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インタビュー

制作統括・土屋勝裕

「エール」とは“思いやり”だと感じています

数々の応援歌やヒット歌謡曲を手がけた、昭和を代表する作曲家・古関裕而(こせき ゆうじ)氏をモデルに、音楽とともに生きた夫婦の物語を描く、連続テレビ小説『エール』。3月30日の放送スタートを前に、制作統括の土屋勝裕(つちや かつひろ)チーフプロデューサーから『エール』の企画に至った経緯や、見どころなどを聞きました。

――連続テレビ小説『エール』は、どのようにして生まれた企画ですか?

東京オリンピック・パラリンピックが開催される2020年にふさわしい企画にしたい――。東日本大震災からまもなく10年となる福島を応援したい――。

そんな思いで題材をリサーチした末に、昭和を代表する作曲家にして「オリンピックマーチ」も手がけた、福島出身の古関裕而さんに行き着きました。
古関さんは劇的な人生を送られていて、「栄冠は君に輝く」「六甲おろし」「モスラの歌」など、誰しも一度は聴いたことのある楽曲を数多く手がけられた方。お名前を知らなかった視聴者の方にも、新鮮に感じていただけるのでは、と思いました。

――古関さんをモデルにした主人公・古山裕一(窪田正孝)が作曲家として大成するまでの物語、ということになるのでしょうか?

そうですね。福島での子ども時代から始まり、ヒロインの音(おと・二階堂ふみ)との結婚を経て、戦前・戦中・戦後にまたがる裕一の作曲家人生を描いていきます。お話に関しては、古関さんの実話を拾っていくだけでも、本当におもしろいんですよ。

早稲田大学の応援歌が締め切りギリギリまで書けず、自宅に応援団が押し寄せてくる。戦争が始まり、軍や放送局からの作曲依頼が多くなって葛藤する。戦後にラジオドラマの音楽を担当するものの、脚本家の筆が遅く、お芝居に合わせて生でオルガンを弾くはめになる……など、エピソードには事欠きません。作詞家や歌手、作曲依頼者、レコード会社の社員など、いろいろな人物の人生が交差するので、群像劇としても見どころが多いはずです。ヒロインの音にも、大いにスポットライトが当たります。

――裕一と音は、どんな夫婦として描かれるのでしょうか?

情熱的な文通の末に結ばれるのですが、もの静かな旦那様エネルギッシュな奥様、という感じでしょうか。

音のモデルは、歌手としても活躍された、古関裕而さんの妻・金子(きんこ)さん。関係者の方に取材する中で、とても活動的な女性だったと分かりました。例えば古関さんの駆け出し時代、レコード会社との契約金を半額にされると耳にするや、「うちの旦那の才能をわかってない!」と抗議されたくらいです。

一方で、歌手としてのご活躍はもちろん、芸術全般に造詣が深く、情熱的でロマンチックな詩も多く残しています。二人は夫婦で手を取り合いながら、それぞれの夢も追い求めていく。現代の夫婦像にも通じるものがあると思います。

――裕一役を窪田正孝さんが、音役を二階堂ふみさんが務めます。起用の理由や、実際に現場で芝居を見ての印象をお聞かせください。

裕一役の条件は、ナイーブな天才作曲家という役どころにリアリティを出せて、16歳からオリンピックマーチを作曲する50代までを演じられる人。そして、戦時中の大きな葛藤までしっかりと表現できる人。難しい役なのですが、情熱的な役から陰(かげ)のある役まで幅広い演技ができる窪田さんならぴったりだと思いました。

音役はオーディション選考だったのですが、二階堂さんを選んだ決め手は、最終選考での歌いながらのお芝居でした。歌手を目指して家を出る娘にかつての自分を重ねながら歌う「いつか来た道」に、二階堂さんは本当に気持ちを込められていて……。社会人になり家を出た私の娘との思い出がフラッシュバックしてしまうほど、力のある歌だったんです(笑)。音役は二階堂さんしかいないと思いました。

――最後に、『エール』というタイトルに込めた思いをお聞かせください。

古関さんは、人にエールを送る“応援歌”を多く残しています。このドラマも、そんな“エール”になれればと思いました。
「エールってなんだろう?」と考えたとき、私は思いやりのことだと感じています。相手への思いやりがあって初めて、「頑張れ!」という言葉が、本当に届くエールになる。裕一はまさに、相手を理解し、共感し、思いやることで、初めてエールを送ることができるキャラクターです。その思いやりが人を助ける。あるいは、誰かの思いやりで裕一が助けられる。ドラマを通じて視聴者の方々にもエールが届き、「今日も頑張ろう!」とか、「あの人を応援したい!」と思っていただけたらうれしいですね。

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