【記者特集】地方銀行の今 ~経営統合の効果は?~

 

菅総理大臣が就任前、「地銀の数が多すぎる」などと発言したことをきっかけに、地方銀行=地銀の再編の議論が、にわかに注目を集めています。

 

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山形県内の3つの地方銀行をみますと、

▽山形市の山形銀行は、昭和40年に今の銀行名に変更されてからは、経営統合はしていません。

 

これに対して、

▽鶴岡市の荘内銀行は、平成21年に秋田市の北都銀行と経営統合し、「フィデアホールディングス」を設立。

▽山形市のきらやか銀行は、平成24年に仙台市の仙台銀行と経営統合し、「じもとホールディングス」を設立しました。

 

3つの銀行ともに、先日発表した今年度の中間決算で大幅な減益となるなど、地方の人口減少や新型コロナウイルスなどの影響で、ますます厳しい状況に置かれています。そうした中経営統合を生かしたビジネスに活路を見いだそうとする、荘内銀行の取り組みを取材しました。

 

 

ビジネスマッチングを仲介したことによる手数料の収入もありますが、取引先のビジネスを拡大させることで資金需要を伸ばし、新たな融資につなげることが、銀行にとっての最大のねらいです。

 

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取引先を「太く」することが、銀行の収益にもつながるということなんです。取引先と銀行双方にメリットがあり、いわば「ウィンウィン」の手法といえます。

 

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このビジネスマッチング、統合を経験したほかの地銀も重視しています。8年前に仙台銀行と経営統合した、きらやか銀行でも、マッチングを強化しています。

 

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こちらは、仙台銀行の取引先で、石巻市にある捕鯨と水産加工を行う会社です。去年7月、日本の商業捕鯨が再開されてから、鯨を扱う店舗を探していました。そのニーズをくみ取って、きらやか銀行に情報を共有し、山形県内のスーパーや鮮魚の卸売り業者などとのマッチングに成功しました。

 

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両行が山形と宮城で取り組んだビジネスマッチングは昨年度445件。統合直後の平成25年度は113件でしたので、4倍近くに増えています。

 

県境の垣根を越えて取り組むビジネスマッチングは順調に進んでいるように見えますが、課題もあります。

 

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統合によって、隣県同士のビジネスは着実に広がっていますが、2つの県域だけでは、紹介できる取引先が限られることです。その解決策として荘内銀行と仙台銀行が加入したのが、こちらのサービスです。

 

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去年の仙台銀行に続き、ことし10月に荘内銀行も加入した、会員制のプラットフォームです。銀行の取引先で会員になった企業は、全国およそ50の金融機関の顧客情報を検索することができます。

 

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顧客が必要とする商品などを入力すると、関係する企業の一覧が表示されます。そして、実際に商談を申し込むと、商談先の企業が取り引きしている金融機関に通知され、互いに連携してマッチングするという仕組みです。

 

経営統合先だけでなく、全国の金融機関の取引先からパートナーをマッチングできることが、最大のメリットで、ことし10月末現在で全国の31000社が加入しているということです。

 

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ビジネスマッチングは銀行と顧客の間はもとより、銀行どうしにとっても「ウィンウィン」を生み出す手法ともいえます。地銀をはじめ金融機関どうしが、自分たちのテリトリーに縛られず互いに協力し合うことで、新たなビジネスチャンスにつなげていくというビジネスマッチングは、今後ますます増えていくと思います。

 



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山形局記者 | 投稿時間:17:21