねぷたがついに…

そして、いよいよ、集まった写真を“モザイクアートねぷた”に。
思いがけず立ちはだかった壁は、この弘前ねぷた独特の「扇形」でした。

弘前ねぷた独特の「扇型」

この赤い部分、写真を入れてしまうと切れてしまいます。
皆さんの大切な思い出が詰まった写真を切ってしまうのは嫌で、
高橋さんに相談すると、原画を生かすというアイデアを出してくださいました。

このように写真の入っていないところは原画をそのまま活用しています。このように写真の入っていないところは原画をそのまま活用しています。

何度もやり直しを繰り返し、完成したのがこちら!!

完成したのがこちら!!

そして、2022年8月2日に「弘前ねぷたまつり」に参加し、モザイクアートねぷたを運行することができました。

弘前ねぷたまつり

雨が降っていたため、ビニール袋をかけています。※雨が降っていたため、ビニール袋をかけています。

この日は『あっぷるワイド』で中継をし、このモザイクアートねぷたを紹介しました。

あっぷるワイドで中継

運行をしているときに沿道の皆さんから「これ写真なの?!」「きれいだね~」「中継で見たよ!」とたくさんお声がけいただきました。

ねぷた絵師の川村さん、印刷業者の高橋さん、イラストレーターの豊川さん、たくさんの写真を投稿・提供してくださった皆さんに支えられ、この企画を実行することができました。
何から何まで準備をしてくださり、そして、お祭りのことを知らない私を受け入れてくださった弘前市の皆さん、ありがとうございました。

3年前、青森県に来た時は地域の方とつながって企画をするなんて想像していませんでした。働く中で地域のみなさんと出会ったことが、企画を進めるうえで最大の原動力になりました。青森での出会いを大切にこれからも地域のために頑張っていきたいと思います。

▼モザイクアートのサイトを制作してくれたエンジニア藤本さん▼
https://www.nhk.or.jp/saiyo/works/fujimoto.html

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