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インタビュー

村野鉄男 役・中村蒼さん

人の痛みが分かる人間でありたい

スポーツシーンを彩る数々の応援歌やヒット歌謡曲を手がけた、昭和を代表する作曲家・古関裕而(こせき ゆうじ)氏をモデルに、音楽とともに生きた夫婦を描く、連続テレビ小説『エール』。
第9週では、裕一(窪田正孝)の幼なじみで、新聞記者として働きながら作詞家を目指す村野鉄男の恋模様が描かれました。今回は、そんな鉄男役の中村 蒼(あおい)さんにインタビュー。繊細な心を持ったガキ大将・鉄男の、今後の見どころなどを語ってもらいました。

――中村さんは、村野鉄男をどんな人物だと捉えていますか?

ガキ大将だけど、弱いものいじめはしない。生活に困っていて、家族のために働いている――。そんな幼少期から変わらず、正義感のある芯の通った人間だなと思っています。鉄男は曲がった物事を見過ごさずに、ズバッと言葉にするから気持ちがいいですね。僕自身、あこがれながら演じているようなところがあります。僕は全然ガキ大将っぽくなくて、そういう人たちを教室の隅っこで見ているタイプだったので……(笑)。

――たしかに、中村さんご自身からは物腰やわらかな印象を受けます。

吉田(照幸)監督から、鉄男のモデルになった野村俊夫さんは繊細な方だったと聞きました。野村さんの詩や自伝などを読んでみても、人の気持ちを丁寧にくみ取って表現されていて。戦時中に書いた軍歌の詞も、戦意をあおるのではなく、家族やふるさとに思いをはせたものが多いんです。鉄男はガキ大将らしい男ですが、繊細な演技を期待されているんだと思っています。

――演じるうえでも、相手の気持ちに敏感なイメージで?

人の痛みが分かる人間でありたいと思っています。受け取った言葉から相手の気持ちをきちんと考えたうえで、言葉を発したいですね。例えば、銀行員になった裕一と再会したときもそう。鉄男は音楽の道へ戻るための後押しをしましたが、裕一の事情や気持ちに配慮しつつ、嫌なプレッシャーにならないよう気を付けました。

――国際作曲コンクールへの応募を勧めたり、曲の主題探しを手伝ったりしていましたね。

裕一の才能を腐らせるわけにはいかないし、苦しい小学生時代に「詩人になれるよ!」と励ましてもらった恩返しもあったと思います。
裕一のなかなか自分に自信を持てない感じは、僕自身も感情移入できますね……。そんな人でも音楽でたくさんの人を感動させられるんだと思うと、勇気をもらえます。

――第9週では鉄男の恋が描かれました。切ない幕切れになりましたが、お芝居をしてみていかがでしたか?

鉄男は、大切な人を幸せにしてあげられなかった自分を悔やむでしょうね……。希穂子(入山法子)の優しさがつらかったです。時代に関係なく共感できるエピソードだと感じましたし、お酒に飲まれて乱れるとか、鉄男の弱い一面も見てもらえたと思います。
でも、鉄男は強い男なので、ここで立ち止まらず夢に向かって歩き出すはず。心の中で、希穂子との思い出をきれいに包装して、きれいな物置にしまい込んだと思っています(笑)。

――作曲家・作詞家・歌手から成る“福島三羽ガラス”も動き出しました。幼なじみ3人でのお芝居はいかがですか?

下を向きがちな裕一、ポジティブだけど気取っている久志(山崎育三郎)、割と現実主義の鉄男――本当に三者三様なので、演じていてすごくおもしろいです。こんな仲間がいたら楽しいでしょうねぇ。それぞれが助け合って、お互いにない部分を補い合っているので、とてもいいチームだなと思っています。

――今後の鉄男に関しては、どんなところに注目してほしいですか?

まずは、福島三羽ガラスがどんなふうに開花していくのかを楽しみにしていてほしいです。裕一はすでに作曲家になっていますが、鉄男と久志はこれから。裕一が苦労しているように、鉄男もヒットに恵まれない時間を過ごすと思います。
もう一つ、個人的には戦時中のエピソードに注目してほしいです。音楽や詩に戦意高揚が求められる中で、鉄男は戦意をあおらず人の心に寄り添い続ける――。そこにある葛藤をしっかり演じたいです。幼少期から一貫して力強く生きる鉄男の姿に、僕自身も力をもらっています。

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