2023年01月12日 (木)原因不明の歯痛とのたたかい


アナウンサーの長野亮です。

 

何を書こうかな~と思いつつパソコンに向かっていたら、ふと。

そういえば歯の治療に行かなければ、と歯科医院の予約を思い出しました。

ということで足かけ2年にわたる、なかなか珍しい(と言われました)歯の治療の顛末てんまつを書き記しておきましょう。

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そもそも私ぐらいの年代の人たちはかつては歯医者さんにいったら歯を削られたものでしたよね。私も小さいころ、親に連れられて歯医者さんに出かける度に削られて銀歯をはめ込まれて帰ってきました。痛かった記憶しかありません。

 

ちなみに、学校の歯科検診では虫歯がないと言われていたにもかかわらず、親の診療のついでにと歯医者さんにみせられ、痛くもない歯を削られるということが何度かありました。

現在は歯科診療の進歩によって今の若い人たちには銀歯と無縁の人が多いそうですが、そんな治療が昔は当たり前だった気がします(少なくとも私の場合)。

 

私の場合、中学生以降は虫歯とは全く無縁で、数年に一度、銀歯が悪くなって削りなおして作り変える以外、親知らずの抜歯とクリーニングといった通院だけでした。

時に銀歯の状態が悪くなりもしましたが、だましだましという感じで特に大きな問題はないという私の口腔内事情でありました。

 

そんな折、おととしの暮れ、50歳になろうかというタイミングでまたも銀歯が取れてしまったのです。

高知に赴任して2度目の銀歯脱落でした。

1度目(さかのぼることさらに2年ほど)は簡単にくっつけるだけの治療で済ませました。

50になるタイミングですし、気になるところは全部治療しよう!と知り合いから腕のいい歯医者さんを紹介してもらい(最先端の診療技術を海外に学ぶ、本当に素晴らしい歯科医師でした)、3か月ほどかけて完全に治療をしました。それが去年の年明けのこと。

 

ことの発端はそれからほどなく、去年の春ごろでした。

(そうです。ここまでは話の枕だったのです)

 

完全に治療をして、何も問題はないはずの歯が「ピリ!」と痛みました。

「あれ??」と思ったものの、すぐになんともなくなりました。

「気のせいかな?」と放置。

右の上の奥から3番目の歯(親知らずを除く)です。

 

しかし、数週間おきに「ピリ!」が来るのです。

ただ、痛みはすぐに治まり、の繰り返し。

だんだんと痛む時間は長くなっていったものの、一晩寝れば何もなかったかのように治まります。

自分で鏡を駆使して見てみても、虫歯っぽくないし、何より歯をいじってみても何の痛みもない。

あらかじめ申し上げておきます。

高知で治療を受けたことは、この痛みとは何も関係ありません。

私自身、ほんの少し疑いかけましたが、高知での治療は完璧でした。

原因は全く別のところにあったのです。

 

それから、たま~に「ピリ!」

「なんだろう?」

でも、痛みは一時的なものだし、まあ注意していればいいかな?ぐらいに思っていました。

 

しかし山口に異動して2か月たらず、8月の下旬頃でした。

周防大島に友人たちと泊りがけでバーベキューをしに行った夜。

極上のシャトーブリアンに舌鼓を打っていた最中でした。

 

「「「ズガギュ~~~ンン!!!」」」

 

過去感じたことのない激しい痛みが走りました。

視界がゆがむほどの激痛です。

ビールを飲んでいて、多少の麻酔効果があったため(?)なんとか意識を保つことに成功しましたが、かつてない痛みに変な汗が出るほどでした。

夏休みを使って県外から来た友人たちに悟られまいと脂汗を流しつつバーベキューをやり過ごし、「一晩寝れば治るだろう」と寝たものの、翌朝も痛みは治まらず。

 

ついに痛みが顕在化してしまったのです。

その帰りに痛み止めを購入し、すぐに歯医者さんの予約を入れました。

 

最初の診察は、しかし。

 

虫歯ではない。レントゲン撮影でも異常はなし。

「何か神経が悪さをしているのかも。痛み止めと抗生剤を3日分出しておきます。また来週来てください」で帰宅。

 

そんなものかと思って薬を飲んで良くなることを期待していても、事態は日に日に悪化。

3日分の薬では間に合わず、市販の痛み止めを用法ギリギリで飲み下しながら耐える日々が始まりました。

 

翌週、再度同じ歯科医院に行っても、所見は同じ。

3日分しか薬がない(歯科では3日分までしか処方できないルールなのだそうです)ので、薬を求めて別の病院がいいかもということで大きな病院に問い合わせると…

「まずは近所の病院で診てもらってください。歯以外が原因の痛みということも考えられますので、次は耳鼻科に行ってみたらどうでしょう?」と言われ、今度は耳鼻科へ。

 

耳鼻科でもレントゲンやらいろいろ検査したものの…

「異常はないですね。やはり、歯では??」とのこと。

『そりゃそうだろ~!こんだけ痛いんだもの!』と心の中で叫びつつ、途方にくれました。

 

決定的な痛みから2週間あまり。

痛み止めがなくては夜も寝られず、かむと激痛が走るために食事も進まず。

食事と睡眠という二大生命活動に支障をきたすというかつてないピンチを迎えながらの仕事の日々は、もう大変でした。

 

そしてまた別の歯医者さんへ。

 

電話で問い合わせ、たまらなく痛いと告げるとその日のうちに診察をしてくれるとのこと。

虫歯ではない。レントゲンにも異常はない。それまでと同じ、原因不明か?と思いつつ、診察をしてくれたM先生は…

「これは珍しいね~、こうすると痛いでしょ?」

というと、ピンポイントで激痛の根源らしき場所に、尖った器具を突き立てました。

「ウガガガ!!」

激痛に全身が総毛だちました。

 

「だよね、ここだよね(グイっ!)」

「ウガガガ!!」

(これを3回ほど繰り返す)

M先生ですが、Sだと思いました。

 

これで確信したのか、別室の特別な機械のある部屋に。

何やら顕微鏡的に歯を拡大してライブで観察できる装置で問題の歯を見てみると…

 

M先生「よく見ないとわからないけど、ここに亀裂があるの、わかる??」

私「亀裂?」

M先生「うすーく、スジが入ってるでしょ。これ、歯が割れてるんですよ」

私「割れてる??」

 

最初は意味が分かりませんでした。

実は歯が縦に、真っ二つに割れていたのです。

 

「虫歯もない健康そのものの歯が割れるのは珍しいんですよ。レントゲンにも映らないし、なかなか見つけられないんです。亀裂も見つけづらいし」

 

どうやら、去年春ごろの最初の「ピリ!」で少しのヒビが入り、何かのたびにヒビが大きくなり、最後の一撃で完全に割れたのではないかとのことでした。

 

「まあ、長野さんの場合は歯を割るぐらいにアゴの力が強かったんでしょうねえ」

確かに、私はアゴの筋肉が発達しています(TVでご覧の通りです)。

それにしても、自分の歯を割るほどまでとは!

 

ということで、その日のうちに麻酔をして抜歯。

抜いてみると、本当にきれいに真ん中から二つに、縦に割れていました。

親知らずは別にして、初めて歯を抜きました。

その歯は、記念に取っておいてあります。

 

ついに痛みから解放されたのです!!

通常の食生活に戻りました。

その日の居酒屋の焼き鳥のうまかったこと!(それまでは肉は食べられませんでした)

痛み止めもいらなくなり、夜もぐっすり寝られるようになりました。

 

その後の治療は今も続いています。

抜いた後の歯茎の自然修復を待って「ブリッジ」という方法で歯を作ります。

現在はM先生から歯周病の治療~予防指導を受け、歯ぐきから全然血が出なくなりました。ちなみに歯周病といっても、ほとんど普通の歯茎だったのですが、歯を磨くとたまに血が出ていたのです(それが歯周病のはじまり、とのことでした)。

「ひどくなる前に」とM先生が歯磨き指導をしてくださり(Sだと思ってすみませんでした)、今では毎日20分ほどの時間をかけてブラッシングをするようになりました。

120歳まで生きるつもりの私としては、おいしいご飯をあと70年食べ続けるために、失う歯はもう最後にしないといけませんから。

 

以上が、この一年の私の歯痛の顛末(てんまつ)です。

だからなんだ?!という反応がありそうですが。

 

最後に補足が2つ。

①     私が幼少のころに受けた歯科診療は完全に私の主観的な解釈であり、昔の歯医者さんを責めるつもりは全くありません。

②     最初に伺った歯医者さんの名誉のためにも重ねて申し上げますが、今回の歯痛の原因は本当に珍しいらしく、見つけられないとしても何ら不思議ではないものだそうです。親切で丁寧に接してくださった最初に診察を受けた先生にも感謝の気持ちでおります。

以上のことに留意して、笑い話として受け止めていただけたら幸いです。

 

ということで、今年もよろしくお願い申し上げます。

 

             

投稿者:アナウンス | 投稿時間:15時00分

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