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山口 人材が不足する中小企業 県内の現状と解決への動き

  • 2024年04月08日

2024年4月1日から、運送業・建設業・医師の3業種で時間外労働上限規制が始まりました。長時間労働の是正が期待される一方で、労働時間の減少によって人手不足が生じ、物流や地域医療などに支障が出るのではないかという懸念もあります。いわゆる「2024年問題」です。

人手不足の問題はこうした業種に限った話ではありません。働き盛りの若手の人口が少ない地方都市では、コロナ禍が明けて経済活動が活発化するなかで特に深刻となっています。山口県の中小企業の現状、そして人材確保に向けた新たな取り組みを取材しました。
(山口放送局 荒木希望記者)

新卒の応募がゼロ…

山口県田布施町にある従業員36人の金属加工会社です。大手機械メーカーに船のエンジン部品などを納入しています。

田布施工業 貫田和弘 製造部長

製造部長の貫田和弘さんは、採用活動も掛け持ちで担当しています。10年前までは毎年、地元の高校から新卒を数人採用してきましたが、ここ5年は新卒の応募は無く採用できていません。

田布施工業製造部長 貫田和弘さん
新卒の方も中途採用の方もなかなか従来の確保、応募が無い状態が続いています。なかなか難しいです。

給料を改善し、高校やハローワークに求人を出し続けるも状況は変わらず、50人ほどいた従業員はこの10年で3割ほど減りました。業務の効率化で製造に支障が出ないようにしているものの、従業員の半数が60歳以上で、このままでは経営が成り立たなくなるといいます。

貫田さん
高齢化が進みますので、今人材確保しておかないと、数年後大変になるんじゃないかと。

カギは「現在働いていない層」

人手不足の問題は少子高齢化が進む地方では共通の問題となっています。こうした現状に対して、行政が支援に乗り出しました。田布施町のお隣、柳井市では人材サービス大手の社員を講師に招き、中小企業向けの採用力向上セミナーを開きました。柳井市は、人材の獲得競争が県内で最も激しいとされ、多くの企業が人手不足に頭を抱えています。

リクルート 中川聖士さん

少子高齢化が進むなか、中小企業の採用力向上のカギは、現在働いていない層が握っているといいます。

リクルート 中川聖士さん
主婦・シニアの層を雇用でご活用いただくというのは労働力では非常にカギになってくる。

さらに、仕事を求めている人が重視するのは、近年、給料よりも働く時間や場所、休日となってきていると話しました。

セミナーに参加した 田布施工業 貫田和弘さん

このセミナーに参加した金属加工会社の貫田さん。これまで若い世代の採用を希望してきましたが、今後は主婦やシニア世代の採用、それに休日を増やすことを検討することにしました。

田布施工業製造部長 貫田和弘さん
今回のセミナーを受けてもう一回求人内容を整理して求職者に発信できたら。

地元銀行も採用活動を後押し

一方、地元の銀行も中小企業の採用活動を後押しています。周南市に本社のある銀行が取り組んでいるのは、コンサルティングを通じた人手不足の解消です。

この銀行から支援を受けている、宇部市にある自動ドアなどの販売会社の事例です。自動ドアの県内シェア6割を誇るこの会社、従業員は48人ですが、ここ3年間の応募はわずか2人にとどまっていました。しかし、技術を継承するためには、毎年2人は新人を確保しなければなりません。

以前の資料

銀行からアドバイスされたのは、“徹底的な求職者目線”の資料作りでした。以前は、募集する職種や求職者へのメッセージしか載せていませんでしたが、新たな資料には会社を印象づけようと、扱う商品のイラストや写真を数多く掲載。働き始めてからのイメージがわくように社員のコメントを加えたほか、取引先の大手企業も紹介しています。

新しく作った資料
新しく作った資料

すると、わずか5か月で7人の応募があり、6人の採用につながりました。

オーカ装置工業 岡屋創一社長

オーカ装置工業 岡屋創一社長
特に中小企業の社長さんていうのは、採用もご自身でされていることが多いと思うし、外部のコンサルさんと協力しながらやっていくというのは1つの方法なのかなとは思います。

中小企業の場合、採用など人事に特化した担当社員がいないため、社長や役員がほかの業務と掛け持ちで人事を担うこともあります。こうしたなかで、第三者が効果的なアドバイスをしてくれることが、非常に喜ばれているようです。

取材を終えて

今回の取材を通じて、人材確保に向けて地域の中小企業が自分たちで努力するのは限界もあると感じました。地域経済が活性化するか否かにもつながる問題だけに、今後、自治体や地元の大学なども含めて解決に向けて積極的に取り組んでいくことが必要だと感じました。

  • 荒木 希望

    山口放送局 記者

    荒木 希望

    2021年入局
    小学校の養護教諭(保健室の先生)から記者へ転身

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