“1万7000人”
これは、日常的に、たんの吸引や、胃に管で栄養を送る胃ろうなどのケアが欠かせない「医療的ケア児」と呼ばれる子どもたちの数です(平成27年度・推計)。
以前なら助からなかった命が、医療の進歩で救われるようになってきた一方で、
障害が残ってしまう子どもが増えていて、
その数は、10年前の2倍に急増していると見られています。
ところが、こうした子どもたちは、
必ずしも病院で生活しているわけではありません。
実は、多くの家族が、自宅でつきっきりでケアを行っています。
このため、家族からは、きょうだいの育児や仕事の時間などを作るため、
一時的に預かってもらえる施設を求める声が上がっていますが、こうした施設は全く足りていません。
こうした中、県内各地から、子どもや家族が集まる施設が、山形市にあります。
NHKが、県内の35市町村にアンケートしたところ、
去年末の時点で「医療的ケア児を受け入れる施設がある」と答えたのは、7市町、全体の5分の1にとどまりました。
※オレンジ色が、受け入れ施設があると回答。
施設が不足している最大の理由は、対応できる看護師の不足です。
慢性的な看護師不足に加え、医療的なケアを行うには、
どうしても専門の知識や技術が必要になります。
さらに、子どもの命を預かる責任を敬遠する人もいて、
なかなか人手を確保できないのが現状です。
VTRに登場した施設でも、人づてに声をかけて、
どうにか看護師を集めているということですが、
看護師の負担を減らすために、看護師以外のスタッフも緊急時などの対応ができるよう、
山形大学医学部の研修に参加したり、内部で独自に研修を行ったりと工夫をしているそうです。
ただ、すべての施設が、こうした取り組みをできるわけではありません。
医療的ケア児の受け入れ先を増やすためにも、
自治体が、地元の施設に対して、
看護師をはじめ、スタッフの確保や育成のための支援をしていくことが欠かせないと思っています。
風間 郁乃(かざま・あやの)
平成21年入局 山形局は2回目の赴任
“ママ記者”として医療・介護・子育てなどを取材
「山形に戻ってきました。生活に密着した話題やニュースをお届けしていきたいと思います」
山形局記者 | 投稿時間:11:50