2023年05月16日 (火)古写真で見る幕末明治=海外渡航者編=
アナウンサーの土方康です。
5月12日(金)の「情報維新!やまぐち」では、
「くらしプラス」のコーナーで、
萩博物館で開かれている企画展「古写真で見る幕末明治=海外渡航者編=」について
お伝えしました。
放送では、学芸員の道迫真吾(どうさこ・しんご)さんに
企画展の見どころについて紹介して頂きました。
道迫さんが手に持っているのは・・・
日本の近代化に貢献した「長州ファイブ」と呼ばれる
長州藩の5人の写真の原寸大のレプリカです。
その写真を拡大したものがこちら(↓)です!
右上が、初代内閣総理大臣の伊藤博文(いとう・ひろぶみ)。
左下が初代外務大臣の井上馨(いのうえ・かおる)。
中央が、鉄道の発展に貢献した「鉄道の父」、井上勝(いのうえ・まさる)。
右下が、工業の発展に尽くし、「工学の父」、「工業の父」と呼ばれる山尾庸三(やまお・ようぞう)。
左上が、貨幣の鋳造に功績を残した遠藤謹助(えんどう・きんすけ)と、
そうそうたるメンバーです!
この「長州ファイブ」の5人がイギリスに留学するために横浜から旅立ったのが、
ちょうど160年前、1863年の旧暦の5月12日だったんです!
今回の企画展は、その長州ファイブ英国渡航160年を記念した行事で、
写真の裏に隠された面白い秘話がわかるよう、漫画なども使いながら紹介しています。
このうち、工業の発展に貢献した長州ファイブの1人、山尾庸三は、
1863年5月、イギリスの商社の横浜支店の責任者ガワーに、
極秘裏に密航の相談をしました。
後日、山尾たちは、ガワーの用意した洋服を着てまげを切り、
ガワーの指定した場所に出向くと・・・・。
ガワーは「あまりにも危険すぎるので、延期したい!」と述べます。
それに対して山尾たちは、まげまで切ったのだから今さら引き返せないと強硬に主張します。
こうして、山尾たち長州ファイブは、決死の覚悟で日本からの密出国を果たしたのでした!
この密出国のエピソードは、漫画で分かりやすく紹介されています。
その他、山尾についてはイギリス留学中の遺品もあります。
ロンドン大学で優秀な成績をおさめたことがわかる優等証が2つ。
「分析化学」は第4位、そして「化学」は第10位でした!
また、山尾がスコットランドの造船所で修業していた際に使っていて、
その後、日本に持ち帰った「のこぎり」と「かんな」もあります。
伊藤博文については、岩倉使節団の一員として、1872年に
再びイギリスへ渡った際の写真もあります。
この伊藤博文以外の長州ファイブの後年の写真も展示してあり、
それぞれ、イギリスに留学中の若い時の姿と見比べることが出来ます。
企画展では、長州ファイブ以外の人物についても紹介されています。
例えば、文豪・森鷗外の写真は、今回が初公開となるものです。
鷗外が陸軍の軍医としてドイツに留学中の1888年に撮影されたもので、
満26歳、軍服姿で背筋を伸ばす鷗外を見ることが出来ます。
道迫さんからのメッセージです。
「幕末から明治にかけて、私たちの想像以上にたくさんの人々が外国へ行き、
いろんなことを勉強して日本に持ち帰って近代化に貢献しています。
彼らの活躍を追体験して、わたしたちの住む地域や、あるいは日本の将来のことを
考える機会にしてほしいと思います!」。
萩博物館の企画展「古写真で見る幕末明治=海外渡航者編=」は、
6月18日(日)まで開催されています。
開館時間は午前9時から午後5時までで、入館は午後4時30分までです。
くわしくは、電話0838-25-6447までお問い合わせください。
投稿者:アナウンス | 投稿時間:15時40分