【記者特集】日本で暮らす外国人~コロナ禍でもつながるには~

 

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企業(きぎょう)採用(さいよう)面接(めんせつ)に、病院(びょういん)介護(かいご)施設(しせつ)での家族(かぞく)との面会(めんかい)…。

 

以前(いぜん)は、()たり(まえ)にできていた「(ひと)()う」ということが、新型(しんがた)コロナウイルスの感染(かんせん)拡大(かくだい)(むずか)しくなっています。

そして、その影響(えいきょう)()けているのは、日本人(にほんじん)だけではありません。

 

 

 

日本語(にほんご)教室(きょうしつ)がピンチ

 

かつて山形県(やまがたけん)()らす外国人(がいこくじん)()えば、日本人(にほんじん)結婚(けっこん)した女性(じょせい)や、中国(ちゅうごく)から帰国(きこく)した残留(ざんりゅう)孤児(こじ)などが中心(ちゅうしん)でしたが、最近(さいきん)外国人(がいこくじん)技能(ぎのう)実習生(じっしゅうせい)など労働者(ろうどうしゃ)()えています。

 

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しかし、外国人(がいこくじん)(なか)には、日本(にほん)での生活(せいかつ)仕事(しごと)になじめないという人が(すく)なくありません。そんな外国人(がいこくじん)(ささ)えになっているのが「地域(ちいき)日本語(にほんご)教室(きょうしつ)」です。

 

NPOや国際(こくさい)交流(こうりゅう)団体(だんたい)のほか、個人(こじん)運営(うんえい)されている教室(きょうしつ)(おお)く、(おし)えている先生(せんせい)大半(たいはん)はボランティアです。
外国人(がいこくじん)にとっては、日本語(にほんご)(まな)べるだけでなく、地元(じもと)日本人(にほんじん)(こう)(りゅう)して(なや)みを相談(そうだん)できる()にもなっています。

 

ところが、新型(しんがた)コロナウイルスの影響(えいきょう)で、この(はる)日本語(にほんご)教室(きょうしつ)相次(あいつ)いで休止(きゅうし)()()まれました。

(いま)現場(げんば)では、どんな対策(たいさく)()ろうとしているのか、取材(しゅざい)しました。

 

 

 

教室(きょうしつ)(ひら)けない…

 

外国人(がいこくじん)生徒(せいと)日本語(にほんご)(わす)れてしまうという問題(もんだい)(しょう)じまして…やはり長期間(ちょうきかん)にわたって(やす)むことは大変(たいへん)痛手(いたで)なんだと(かん)じました」

 

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こう(はな)すのは、酒田市(さかたし)日本語(にほんご)教室(きょうしつ)でボランティアをしている日本語(にほんご)学習(がくしゅう)支援(しえん)ボランティア「べにばな(かい)」の齋藤(さいとう)園子(そのこ)会長(かいちょう)です。

 

この教室(きょうしつ)では、新型(しんがた)コロナウイルスの影響(えいきょう)でことし4(がつ)からおよそ2か月間(げつかん)(まった)授業(じゅぎょう)ができませんでした。

 

 

あたら しい かたち 検討 けんとう はじまる

 

その()活動(かつどう)再開(さいかい)しましたが、

(いま)(だい)()(そな)えて導入(どうにゅう)検討(けんとう)しているのが「オンライン学習(がくしゅう)」です。6(がつ)には、オンライン学習(がくしゅう)導入(どうにゅう)についてどう(おも)うか、ボランティアの先生(せんせい)たちにアンケートを()りました。

 

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その結果(けっか)(おも)いがけないものでした。

回答(かいとう)した16(にん)のうち、およそ8(わり)が、新型(しんがた)コロナウイルスの対策(たいさく)などを理由(りゆう)に「導入(どうにゅう)賛成(さんせい)」と回答(かいとう)しました。

 

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ところが「オンライン学習(がくしゅう)対応(たいおう)できるか」と(たず)ねると、「できる」と(こた)えた(ひと)が3(わり)

「できない」または「保留(ほりゅう)」と回答(かいとう)した(ひと)が、あわせて7(わり)(ちか)くを()めたのです。

 

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背景(はいけい)には、ボランティアの先生(せんせい)たちの「高齢化(こうれいか)」があります。

 

この教室きょうしつでは、先生せんせい半数はんすうあまりが60だい以上いじょう

アンケートでも「インターネットの知識ちしきまったりない」、「オンラインを活用かつようできる自信じしんがない」、「操作そうさ方法ほうほうおしえてほしい」といったこえ相次あいつぎました。

 

齋藤(さいとう)会長(かいちょう)は「実際(じっさい)にオンライン学習(がくしゅう)をできる(ひと)(すく)ないのが課題(かだい)です」と(すこ)(かた)()としつつも、 

「どうしようと()をこまねいていてもしかたないので、やりたい(ひと)やできる(ひと)試験(しけん)(てき)(はじ)めて、オンライン学習(がくしゅう)のいい(てん)(わる)(てん)(みな)さんで(はな)()いあっていけたらと(おも)っています」と(はな)していました。

 


“オンライン 学習 がくしゅう
 メリット?デメリットは?

 

一方いっぽう鶴岡市つるおかしでは、すでにオンライン学習がくしゅうれている教室きょうしつもあります。

 

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(かよ)っているのは、留学生(りゅうがくせい)技能(ぎのう)実習生(じっしゅうせい)などおよそ40(にん)

この教室(きょうしつ)では、もともと大雪(おおゆき)()られない生徒(せいと)のために冬場(ふゆば)限定(げんてい)でオンライン学習(がくしゅう)実施(じっし)していました。

しかし、新型(しんがた)コロナウイルスの影響(えいきょう)対面(たいめん)での授業(じゅぎょう)(まった)くできなくなったため、4(がつ)にオンライン学習(がくしゅう)()()えました。

 

(わたし)たちが取材(しゅざい)したクラスでは、テレビ会議(かいぎ)システムを使(つか)って授業(じゅぎょう)(おこな)われていました。

 

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先生(せんせい)黒板(こくばん)()わりに使(つか)うのは、パソコンの画面(がめん)です。
事前(じぜん)(つく)った教材(きょうざい)表示(ひょうじ)して生徒(せいと)たちに一緒(いっしょ)()てもらいます。

 

生徒(せいと)とのやりとりも大切(たいせつ)にしています。

この()も、生徒(せいと)文法(ぶんぽう)使(つか)(かた)理解(りかい)できているか、実際(じっさい)文章(ぶんしょう)にして発声(はっせい)してもらったりしながら何度(なんど)(たし)かめていました。

 

クラスの先生(せんせい)(つと)める「日本語(にほんご)指導(しどう)ボランティア」の工藤(くどう)智美(ともみ)さんは、10年以上(いじょう)この活動(かつどう)(つづ)けています。

これまでインターネットのテレビ電話(でんわ)使(つか)って1(たい)1で日本語(にほんご)(おし)えたことはありましたが、本格的(ほんかくてき)にオンライン学習(がくしゅう)()()むのははじめてだそうです。

 

オンライン学習(がくしゅう)のメリットを()くと「画面(がめん)(きょう)(ゆう)して、資料(しりょう)だったり、この単語(たんご)意味(いみ)はこれですよと表示(ひょうじ)してイメージしてもらったり。

そういうことがすごく簡単(かんたん)にできるのが便利(べんり)です」と(はな)していました。

 

一方(いっぽう)で、(すこ)しだけ()になる(てん)もあるそうです。

 

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画面(がめん)(じょう)だと生徒(せいと)反応(はんのう)がやっぱりちょっと()えにくくてちゃんとわかってるか不安(ふあん)になることがあります。また、実際(じっさい)教室(きょうしつ)にいると、ちゃんと()()けているかどうか直接(ちょくせつ)()確認(かくにん)することができますが、オンラインだとそこが全然(ぜんぜん)わからないので…」

日本語(にほんご)指導(しどう)ボランティア・工藤(くどう)智美(ともみ)さん)

 

 

“オンライン(たす)かる”生徒(せいと)歓迎(かんげい)

 

それでも生徒(せいと)には(おも)いのほか好評(こうひょう)です。

対面(たいめん)学習(がくしゅう)(ちが)いがあるか()いたところ、ベトナム出身(しゅっしん)男性(だんせい)は「だいたい勉強(べんきょう)内容(ないよう)(おな)じです」と(はな)していました。

 

また、エジプト出身(しゅっしん)男性(だんせい)は「先生(せんせい)もすごくやり(かた)がいいので」と満足(まんぞく)そうに(はな)していました。

 

(じつ)はこのエジプト出身(しゅっしん)男性(だんせい)以前(いぜん)は、(となり)庄内町(しょうないまち)から(くるま)(おう)(ふく)時間(じかん)かけて教室(きょうしつ)(かよ)っていたそうです。それが(いま)では自宅(じたく)授業(じゅぎょう)()けられるようになりました。

 

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男性(だんせい)

移動(いどう)があると2時間(じかん)むだになってしまいます。(いえ)勉強(べんきょう)したほうが時間(じかん)もいっぱいあるので(たす)かりました」

とうれしそうでした。

 

日本語(にほんご)指導(しどう)ボランティアの工藤(くどう)さんも

(とお)くに()んでいる(かた)とか、お()さんがいてなかなか(そと)()られない(かた)とかが、都合(つごう)のいいときにお(たが)時間(じかん)をあわせて勉強(べんきょう)できたり、そういう可能性(かのうせい)(ぎゃく)(ひろ)がるのではないかなと(おも)いますね」

(はな)していました。

 

この教室(きょうしつ)では、5(がつ)下旬(げじゅん)対面(たいめん)での学習(がくしゅう)再開(さいかい)しましたが、当面(とうめん)、オンラインでの授業(じゅぎょう)(つづ)けていくことにしたそうです。

 

 

オンライン“あらたな可能性かのうせい

 

新型(しんがた)コロナウイルスの感染(かんせん)拡大(かくだい)で、オンライン学習(がくしゅう)導入(どうにゅう)する日本語(にほんご)教室(きょうしつ)全国(ぜんこく)で出てきています。

 

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日本語(にほんご)教室(きょうしつ)運営(うんえい)(くわ)しい岡山(おかやま)大学(だいがく)中東(なかとう)靖恵(やすえ)(じゅん)教授(きょうじゅ)

教室きょうしつからとお場所ばしょらすひと仕事しごとわるのが夜遅よるおそひとちいさなどもがいる人など、これまでさまざまな事情じじょうかよえなかった外国人がいこくじん支援しえんできるメリットがある」と指摘してきしています。

 

ただ、もちろん対面(たいめん)での学習(がくしゅう)にもメリットはあります。

(たと)えば、生徒(せいと)日本(にほん)生活(せいかつ)に悩んでいたり、体調(たいちょう)(わる)かったりしたときに、ボランティアが()づきやすくなります。

また直接ちょくせつかおわせていると相談そうだんしやすいということもあるかもしれません。

 

なので中東なかとうじゅん教授きょうじゅも、生徒せいと希望きぼうにあわせて、たとえば「つきに1かい対面たいめんのこりはオンライン」というふうふうわせたり、オンラインでも相談そうだんしやすいよう「1たい1ではなしをする機会きかいもうけたりするのもいいのではないか」とはなしていました。

 

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あと、外国人がいこくじんには、オンライン学習がくしゅう抵抗ていこうがないひとおおいというこえかれます。

 

わたし自身じしんも、これまで外国人がいこくじんかた取材しゅざいしていると、母国ぼこくのこした家族かぞく友人ゆうじん連絡れんらくをとるために、インターネットを使つかいこなしている姿すがたをよくかけてきました。

なので、生徒せいと状況じょうきょうにあわせて、対面たいめんかオンラインかを選択せんたくできるのが外国人がいこくじんにとっても理想的りそうてきなのではないかとかんじています。

 

 

オンライン学習(がくしゅう) 導入(どうにゅう)(すす)めるためには?

 

しかし、ボランティアの先生(せんせい)高齢化(こうれいか)するなかで、どうしたらオンライン学習(がくしゅう)()()れていけるのでしょうか。

 

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取材(しゅざい)したほかの教室(きょうしつ)からも

先生(せんせい)高齢化(こうれいか)しているからオンライン学習(がくしゅう)(かんが)えていない」とか「先生(せんせい)人数(にんずう)(かぎ)られる(なか)、オンラインもとなると負担(ふたん)()えてしまうのではないか」

という慎重(しんちょう)(こえ)()かれました。

 

そこで、中東(なかとう)(じゅん)教授(きょうじゅ)必要性(ひつようせい)指摘(してき)しているのが「自治体(じちたい)国際(こくさい)交流(こうりゅう)団体(だんたい)のサポート」です。

 

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(たと)えば、佐賀県(さがけん)では、(けん)国際(こくさい)交流(こうりゅう)協会(きょうかい)が、7(がつ)以降(いこう)、ボランティアの先生(せんせい)対象(たいしょう)にテレビ会議(かいぎ)システムの使(つか)(かた)(しょう)(かい)する講習会(こうしゅうかい)(かい)(さい)したり、すでにオンライン学習(がくしゅう)導入(どうにゅう)している教室(きょうしつ)担当者(たんとうしゃ)から(はなし)()ける()(もう)けたりするということです。

 

わたし去年きょねん日本語にほんご教室きょうしつ取材しゅざいしたのですが、そのさい日本語にほんごはなせず、自宅じたくきこもりがちになっていたベトナム出身しゅっしん男性だんせい

日本語(にほんご)教室(きょうしつ)出会(であ)ったおかげでようやく前向(まえむ)きになれた」

笑顔(えがお)(はな)していたのを(いま)でもよく(おぼ)えています。それだけ日本語(にほんご)教室(きょうしつ)というのは、外国人(がいこくじん)にとって(こころ)のよりどころ、居場所(いばしょ)になっているんです。

 

新型(しんがた)コロナウイルスの感染(かんせん)今後(こんご)また拡大(かくだい)したとしても、外国人(がいこくじん)日本語(にほんご)教室(きょうしつ)とつながっていられるよう、自治体(じちたい)などはしっかりとバックアップしていってほしいと(おも)います。

 

※「日本語(にほんご)教室(きょうしつ)」については、去年(きょねん)11(がつ)記者(きしゃ)特集(とくしゅう)でも紹介(しょうかい)しています。

 

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https://www.nhk.or.jp/yamagata-blog2/300/415867.html

 



記者特集    

山形局記者 | 投稿時間:16:51