こちらのメッセージ、外国の医療関係者を名乗る人物から県内の男性に送られた実際のものです。
ネット上で知り合った外国人を装った相手から恋愛感情を利用されて金をだまし取られる「国際ロマンス詐欺」。
全国で被害が相次いでいて、県内でもおととし(R2)は1件も被害が確認されなかったにもかかわらず、去年(R3)1年間で17件、被害総額は1億円を超えました。
取材に応じてくれた県内の被害者への取材から見えてきたのは、「信用」を得ていく手口の巧妙さでした。
今回、紹介した男性以外にも県内に住む複数の被害者から話を伺うことができました。
それぞれ、年齢も性別もバラバラでしたが、手口の共通点として、
▽自らの生い立ちや海外の過酷な環境で同情を誘ったり、▽身分証や仕事の知識などの専門性をアピールすることで、信用を得たりすることが挙げられます。
そして、いずれの方も離婚を経験していたり、転勤先で生活環境が変わったりと寂しさを感じる中で被害にあっていました。
取材をしていて、こうした寂しさにつけ込んで恋愛感情に発展させる手口の巧妙さや、犯人の計画性の高さを感じました。
国際ロマンス詐欺の被害者支援をしてきたNPOの理事長も、手口は年々複雑化し、多岐にわたると指摘します。
(NPO法人「MーSTEP」 新川てるえさん)
「電話での通話だけでなく、最近は偽の映像を使ったビデオ通話も可能。犯人側は“実在する人物だ”と信頼させる安心材料にしている。さらに、今は新型コロナウイルスを会えない理由にして、“会えそうで会えない”という演出がより効果的にできるようになっている」
巧妙な手口に引っかからないためにはどうすればいいのか。
新川さんは例えば犯人が「自撮り」写真を送ってきたら、複数の検索エンジンで画像を検索してほしいと言います。
ネット上にすでに存在する第三者の写真を悪用している可能性があるからだということです。
また、山形県警察本部では心がけてほしいポイントとして
▽ネット上で知り合った面識のない外国人と安易に約束せず、個人情報を教えないこと
▽お金を要求されても絶対に支払わないこと
▽お金を求められたら、すぐに警察に相談すること
を挙げています。
今は、SNSで誰とでもつながれる時代。特にコロナ禍で人と会うことが難しく、よりネット上でのつながりに頼ってしまうこともあるかもしれません。
楽しく利用できれば一番ですが、自分が今つながっている相手が安全かどうか、見極めながら利用してほしいと思います。
山形局記者 | 投稿時間:15:32