ページの本文へ

  1. トップページ
  2. 記者記事
  3. 大雨から1か月・りんご農家の苦悩

大雨から1か月・りんご農家の苦悩

執筆者高橋昂平(記者)
2022年09月05日 (月)

大雨から1か月・りんご農家の苦悩

県内各地で浸水や農業被害などが相次いだ先月の大雨。被害の大きかった自治体や産業の1か月たった今をシリーズで伝えていきます。
1日目はわたし、高橋が岩木川沿いのりんご畑の現状について取材しました。

水没したりんご園の今

高橋記者と花和さん

岩木川沿いでは先月3日、そして9日からの大雨で、川からあふれた水がりんご畑に流れ込み、弘前市や板柳町の川沿いのりんご畑は、大きな被害が出ました。私が訪れたのは、岩木川の河川敷でりんご栽培をしている板柳町の花和司さんです。

花和さんのりんご畑も、広さ1点5ヘクタールのりんごの木すべてが水没しました。

花和さんのりんご畑も、広さ1点5ヘクタールのりんごの木すべてが水没しました。

このあたりは、川の水位が上昇した結果、花和さんのりんご畑も、広さ1点5ヘクタールのりんごの木すべてが水没しました。

りんごは全滅 諦めるしかない

木についた腐ったりんご

浸水からおよそ1か月。ボランティアの手助けもあり、大きながれきなどは片付けられました。しかし、木には腐ってしぼんだりんごがそのままになっていたほか、地面には、あふれた川の水で流されたりんごが散乱していました。

花和さん撮影

例年この時期は、「つがる」の収穫や、「ふじ」の実に太陽の光を当てるために葉を取り除く「葉とり」を行う時期だといいます。
ことしは、2000万円程度の収穫を目標にしていましたが、一転してゼロになりました。花和さんは、絞り出すようにいまの気持ちを応えてくれました。

花和司さん
もうりんごが全滅してしまったので諦めるしかないな。正直なにすればいいか分からないですね。今はあと10日もすれば片づけも終わると思うので、ほんとに出稼ぎとかに行かないといけないと思っています。

愛着があった土地を離れたくないが・・・

堤防の上からのりんご畑

花和さんは、ひいじいさんの代からこの土地でリンゴを栽培してきました。
愛着があった土地を離れたくない強い思いがある一方で、被害が続くようであればここでの栽培をやめざるを得ないと考えています。

花和司さん
先祖代々受け継いできた畑なのでやっぱり守っていきたいという思いはあります。ただ、これからまたこういう風な水害になるのであれば。代替地があるんだったら代替地に移動したいです。

青森放送局の高橋昴平記者に聞く

Q.現場を取材して感じたことは?

髙橋昴平記者
岩木川沿いの河川敷を利用したりんご畑は遠くから見ると片付いているように見えますが、1か月たって実際に現地を歩くと地面に腐ったりんごが大量に散らばり、腐った匂いがあたりを漂っていました。本来ならりんごの収穫が始まる時期ですが、取材に伺った花和さんは、草刈り機でりんごを潰す作業をしていました。花和さんたちが手塩にかけて育ててきたリンゴの変わり果てた姿は、見ていても痛々しいものがありました。

Q.今後、再び栽培を始めるのか、場合によっては、移転するのかという点を考えている方も結構多い?

髙橋昴平記者
花和さん以外にも、「代替地があるなら移りたい」と話す人が多くいます。この地域のりんご農家は、畑を先祖代々受け継いできた人が多く、その思い入れのある土地から離れることを考えざるをえないほど、今回の被害は深刻なんだなと感じます。ただ、移転するにしても、費用も時間もかかります。各地で大雨災害が頻発していて、青森でも、またいつ大きな被害が出るか分かりません。県を代表する農作物のりんごが、今後も継続的に栽培できるようにするためには、どうしたらいいのか、早く考えていかなければならないと思います。

この記事に関連するタグ

おすすめの記事