【記者特集】デパート「大沼」 再生のヒントは?

 

1月に閉店した山形市のデパート「大沼」。デパートとしての再生に名乗りを上げたのが、全国で数々の商業施設の再生を手がけてきた、東京のコンサルティング会社「やまき」です。

 

しかし、名乗りを上げたことが明らかになってから半年がたとうとする今も、具体的な再生ビジョンは示されていません。 

 

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「大沼」をデパートとして再生することになった場合、経営手腕をどう発揮するのか。「やまき」が直接経営に乗り出した青森県内のデパートのケースから再生のヒントを探ります。

 

 

今回、三春屋を取材して驚いたのが、開店前から常連客などの行列ができていたことです。特に地下の鮮魚売り場は、多くの人でにぎわっていました。

 

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変えるところと、変えないところをはっきり分けることで、これまでの顧客を守るだけでなく、新たな顧客を獲得しようというねらいが垣間見えました。

 

一見すると、経営は順調なようですが、「三春屋」も新型コロナウイルスの影響は無縁ではなく、今後のプランの修正を迫られています。それは、「やまき」がデパート再生の切り札として掲げた「サロン」の設置です。

 

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会員制で顧客を募り、ライブや料理を楽しめる専用のスペースを
ことし5月、5階にオープンする予定でしたが、新型ウイルスの影響で、計画の変更を余儀なくされました。

 

「やまき」は、これに代わる新たな施設を、来年6月を目標にオープンさせるとしています。

 

三春屋の再生で「やまき」がふるった経営手腕は、山形でのデパート再生にどう生かされるのか、気になるところですが、具体的にどう生かされるのかは、まだはっきりしていません。

 

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「やまき」の山下修平会長は、NHKの取材に対し、「旧大沼本店の土地や建物の競売を控えているため、大沼に直接関連することはコメントできない」としています。

 

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そのうえで、「大沼や三春屋に限らず、持っていた強みをさらに磨き、百貨店固有の歴史や文化、その地域ごとの特色やニーズにあわせたコンテンツを付加していく」
としています。

 

一方、当初、表明していた「大沼本店の土地や建物を取得して再生を図る」というプランについて、「やまき」の別の幹部は、「検討している」と述べるにとどまり、どんな形でビジネス展開していくのかは明らかになっていません。

 

デパートは全国でも厳しい状況が続いています。山形市の中心市街地で、デパートが持続可能なビジネスであり続けるには何が必要なのか、地方のデパート事情に詳しい専門家に話を伺いました。

 

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デパート事情に詳しく、山形県川西町の総合計画推進アドバイザーを務める神戸国際大学の中村智彦教授は、「三春屋」のビジネスモデルについて、
「百貨店がスーパーのような役割を果たしているのではないか。
その中で三春屋の存在感が出てきていると見ている。市民の買い物まで支えていく形に役割を変え、顧客を変えてくるというのは、山形でも有効なことではないかなと思う」
と話していました。

 

また、今後、求められるデパートのあり方については、

「今、新型コロナで、外出ができないという状態が長く続いて、皆さんがストレスを感じている中で、家族やいろんな世代が安心して出かけられるような、そこでくつろげるような場所を作っていくことが、市の中心部に百貨店やデパートのようなものを、もう一度作りたいときには、よりいっそう大切なポイントになっている」
と話していました。

 

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中村教授が話す「デパートのスーパー化」。市民のニーズにあう商品を販売することや、コロナ禍でもくつろげる場所をつくっていくことが求められているということです。

 

「大沼」の跡地が、今後どうなるのかは、市民にとって引き続き、大きな関心事です。

 

「やまき」が、「大沼」のデパートとしての再生を目指すのであれば、市民のニーズを十分にくみ取って、必要とされる店舗を目指してほしいと思います。

 



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山形局記者 | 投稿時間:18:20