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高校野球 仙台育英を破った八戸学院光星 強さの秘訣

執筆者角田彩子(記者)
2023年07月14日 (金)

高校野球 仙台育英を破った八戸学院光星 強さの秘訣

先月岩手県で開催された「春の高校野球東北大会」。決勝に進出したのは、青森県の八戸学院光星高校、そして去年夏の甲子園の覇者、宮城県の仙台育英高校でした。
決勝戦、試合が動いたのは2回。八戸学院光星はソロホームランで先制しました。その後、投手陣も奮闘。仙台育英打線を2点に抑え、去年の全国王者を破る、価値ある優勝を手にしました。

優勝旗を手にする八戸学院光星

今年の八戸学院光星の強さ“キーマン”は3人

“キーマン”が3人

今年の八戸学院光星の強さはどこから来ているのか。取材を進めていくと“キーマン”が3人いるとわかりました。

守りの要は、2年生エースの2人。1人目は多彩な変化球が持ち味の左投手の洗平比呂投手。

洗平比呂投手

「ピンチの時に踏ん張れる粘りの強さは自分の長所。チームの勝ちにつなげられるようなピッチングをしたい」。

そして、ストレートの力強さが持ち味の左投手の岡本琉奨投手です。

岡本琉奨投手

「この冬鍛えてきたストレートだったり変化球のキレは強みだと思う。自分としては無失点で青森県を制したい」。

また、打撃の要はキャプテンでショートを守る3年生の中澤恒貴選手。打撃センスは県内ナンバーワンと言われ、プロも注目する選手です。

中澤恒貴選手

「逆方向にもホームランだったり長打を打てるのが自分の持ち味だと思う。目標は青森県優勝です」。

“徹底的な体づくり”が強さに

仲井宗基監督

このチームを率いるのが仲井宗基監督です。伝統的な“打の光星”を率いて監督に就任。その翌年の2011年から2年連続で夏の甲子園で準優勝するなど実績を築き上げました。

ぬれたグランド

しかし、その後は思うような結果が出ませんでした。

監督

「伝統的にね、光星の野球といえば“打って打って打ちまくる”という“打の光星”というのが看板になっていると思うが、甲子園で勝ち抜くためには、打撃だけではだめだと思っている」。

監督

投打のバランスが重要と考え、監督が力を入れたのは、選手たちの“徹底的な体づくり”です。まず取り組んだのがウエイトトレーニング。冬の間に集中的に取り組みました。

「がんばれ!」「ウォー!」。トレーニング場では、選手同士鼓舞する声が聞こえ、90キロのバーベルを持ちあげる選手もいました。

そして、厳しいトレーニングとセットなのが食事です。

食事風景

ほとんどの選手たちがおかわりをしていて、4杯食べる選手もいました。朝食では全員「丼飯2杯」というノルマもあります。寮で生活する選手たちにとって、食べることも練習の1つです。

“体づくり”によって投打のバランスを生んだ

打撃力パワーアップ

こうした体づくりを行った結果、選手たちの体はみるみる大きくなりました。打者は打撃力がさらにパワーアップし今までゴロだったあたりはヒットにつながりました。

エース2人練習風景

また、投手陣の球威もアップしました。エースの2人は球速がおよそ5キロ以上あがったといいます。

練習風景

こうして“打の光星”から“投打充実の光星”に変わっていったチーム。
春の東北大会で仙台育英を破る原動力となりました。

監督

「非常に攻守のバランスが取れたいいチームになったのかなと思う。ディフェンス力をベースにしっかりと計算できるチームに仕上げてきたつもりだ」。

中澤キャプテン

「ピッチャーの調子が悪いときはバッターが打ってあげて、逆にバッターが打てないときはピッチャーが踏ん張ってバッターをカバーする“助け合いができるチーム”だと思っている。油断せずに1点でも多く自分たちが取っていたら勝てるので泥臭く“一戦必勝”で青森県を制覇したい」。

選手たち

今月13日から始まった全国高校野球青森大会。
仙台育英を破り勢いに乗る“光星野球部”は、2年連続の夏の甲子園出場を目指します。

取材後記

部員数が150人程度の八戸学院光星。厳しい練習のなかでも選手たちは笑顔を忘れず励まし合っていたのが印象的で、チームメイト同士の仲の良さを感じました。開幕した全国高校野球青森大会では、可能な限り球場に足を運んで、選手たちの“一生懸命なプレー”や“野球に対する熱い思い”を取材していきたいと思いました。

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