「やまコレ」学校に行かなくていいよって言えない

 

国の調査では山形県内の不登校の数が昨年度、過去最多に。

一方で、その数には現れてこない課題も、

取材から見えてきました。

 

 

「学校に行きたくない」自分の子どもからそう言われたら…?

 

実際に、子どもから「学校に行きたくない」と言われた

県内の保護者たちに聞いてみると

「行かせた」

という意見が多くありました。

 

その理由は、

「学校に行かないなんて人生終わりだと思う」

「ワガママなのではないか」

「勉強が遅れるから」

「世間の目が気になるから」

「軽い気持ちで休んではいけないように思うから」など。

 

無理に行かせようとすることは、子どもがつらくなる。

一方、親もどうすればいいのかわからず、悩んでしまう。

コロナ禍で、好きな部活や行事などができなくなり、

子どもたちの学校へ行こうという意欲が失われていることも

懸念される中、わが子から「学校に行きたくない」と言われたとき、どう向き合えばいいのか?

番組では、不登校の子とその親をサポートする

NPOクローバーの会@やまがた 代表の樋口愛子さん、

教育学の専門家、山形大学教授の安藤耕己さんとともに考えました。

 

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「学校に行かせないといけない」と思う背景には何がある?

 

安藤さんによると、

・山形県は過去に「三大教育県」の1つだったということがあり、学校というものにまだまだ権威を感じる人が多くいる

・「学校を経由して大人になる」という通過儀礼的な意味もあって、必ず学校に行かなきゃいけないという思いは、特に地方ほど、強いのではないか

ということでした。

 

学びの場を学校だけと捉えず、

「幅広い見方、あるいは幅広い支援、学び方を考えるべきかと思います。」と話されていました。

 

 

学校以外の学びの場・居場所 県内の現状は?

 

教育機会確保法

2016年、不登校の児童生徒への配慮についてふれられた

「教育機会確保法」が成立。

それに基づき今の学習指導要領では、不登校の子どもたちについて、

・登校という結果のみを目標としないこと

・学校以外の多様で適切な学習活動の重要性も踏まえ、支援すること

が明記されています。

 

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しかし、県内の状況は…?

 

安藤さん

「県内ではまだまだ学校以外の学ぶ方法、例えば、フリースクールなどがあまり周知されていない、認知されていないというのが現状」

 

そこで県の教育委員会では、3月の発行に向けて、

不登校児童生徒を支援する民間の団体を掲載した

リーフレットを作成中。

学校現場へ配布し、親子に多様な支援を紹介できるよう、

準備を進めています。

 

山形県若者相談支援拠点

地域のNPOなどとの協働により、不登校やひきこもりなどについて、親子のための相談窓口を設けています

県内4つの地域にそれぞれ拠点があります。

 

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「学校に行きたくない」子どもの思いとどう向き合う?

 

酒田市にある学習塾では、不登校の子も受け入れ、学習を支援。

塾の代表・鶴田淑子さんは、子ども自身がやりたいことを大切にし、無理に勉強をすすめることはしていません。

 

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卒業生の加藤早織さんも、中学校で不登校を経験。

学習への意欲も失っていましたが、

鶴田さんと出会い、自信を取り戻したと言います。

 

加藤さん

「鶴田先生が学校に行けないんじゃなくて行かないだけなんだ。

ただのひとつの選択肢と言ってくれた。だから、逆に自分の選択が認められているような感覚になれた」

 

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加藤さんは、現在、ロンドンの大学に在学。

将来は国際舞台で活躍することを目指しています。

 

鶴田さんは、「学校に行かない、行きたくない」という

子どもたちの選択や思いを、ありのままに受け入れることを

親にも勧めています。

 

鶴田さん

勉強っていつからでも始められるし、本当に自分の中でスイッチが入ったらどんどん進めることはできるから、勉強どうこうよりも先に、生き生きしているのが楽しいって思ってもらいたい」

 

不登校ってその子が弱っていながら繰り出す最大級の自己決定と魂の叫びだと思う。わが子が自分たちに差し出してきた最大級の自己決定をそのまま受け止めてもらいたい」

 

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番組で紹介した多様な学び

 

ホームスクーリング(秋田県)

ホームスクーリングとは、家に拠点を置いて行う学習のこと。

オンライン授業で学んだり、親に勉強を教わったりします。

小学6年生の松浦駿さんは、小学校に入学してほどなく、

学校になじめなくなったことがきっかけで、

ホームスクーリングを始めました。

ホームスクーリングでは好きな場所で、

自分に合った方法やペースで学びを深めることができる

といいます。

 

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得意の算数は、高校1年生の内容に取り組んでいました。

週に一度は学校に行き、学んだことを先生に報告。

学校からもホームスクーリングの理解を得られています。

 

公設民営のフリースクール(東京 世田谷区)

2019年に区が設立した学びの場。

運営は、民間のフリースクールが担う「公設民営」です。

 

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フリースクールのノウハウを生かし、学校復帰だけではない、

ひとりひとりにあった学習や進路選択の支援をしています。

区民であれば無料で通うことができます。

家庭の経済的負担を減らすため、公の支援を生かした学びの場が

注目されています。

 

 

親をサポートする取り組み

 

NPOクローバーの会@やまがた の代表・樋口愛子さんが

主催する「親の会」。

親たちがお互いの悩みや経験を共有し、

自分の家庭にあった子どもへの声かけや対応のヒントを

持ち帰ります。

 

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樋口さん

「今まで、親は1人で悩んでいるわけですよね。

同じことで悩んでいたの、私1人じゃないんだって、こんなにもいっぱいのお母さんが同じ課題に向き合って毎日頑張っていたんだって、それだけできょう元気をもらえましたって帰るときには笑って帰られる場所が親の会です」

 

「お母さんがそうやって元気を取り戻すと、気づくと子どもも元気になってあんなことやりたい、こんなことやりたい、こんなところ行ってみたいとか。だから親の元気は子どもの元気なんだなとすごく感じています」

 

いま、「親の会」は県内5か所にまで広がっています。

そのうち、大江町の「親の会」の運営には、

町の教育委員会も関わっています。

くわしくは、下記をご覧ください。

 

NPOクローバーの会@やまがた 

https://clover-yamagata.jimdofree.com/

※NHK以外のページに飛びます。

 

 

地域で連携して学びを守り、親子をサポート

 

コロナ禍で、苦しい今だからこそ、

民間団体、行政、学校などがつながり、地域で連携して、

子どもの学びを守り、親子をサポートすることが求められています。

 

安藤さん

学校の先生方は非常に忙しい。これは全く否定できない。先生方が外にどんな組織や団体があるかということを認識して手を結ぶという余裕はない」

「そこで、学校の先生と民間団体や行政などを結ぶコーディネーター的な役割が必要。そういう人たちが、「週何日だったら学校に通う」「週何日かは学習支援してくれる外の組織や団体にお願いする」ということを調整するような体制が望ましい」

 

番組収録後、安藤さんは、コーディネーターには、元教員や、学校関係者じゃなくても、退職された元会社員など、地域のいろんな大人が関わっていけるようになることが理想だと話されていました。

 

教育や子育てを、学校だけ、家庭だけで担うのではなく、

地域全体で子どもたちを見守る。

今こそ、そんな社会が必要なんだと強く思います。

子どもの学びを守り、親もサポートする県内の取り組みを

これからも取材していきます。

 

 



おしらせ   

山形局制作 | 投稿時間:17:35