【記者特集】不妊治療 保険適用拡大で助成の見直し  あなたの住む市町村は? 

 

20220407_02.png

 

1回あたり「50万円」

 

これは不妊治療のうち「体外受精」にかかる平均の費用です。

令和2年に厚生労働省が行った実態調査でわかりました。

 

高額な費用がかかってきた不妊治療ですが、新年度から公的保険の適用範囲が拡大しました。

 

20220407_03.png

 

自己負担は原則3割となることから、治療を受ける人たちの経済的な負担が軽減されることが期待されています。

 

これにともない、県内の各自治体では助成を見直す動きが広がっています。

 

 

県は独自の助成を継続

 

20220407_04.png

 

令和3年度まで県や山形市は国の補助金を活用して、不妊治療を受ける人に1人あたり上限30万円の助成を行ってきました。

 

こうした助成の申請件数は県内で年間約900件に上りますが、

新年度からの保険適用拡大にあわせて、この助成制度は廃止となりました。

 

20220407_05.png

 

そこで県は保険適用で生じる自己負担の一部を支援しようと、新年度予算に不妊治療の助成事業で約1億1300万円を組み込み、1人1回につき9万円を上限とする助成を独自で行うことにしています。

 

県の助成の対象は、保険適用の対象に準ずる形で40歳未満は通算で6回、40歳以上43歳未満は通算で3回ですが、それ以上の年齢は、原則、対象外となります。

 

 

各市町村の助成は?

 

新年度から保険適用が拡大された「体外受精」や「顕微授精」といった治療費が高額になる「特定不妊治療」。

 

20220407_06.png

 

令和3年度まで、市町村によっては最も高いところで30万円まで、最も低いところでも10万円までを、国や県の助成に上乗せする形で、助成していました。

 

20220407_07.png

 

令和4年3月31日までにNHKが県内35の市町村に取材したところ、31の自治体では今回の保険適用をきっかけに「助成しない」もしくは「検討中」と回答しました。

 

【村山地方】 

・山形市   検討中

・寒河江市  助成の予定なし

・上山市   検討中

・村山市   助成の予定なし

・天童市   助成の予定なし

・東根市   検討中

・尾花沢市  助成の予定なし

・山辺町   検討中 

・中山町   助成の予定なし

・河北町   助成の予定なし

・西川町   助成を継続

・朝日町   助成の予定なし

・大江町   助成の予定なし

・大石田町  助成の予定なし

 

【置賜地方】 

・米沢市   検討中 

・長井市   助成を継続

・南陽市   助成の予定なし

・高畠町   検討中

・川西町   検討中

・小国町   助成の予定なし

・白鷹町   助成を継続

・飯豊町   検討中

 

【最上地方】 

・新庄市   助成の予定なし

・金山町   助成の予定なし

・最上町   助成の予定なし

・舟形町   検討中

・真室川町  助成の予定なし

・大蔵村   助成の予定なし

・鮭川村   助成を継続

・戸沢村   助成の予定なし

 

【庄内地方】

・鶴岡市   助成の予定なし

・酒田市   検討中

・三川町   検討中

・庄内町   助成の予定なし

・遊佐町   検討中

 

(回答は令和4年3月31日現在のものです。今後、自治体によっては対応が変わることがあります)。

 

 

「助成の予定はない」と回答した市町村は

 

保険適用に加えて県独自の助成が行われることから、治療を受ける人の自己負担額が軽減されることを見込み、保険適用後は助成を終了することにしています。

 

 

「検討中」と回答している市町村は

 

保険適用後の自己負担額が不透明なため、保険適用の治療内容や助成金についての詳しい情報を国や県が示してから、助成するかを決めたいとしています。

 

 

助成を継続する自治体は

 

一方、県内4つの市町村では、少子化対策や子育て事業への強化を背景に助成の継続を決めています。

 

▼西川町では、保険適用と県の助成を受けた人を対象に助成を決めています。助成額については、4月上旬までに決めたいとしています。

 

▽また長井市では保険適用と県の助成を受けた人を対象に1人あたり9万円までを助成。

 

さらに保険適用外となる43歳以上46歳未満の人に対しても、1回あたり30万円を、1出産あたり通算3回まで助成します。

 

▼白鷹町では、保険適用と県の助成を受ける人のほか、「先進医療」などの保険が適用されない人にも対象を広げ、夫婦1組で1年度あたり25万円までを助成します。

 

▽鮭川村では、保険適用と県の助成を受けた人を対象に1人あたり10万円までを助成します。

 

 

専門の医師は

 

保険適用を機に、助成を終えるのか、継続するのか、市町村によって対応が異なることがわかりました。

 

20220407_08.png

 

不妊治療を専門とする山形大学医学部付属病院の竹原功医師は、

「保険診療になることで、患者さんにとっては治療のハードルが低くなるとは思いますが、高額な診療になりますので、経済的負担とは切っても切り離せません。自治体で独自の助成制度があるというのは、患者さんにとって心強い制度だと思います」と指摘しています。

 

また今回の保険適用の対象については年齢や回数に制限があることから、早めの診療を検討してほしいと話しています。

 

20220407_09.png

 

「保険診療が始まりますと、回数制限や年齢制限があります。医学的にも年齢にともなって治療成績が変化していくというのは動かぬ事実です。経済的な面でも後回しに考えていたところ、保険適用の治療を受ける回数が減ってしまった、受けられなくなったというケースが、一番避けたいところだとは思いますので『少しあとになってから考えようか』というところではなくて、患者さんには身近な治療として検討してほしい」(竹原功医師)

 

保険適用により自己負担額はどれほど抑えられるのか、または増える可能性があるのか、住む市町村によって異なることが予想されます。

 

今回取材した自治体の担当者の多くは、保険適用後の患者の負担がどれぐらいになるのかを注視しながら助成を検討したいと話していました。

 

保険適用によって各自治体の助成が終了、または継続することで自己負担額がどう変わるのか。

また年齢や回数によって保険が適用されない人の負担や助成の動きがどうなっていくのかなど、今後も不妊治療をめぐる課題について取材を続けていきたいと思います。

 



記者特集   

山形局記者 | 投稿時間:18:32